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【短編】これで、おしまい

作者: みなと

ふと思い立って書きたくなってしまったので、勢いのままに書きました。

どうやっても復縁せず悲恋物となりましたが、お楽しみいただけると幸いです。

 あなたは、私の目の前で他の令嬢に愛のこもった眼差しを向け、優しい言葉をかけ、大切に扱う。…私は、そんなことされたこと、ないというのに。


 元々、親同士が決めた婚約者という冷めきった関係性というのは理解していた。貴族とは、そういうものだから。

 けれど、それでもこちらに果たすべき義理があるのではないだろうかと、そう思う。

 はぁ、とため息を吐けば、目の前で思う存分愛を確かめ合っている二人から睨まれてしまうものの、この状況でため息以外何を吐けというのか。

 恨み言だろうか?

 考えることにすら疲れてしまったので二度目のため息を吐くと、婚約者――ティルギア侯爵令息は、面倒くさそうにこちらを一瞥するだけ。


「陰気臭い顔を見せるな、失せろ!!」


「仰せのままに」


「…………~っ、破棄だ!!お前との婚約なぞ破棄する!!」


「はい、承りました。父と母にも報告しておきますね。さようなら」


 特に抱いてもいなかった感情を全て綺麗に消し去り、ティルギア侯爵令息の言う通りにして立ち上がった。そのまま二人に対してカーテシーをして踵を返す。

 その時、二人がどんな顔をしているのか、私は知る由もなかったし、知りたいとも思えなかった。







 私、アイリス゠ヴィ゠アトルワールは、アトルワール伯爵家の第一令嬢として生を受けた。

 紺碧の髪に、翡翠色の瞳。アトルワール伯爵家の、純粋なる血統の持ち主であるという証。

 アトルワール家の純粋なる血統の証を持つ娘、もしくは息子は、16歳を迎えると特殊な能力に目覚める。人により様々ではあるが、ほとんどが《祝福》を与えるため、人の役に立つような能力。


 そんな私も例外ではない。


 私が授かった《祝福》は《豊饒の恵み》。

 農作物の成長促進、ならびに豊かな実りを得られるもの。農業大国である我が国、「フィルカス王国」にとってはとても重要なものだった。

 だから、国王陛下が王命を以てして私と、由緒正しき名門貴族であるティルギア侯爵家との婚約を結ばせたのだ。

 ティルギア侯爵家は代々、高名な騎士を輩出し、王宮騎士団団長までも拝命しているほど。国に忠誠を誓うティルギア家と、《祝福》を与え国を豊かにできるアトルワール伯爵家。

 アトルワール伯爵家も代々《祝福》を持つ子供が生まれ、国のためにと働いてきたおかげもあって、名門貴族だとは言われているけれど、ティルギア侯爵家にはとても及ばない。


 かといって、婚約を結んで(そんなことをして)までアトルワール家を縛り付けなくとも、我が家はこの国を愛しているが故の愛国心も持ってはいる。大切にされている分をきちんと返そうという気概もあるからこそ全てを以て祝福を行うんだ、という気持ちは消えていなかったのだが、この侯爵令息様と居るくらいなら私は…正直もう嫌だ。

 私が彼に何かしたのか、と聞かれれば「何も不愉快にさせるようなことは恐らくしていない」。そもそも、向こうは婚約を結んだあの日から、私を無視し続けている。

 私有責でもいい、そんな(ひと)と一緒に居たくはない。


 だからまずは、お父様に相談してみた。

「ティルギア侯爵家子息様と私が婚約解消をしたら、どのような迷惑がかかってしまいますか」と、聞くと、お父様は神妙な顔をして私をじっと見つめる。


「アイリス、お前は彼と婚約できてどう思っていたんだい?」


「特に何とも」


「な、なななななな…な、な、何とも?!」


「はい」


「何故?!」


「国王陛下からの王命だから、婚約が結ばれたのでしょう?そもそも、私はあの方と婚約したいなどと申したことは一度もありませんし……」


「そ、う…なのか?」


「はい」


 じっと見つめられるが、特に不愉快に思うこともなく、混乱の極みにいたお父様を同じように見つめ返した。


「そうか……そう、なのか……」


 混乱から一転、冷静になり諦めたように溜息を吐いたお父様は、立ち上がって申し訳なさそうに私に対して頭を下げた。


「お父様?」


「すまなかった。…わたしはてっきり、お前が彼との婚約を嬉しがっているものだと…」


「何故です?」


「見目麗しいうえに頭も良い、運動もできる、剣術も素晴らしく秀でている。更には地位も名誉もある。…喜ばない子はいるのか?」


「ここにおりますわね」


 自分で自分を指させば、お父様は目玉が飛び出んばかりに私を見つめた。いやだわ、どうしてそんなに驚いていらっしゃるのかしら。


「私、そもそも彼を御名前で呼んだこともありません。何一つ、婚約者らしいことはされておりません。何より、あの方には想い人がいらっしゃいますもの。私、当て馬なんて嫌です」


 困ったようにそう告げると、みるみるうちにお父様の目が吊り上がり、怒りに満ちていく。あぁ、そんな顔をしてはならないのに。お父様の温和な空気が、私は大好きなのに。


「あなた、落ち着いてくださいませ」


 こんこんこん、とノックの音の後にお母様が入っていらっしゃった。後に続いてくるメイドはティーセットの載ったワゴンを押している。勿論、三人分しっかりとあった。


「お母様、ご期待に沿えず申し訳ございません」


 きっとお母様は婚約者を繋ぎ止められなかった私を叱るだろう、そう思っていたのに、与えられたのは優しい抱擁だった。


「おかあ、さま」


「わたくしと旦那様が婚約のお話を良きものだと思い、引き受けてしまったばかりに、アイリスに辛い思いをさせ続けてしまったわね…ごめんなさい」


 てっきり叱られると思っていたのに、私を抱きしめてくれるお母様の腕は、とても優しかった。

 そして、小さく聞こえる嗚咽。どうしよう、優しいお母様を泣かせてしまった。泣いてなんかほしくないのに。


「お、お母様!落ち着いてください!」


 違いますお母様。私、苦しめられてなどおりません。

 何度も何度もそう申し上げましたが、お母様の顔は晴れぬまま。


 けれど、ふと思います。


 どうして、お母様やお父様、国王陛下があの人と私を婚約させようと思ったのか、と。

 あの方は、私なんか眼中にありませんもの。

 だからこそ、余計に思うのです。アトルワール家をこの国から逃したくないが故の王命なのでは?と。とりあえず見目麗しく、女の子が好きそうな所謂『理想の男の子』との婚約を結ばせれば、とても喜んでくれるのではないか、と思われているのではないかしら、と。

 そして更に、縛り付けておけばこのままこの国でアトルワール家が続いていくと思われているのではないか、とも…。


「向こうから是非にと願われた婚約だったのに…」


「へ?」


 淑女らしからぬ声を出してお父様に視線をやる。頭を抱えて項垂れているお父様が放った言葉に、今度は私が目を丸くした。


「あちらが、望んだ婚約?」


「そうだ。ティルギア家のフィリップ様、御自ら望まれた…とわたしは聞いていたんだよ」


「どなたかとお間違えではないです?人違いとか…」


「うーん…」


 きっとそう。

 名前が似ている令嬢と、……そうか、あの人はフィリップ様でしたね……フィリップ様は、私を勘違いなされていたのだ。だから、私のような者と婚約が結ばれてしまって、初対面からあんなにも無視し続け、浮気………いいえ、私が彼を好いていないのだから浮気ではないわね。見せつけ行為をするようになってしまわれたんだわ。

 それであれば、フィリップ様がとても可哀想に思えてしまう。


「お父様、急ぎ侯爵家に使いを出してくださいませ。早々に望まぬ婚約を解消し、望みのご令嬢と婚約なさってください、と!」


「いやあの、アイリス。王命だからな?間違いなどではないんだよ」


「私と年子の《祝福》持ちの従姉妹と間違えたのでは?小さい頃、私とあの子はとっても似ておりましたし……向こうをアイリスだと勘違いされたんですよ、きっと」


 うんうん、と頷いて進言する私を止められるものは誰もいない。

 お父様もお母様も、まさか私がここまでだとは思っていなかったようで、ティルギア家に対して婚約解消の書類を送ってくださった。





 ――数日後、烈火のごとく怒り狂ったフィリップ様が、当家に押しかけてきたことで、事態は一変する。


「どういうつもりだ!!!!!!!」


 私に会うなりそう怒鳴りつける彼を、ただ冷めた目で見つめていた。

 どういうつもりも、こういうつもりも、ない。ただ、単純に嫌になってしまっていた、ただそれだけ。ふぅふぅと荒く息を吐く彼の怒りは凄まじいものだが、どうしてそんなにも怒り狂っているのか、意味が分からなかった。


「何とか言え!!あの日もそうだ、貴様は俺が失せろと言ったら失せたではないか!!何様だ貴様は!!」


「そう望まれたではありませんか」


「~~っ!!だとしても、縋り付くくらいしてみせろ!可愛げのない女だ!」


「何故ですか?」


「なん、だと?」


「どうして、私が、貴方に、縋り付かねばならぬのです?」


 一言一言区切って問う。

 何やら顔面蒼白ではあるが、割と興味がなかった。


 ちなみに、私がフィリップ様のことについて興味を少しずつなくしてしまったのは、こうして乱暴な対応をされ続けてしまったからだ。

 きっと、男子特有の何かがあるのだろうと、いつかは変わってくださるのだと期待して何年経過したやら。我ながら、気が長いことだなぁ…とぼんやり考えてしまう。


 お父様やお母様にはお伝えしていないが、幼い頃はちゃんと彼に憧れていたし、好きだった。幼いながらもあれはきっと初恋と言われるほどの甘い感情だった。会う度にドキドキもしていたし、顔を見れば嬉しくもなった。

 でも、それを木っ端微塵にしたのは他でもない、彼自身。


「だ、って…お前は俺のことが好きだろう?!」


「いえ……もうそのような感情は消え失せました」


「…………はぁ?」


 あぁ、表情がすっぽ抜けるとはこういうことを言うのだろうか。

 すとん、と無表情になってしまった彼を見ても、何とも思えなくなっているくらいには、私の中で彼はどうでもいい存在に成り果ててしまっていた。


 小さい頃、私は彼が本当に大好きだったのだ。


 お父様には否定してみせたが、未だに好きだと思われてはこの関係が持続してしまう。『今』は何とも思わないくらいには嫌だし顔もできるならば見たくない。婚約を継続したままでいたくもないし、同じ場の空気も吸いたくない。


 考えてみてほしい。


 憧れ、王命の婚約とはいえ一目惚れをして好きになった相手からの初対面の一言が、


『陛下に言われたから、お前のような凡庸な娘との婚約を、この俺が受け入れてやったのだ!ありがたく思え!』


 だったら、自分であればどう思うのか。それをどう、感じるのか。少し考えれば分かりそうなものだが、彼は何一つ変わらなかった。


 絵姿を見て抱いていた恋心はまずその一言で霧散したような気がした。いや、多分あれは綺麗さっぱり霧散した。

 気のせいだと思いたくて、必死に彼の望んでいるような淑女になれたら、とティルギア侯爵夫人にマナーや礼儀作法、フィリップ様の好きなものをあれこれ聞いて、はしたないと言われようとも自分で彼のために、菓子を作ったりもしてみた。


 結果はおして知るべし。


 マナーに関しては褒められはしたものの重箱の隅を針先でつつくようなダメだしをくらい、菓子はそのままゴミ箱へ。

 侯爵夫人が真っ青になり卒倒したのは未だに覚えている。そしてとんでもない勢いで謝られた。


 あれこれと私なりに歩み寄る努力はしてきたつもりだったけれど、彼に対してはとてつもなく不要な努力をしてしまったようだった。

 マナーや作法、お茶会での人との接し方なんかはすごく参考になったので、そこについては感謝している。勿論、彼ではなくティルギア侯爵夫人に。教えてくれたのはあの方だから。決してフィリップ様ではないのだもの。

 この方が、義理のお母様になるのだと思うと嬉しかったのに。


「貴方様がおっしゃる、貴方のことを『好き』だとかいう感情。それは10歳に満たない、初めてお会いした当時、あの頃のみの感情です。今はもう、何とも思えません」


「茶会に呼べば来ただろう!」


「婚約者の義務を果たせ、と招待状には記載されておりましたので、参加しないわけには参りませんし…」


「ま、毎回俺を見つめていた!」


「よく人の目の前で浮気できるなぁ、と思いながら貴方を観察していたのですわ」


「う、う、浮気…?」


 目を見開いたり顔色を赤くしてみたり青くしてみたり、何とも芸達者な方だな、と心のどこかで思う。

 念の為に自分の中の恋心を探してみたけれど、どこにもなくて『さっさと破棄の書類にサインしてくれないかなぁ』と同時並行で、私は考えていた。


 不毛すぎるやり取りなど、私はしたくないし双方の時間の無駄でしかない。


 そして、フィリップ様は私が発した『浮気』という言葉をブツブツと繰り返している。

 だって、浮気でしかないでしょう。第三者が見ても不快そうに顔をしかめていらっしゃったから…と言っても、この人は理解してくれない。

 嫌々ながらも結ばれた婚約者がいるというのに、その人以外に愛を囁きまくるだなんて…と思うけど、もう良い。これで終わるんだから。


「いやまて、そ、そんな、浮気など、では」


「浮気をした、していない。どこからが浮気だ、とかという不毛なやり取りは避けたいので、早々にサインしてください」


「ま、まて、本当に…わ、別れなければ、ならぬ、のか」


「同じことを私が貴方様にしたとして、許せるものですか?許せるとおっしゃるのならば話は別ですが」


 あ、と小さく聞こえた声には、今更ながらの後悔がたっぷりと感じられたけれど、8歳で婚約が結ばれ、今の今、17歳までこの人と一緒にいる間に、私の恋心は踏みにじられて、もう影も形もない。


 私が、何をしたというの?

 気に入らないなら、そう早く言ってほしかったのに。そうすれば、きっと私はまだ傷つかなかっただろうに。


 泣きそうになっているフィリップ様を見て、『こちらが泣きたい』と思わず言葉をぶつけそうになるが、呑み込んだ。


 周りの人々はフィリップ様の態度をいつも窘めてくださった。けれど、聞かなかったのはフィリップ様ご自身だったのに、今更こうして婚約解消をするとなって、自分のものになる予定だった《祝福》持ちを手放すことが惜しくなってしまったのかしら。

 それはそれで、なんという傲慢っぷりなのかしら、と思う。


「私、貴方のストレス発散のための人間サンドバッグではございませんわ。心がありますもの」


「アイ、リス」


「壊したのは貴方様ですわね。あぁ、ご安心なさって。責任など取っていただかなくともよろしいのです。もう、……放っておいてください」


 メイドが持ってきてくれたペンとインク、それらをフィリップ様の前に置くと、いよいよ絶望まみれの表情をこちらに向けてくるのだが、何度も言っているのに、何を聞いていたのだろう。


「早く、サインなさってくださいまし」


 呆れたように告げて、のろのろとペンを持ってようやくサインをしてくれた書類を手早く回収して控えてくれていた執事に手渡した。


「お客様がお帰りになるわ。お見送りして差し上げて」


 それだけ言って、私は早々に退出したのだった。





 ************




 あの瞬間まで、彼は驕っていたに違いない。


 アイリスに婚約破棄を突きつけ、彼女が特に何も言わず、早々に退散してしまったあの日。

 残された令嬢は、気まずそうにフィリップを見つめていた。


「…ですから、いい加減おやめにならないと…フィリップが後悔すると言ったでしょう?」


 幼馴染でもあり、気心許せる間柄の親友である令嬢は、ため息交じりに言った。

 心底呆れ返った声で言われ、ビクリとフィリップの肩が跳ねる。


 彼自身、どうして良いか分かっていなかったわけではない。


 父や母にこれでもかというほど叱られていたし、幼馴染や親友からも、思いきり叱られ、窘められ、時には怒鳴られていたのだが、幼い頃放ってしまった言葉が取り消せないままにここまで来てしまった。


 王命であるということも理解していたし、彼女を大切にしなければと思いながらも、あの一言を取り消したくても元に戻れないまま、こじれ続け、結果的に壊れ、取り返しがつかない事態へと発展した。


「どう、したら」


「ねぇフィリップ、知っているかしら」


「何を…」


 彼の幼馴染の令嬢の婚約者が来て微笑みかけてから、彼女は冷たく言い放つ。


「わたくしも貴方のお友達も、そしてわたくしの婚約者も、貴方のお父様やお母様まで、みーんな貴方を叱っていたのに、何も変わらなかった。陛下ですら、貴方に対して注意したそうじゃない?」


「それ、そ、……っ、……」


「女はね、上書き保存してしまうの」


「何を…」


「記憶をね。嫌な記憶なんかさっさと忘れて、新しくて楽しい、幸せな記憶で塗り替えしまうの」


「そんな…」


「いや、貴方が『絶望しています』、『悲しいんです』みたいな顔しないでくれる?」


「…………っ」


「………あぁもうイライラする!!

 貴方の暴言や態度で傷ついているのはアイリス様でしょう?! いかにも自分が傷ついて困ってます!みたいな顔しないでよ!! 自業自得なんだから自分でどうにかしなさいよ!

  …何が『アイリスがヤキモチ焼いてくれるかもしれないから一緒に居てくれ』よ!! わたくしを巻き込まないで!!」


 幼馴染の令嬢の肩にそっと手を置いた、彼女の婚約者は、ひたりとフィリップを見据えた。


「わたしからも頼んだよ。彼女は、わたしの、婚約者なのだからね。何もしていないご令嬢への当てつけなんかに使わないでくれ。…最低だな」


 一言ずつ区切って言われた内容に、今更ながら後悔ばかりが襲い来るが、遅い。




 ************


「知っているか?アトルワール家のご令嬢、婚約解消したそうだぞ」


「なら、こちらにもチャンスがあるということだな」


 アイリスが思っていたより、彼女の価値は遥かに高かった。《祝福》を持っていることを無しにしても、華やかな顔立ちと、マナーと作法は完璧。そして勉強もしっかりできて成績優秀、人付き合いもできるので社交も問題ない。


 婚約破棄ではなく、双方の事情を鑑みて『婚約解消』でもなく『婚約白紙』になった。


 アイリスにもフィリップにも傷はつかなかったが、アイリスの心は疲れきっていた。


「もう、しばらく恋愛とかいらないわ」


 そう、疲れたように笑う彼女が、もう一度微笑み温かな想いに包まれるようになるまでどれくらいになるのかは…分からない。

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