【5】わたし、コッソリ下見もしておりました。 side シャロン
下馬評ならぬ下人評?では17連勝中の108番、連続殺人鬼が一番人気で2.3倍。
絞殺が得意なのか刃物よりもロープを使う手際がいい。
それはもう職人芸の域で犯罪者じゃなければ…と何かと惜しい気持ちもするけれど彼を軸に買う気にはなれない。
いやだって、賭けるからには勝ちたいじゃない?
それも気持ちよく。できれば大勝ち?
この国、ヘルムホルツに訪れたのは8週間前。
1年前に女学校を卒業してようやくお父様の仕事―――商隊に混ぜて貰えるようになった。
大都市には必ずあると言われる白猫印のグルセス商会。
傷薬から始まった薬局が今では食品部門、線維部門、都市開発部門と手広く運営して取り扱う商品数も支店も多く、慢性的に人手不足で、やる気と笑顔がある人なら初心者大歓迎といつでもどこかの部門が採用求人中。
なのでわたしは趣味と実益を兼ねて、たまに人材発掘をしている。
どんなに高学歴でもうちの商会に合わなさそうな方は、お断りのお祈り手紙を出すし、文字が読めなかろうが、いつも笑顔で毎回友だちの良いところを教えてくれた孤児院の子には「不束者ですが大切に大切にするのでお坊ちゃんを私にください」とシスターに土下座して、住み込み3食昼寝付きの寮で働いてもらっている。
玄関のベルが鳴れば毎日寮母と一緒に「おかえり」と言って食事まで愚痴を聞いてくれる天使である。
疲れて倒れそうな時は「あーん」までして「頭なでなで」くれるらしい。
おかげであの一帯はとても売上のよい店舗になった。
噂を聞いた他の地域の店舗からも天使くださいと土下座されるけど、そう簡単に天使は掴まらないので首を長くして待っていてほしい。
まぁ天使じゃなくてもシンプルに労働力も足りていないので、多少の不遇には屈しないような人手を探し出すためにたどり着いたのが収容所兼、違法な地下闘技場。
人脈を作り、闘技場に通う男爵からフリーパスが届いた。どうでもいいバラとどうでもいいお手紙と共に。
あ、バラはスタッフが店舗に美しく飾り、お手紙はスタッフが上手に燃やしてお湯を沸かしておりました。
そしてその頂戴したフリーパスを使ってコッソリ下見にやってきたセントラル収容所のとある一室。
どうしよう安く買えそうで涎が止まらない…!
100番台はここで凌ぎを削っているからか屈強で我が強く、扱い辛そう。
200番台から軽犯罪者か借金奴隷が多く、欠損も少ない。
しかも200番台後半は栄養こそ足りてないものの、その辺の憲兵より仕上がっている。
買いだ!!買い買い買い買い!!!!
え!何でイベントで人気ないの!?
嘘でしょアレで16.5倍!?あの人も21.3倍!?嘘!!42.0って付け間違いじゃないの!?
うっそ良すぎ!あんなの肉体だけでA級品じゃないの!!
「あの~~、お嬢さん、こんな臭い野郎どもの水浴び覗いてて楽しいんスか?」
「とても楽しいわ!」
「えぇ~~、男娼の娼館紹介しましょうか…?」
「要らないわ!そんなことより責任者を呼んでちょうだい!」
「いや、責任者こんな男のケツしか見えないようなところ呼んでも来ませんから」
「あら、残念ね。まぁいいわ、一度は言ってみたかっただけですし案内してくださるかしら」
「まぁそれならなんとか…」
「うふふふふふ…毛艶を整えて…完璧な状態で仕上げて…ああ餌になる賞金も用意しなくっちゃ…」
「何このお嬢様怖い」