【3】メインイベント直前、こんなこともありました。 side シャロン
紳士淑女の競技だって、競技会へ向けて万全の体制を整える。
それなのに金銭を要求する闘技場が!ショバ代を巻き上げるにも関らず!客を楽しませる最低限の管理を怠るとは何事か!
と、テーブルに1本2本3本と金塊を並べながら説教を4時間させていただき、整えた90分勝負の場。
やはり心身共に輝いている生き物は素晴らしいと思うの。
肌の色艶も良く、あの目力!全力を出し切って勝とうとする姿に萌えに萌えてきゅんきゅんするぅー!
ああくらっときちゃう…!
「大丈夫かい、シャロンはこんなところ来たことないだろう」
「ええそうですわねパラベン男爵様…(今週は交渉のテーブルばかりでどこの賭場も足を踏み入れていないから)ドキドキしますわ」
「じゃあ今日のメインイベントの前に肩慣らしで」
「まぁ!こちら動物とふれあいコーナーがございますのね!」
「あ、ああ、あのトラの首に掛かってるサファイアのネックレスが彼らの報酬になるんだ」
「あの細い剣で戦えますの?」
「彼らでは無理かもしれないな…4人中2人も初陣らしいよ」
「あら、でしたらこのダメなほうにチェックを入れてあちらの看守に渡せばいいのかしら?」
「いや、どうだろうね鎖があるだろう?いつも3mはありそうなんだが今回は短そうだし彼らが逃げ回って時間制限内引き分けじゃないかな?惜しいな、私くらい剣を嗜んでいる上に知恵者の挑戦者がいればあれくらい獲れただろうに」
「まぁ!それでしたら男爵様飛び入り参加なさってくださいませ!ほら!ここに飛び入り参加歓迎とございますわ!」
「え?」
「ほらほら始まってしまいますよ!看守様!こちらの男爵様が腕に覚えがあると参加を希望していらっしゃいます!」
「え?え?…えぇ!?」
「いってらっしゃいませ♪わたしこちらで応援…は、ドキドキし過ぎて見れませんので冷たいお飲み物をご用意して指定席でお待ちしておりますね♪」
有刺鉄線付きの素敵な柵…檻の中に押し入れた男爵様に投げキッスをして檻の外に居る看守へ投票券と金貨1枚をこっそり握らせる。
「項目にはございませんが…無効試合に金貨一枚(これで足止めよろしくね)」
「まぁメインまでの時間潰しだ、ココの掛け金もそこまで膨らんじゃいないしな(その話乗った)」
「ありがとうございます、貴方のご親切に報いるためにもうひとつだけ」
「?」
「パラベン男爵様の剣など子どもの手習い程度です、上手にギブアップさせれば本日の手持ち…金貨10枚は堅いですわ」
「それはそれは…こっちの腕が鳴りますねぇ」
にやりと看守様と意気投合し、私にはもう目もくれずトラとにらみ合う男爵様へエールを送る。
「パラベン男爵様ぁっ次のデートではその勝利のサファイヤをお持ちになっていらしてね~!」
「投票締め切り1分前です!さぁお前ら準備しろ!男爵様もこちらの剣をお持ちください!――始めるぞ!」
「ぎゃーーーーーー!!!シャロォォオォォンーーーーー!!!!」