線香花火
この作品は未完成の作品でボツ案なので投稿することにしました。良い評価があったら、長編を作りたいと思います。
そこには静寂さしかなかった。
先ほどの怒号、悲鳴、奇声が消え、皆立ち止まっている。
そして着火した。熱い生命力の根源が弾け燃え始めた。僕は根源に駆け寄り死に物狂いで止めに入ったが、凄まじい力によっていとも容易く吹き飛ばされてしまった。
根源は美しく華やかでまさに線香花火のように暴れ、悪魔の方へ一直線に走った。幸せを手に入れるために。
しかし万物の限度というのは脆く儚いもので永遠ではない。
爆音が響き渡った。理解するのに時間が足りなかった。目の前で起こったことに目を背けたくなり目を閉じ、目で見た。倒れ込んでいる根源の姿に僕は涙を堪えずにはいられなかった。根源がこちらへとゆっくり向かってくる。ゆっくりとゆっくりと。僕も歩み寄る。これが偽りであって欲しいのに、これが夢であって欲しいのに、暖かさが伝わる。僕は抱き、溢れだす物を必死に押さえ込もうとした。
「ありがとう。大好きだよ、丹紡」
弱々しい声で言い放ち、僕の根源が冷たく絶え果てていった。
残ったのは硝煙の香りだけだった。
読了ありがとうございましたm(_ _)m