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戦士
恐らく、スザまじい戦いがあったのだろう。
胸当と長物が散乱し、袴のような物と白装束まで散らかっている。
魔道を伴った戦いだったのだろう。
それを跨ぐようにして九尾狐の子孫、
化け猫のような獣達が歩き回っている。
「にゃあ、にゃあ」と言いながら臭いを嗅ぎ、何かを探している。
獣達が探し当てたのは、倒れ伏すもまだ息のある負傷者。
異世界から来た孫娘だ。
倒れこんだ彼女の居場所を示すように、
獣たちはその上に座り込んでいる。
うつ伏せになった人間は生きていた。
無残に下着まで取り去られた背中に獣達二匹。
確かに寝息が聞こえる。いや、イビキをかいている。
私は二匹の獣、いや、猫達に呼びかけた。
「さあ、ここにきなさい。朝のご飯だよ。」
獣達は実に働き者だ。
洗濯すべき胸当や三角形の股当てを咥えて持ってきた。
後ろの方から悲鳴が聞こえた。
「それ、持っていっちゃダメェ。」