表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/24

第5話 真の戦闘

獣王レオンハルト。ライオンの頭に筋骨隆々な肉体をしている魔王軍四天王の一人。その上、身体の大きさは私達の倍以上。四天王随一のパワーを誇り、鋭い爪や牙で何人もの冒険者を屠ってきた恐ろしいやつだ。




対するは13番目の勇者アオイ。あいつは自分を煽り勇者だと言っていた。その名の通りスキルは基本煽りだけ。特殊な能力は短距離瞬間移動のみで他はターゲットを集中させるか外すことしかできない。



果たしてどうやってレオンハルトに勝つつもりなのだろうか。



「デスボルト達は元気?」




『お前が殺したんだろ!!』




ついレオンハルトと被ってしまった。自分で殺しておきながらこの言い草…この男、魔王より外道ではないだろうか。




「そうでしたか。別れは辛いかもしれませんが、人は別れを受け止めて強くなれるんですよ」




最悪だ。部下を殺されて怒り心頭なレオンハルトによくもあんな他人事みたいな言い方ができるものだ。おまけに妙に優しげな笑みを浮かべている。あれが煽りレベル99の実力なのか…?




「ふざけるなよ、勇者。貴様に部下を殺された俺の気持ちが分かるか?」




「ふざけているのはお前だ。お前の事情なんかどうでもいい。それより近所迷惑って言葉知ってるか?今何時だと思ってやがる。夜中の2時だぞ!?常識ないのか!?」




レオンハルトとデスボルト達のことをどうでもいいで切り捨てた!?急に話を変えて、逆ギレするなんて不必要に怒らせているようにしか見えないが…作戦、これも作戦なんだよな?




「そうか、そういった態度を取るならば…貴様には死んでもらう他あるまいな!」



レオンハルトが爪で大地ごとアオイを抉りにかかるが、アオイは臆せずに最小限のバックステップで回避する。



「あららー?そこは普通夜分遅くにすみませんでしたじゃないんですか?会話する気あります?」




会話をする気がないのはお前だろう!!やはりダメだ、こいつ…




アオイはただただ敵の神経を逆撫でしているだけだ。相手が怒ったり、泣いたり…そういった反応が楽しくてその様を笑う…作戦なんて無いのだろう。徒らに人の心を弄んでいるだけだ。




「これ以上奴を挑発するな!!…分かっているのか!?あいつは魔王軍四天王…獣王レオンハルトだぞ!!それに今はあいつの力が最大限高まっている真夜中だ!大人しく増援を待つのが一番だ!」



「四天王?あー、うん。まぁ、そんな気はしていた」




そんな気はしていた?何故こんな状況であっても笑っていられるんだ…あの実力差が分からないのか…?




「増援なんて来ないだろ。だって、レオンハルトはそれを防ぐために夜襲を仕掛けてきたんだぜ?」



「そ、それは…そうかもしれないが…」



「見ておけ。軽く捻ってやる」




この圧倒的な余裕…まさか、あいつに対抗できるスキルを持っているのか?




「お客様。申し訳ございませんが、本日の営業は終了しております。また後日出直していただけますか?」




前言撤回。期待していた私が馬鹿だった。やはりこいつは何も考えずにただただ相手を馬鹿にしているだけだった。




「ほう、俺と会話をする気はないか」



「これ以上は追加料金を要求しますよ」



「…勇者よ、くだらん茶番はこれで終いだ!!」




遂に堪忍袋の緒が切れたレオンハルトの爪が振り下ろされた。怒りに身を任せた一撃だ。あんなのがまともに当たればひとたまりもないだろう。




「ま、待て。話し合おうじゃないか!話せば分か—」




「アオイ…?そ、そんな…嘘、だよな?」




獣王の無慈悲な爪撃により、地面には巨大な爪痕とクレーターができている。そしてアオイらしき姿はどこにも見当たらない…恐らくあの一撃には耐えられなかったのだろう。



「嘘だよな!?なぁ、アオイ!!」



「ふん、勇者風情が…生意気な口をきく割には大したことなかったな。大人しくしていれば早死にせずに済んだものを」




獣王は先程アオイがいた地にゴミでも見るような目を向けて嘲笑する。

 



「貴様…よくもアオイを…!安心しろ、お前の仇は私が討つからな」




アオイ…いきなり四天王と対峙してしまったばかりに…任せておけ、お前の魂の安らぎのために…必ずレオンハルトを…




「おぉ、まさか出会って数時間そこそこの人の事をそこまで想ってくれているなんて…嬉しいなー」




アオイ!?殺されたんじゃ…だが、アオイは確かにそこにいるし、無傷だ。砂埃すら付いていない。




そうか、アオイは短距離瞬間移動を使ったのか!!だが、それより先に訂正しなければいけないことがある。



「お前のことなど想ってなどいない!デタラメを言うな!!」



声を荒げて反論する私の事はそっちのけでアオイは更にレオンハルトを煽り散らす。



「ふん、四天王風情が…さっきのがジェノサイド・クロウか。わざわざ真夜中にやって来た割には大した事なかったな。そしてさっきの一言で追加料金が発生した」



そして先程自分がされた時と同じように獣王にゴミでも見るような目を向けた後、嘲笑うように挑発的な笑みを浮かべ、声高らかに宣言する。




「追加料金は…あんたの首だぜ!獣王レオンハルトさんよぉ!!」




「ほう、ならばいつまでその減らず口が叩けるか。見届けてやろうではないか」




これから本格的に戦いが始まる。それはアオイにとって明らかに劣勢であるはずなのに…それでも変わらないどころかより一層不敵な笑みを浮かべている。私にはアオイが何を考えているのか全く分からない。




「…ようこそ、底辺(俺のフィールド)へ。せっかくここまで来てくれたんだ。手厚く歓迎してやろう」




そしてここで決め台詞か…?何だ、カッコつけて。厨二病なのか?カッコつけたいお年頃なのか?



「俺のフィールドだの訳の分からない事を言いおって!!貴様ごとき虫けら一匹、今すぐにでもブチ殺してやろう!」




「そういやお前、さっき仲間を殺されて怒っていたな。…怒ってんのはこっちも同じだ。穏やかな生活を送っていて、何も悪いことをしてない無関係な人達が大勢殺された。その時点でこっちはブチ切れ寸前なんだよ」




「貴様ごとき獣一匹、今すぐにでもブチ殺しやるよ」




アオイ…私はお前の事を誤解していたのかもしれない。私はお前を軽薄な道化師のような人間だと思っていたが、中身は本物だ。人々のため、世界のために戦う…その心は紛れもなく勇者だ。




「さっきから俺の真似をするな!死ねい!」




「…ほう、ジェノサイド・クロウですか。完璧に見切られた技を雑に放つのは悪手って知ってましたか?獣王さん」




「『メテオ・ストライク』!」




「攻撃はデスボルトさんの方が速かったですよ?どっちも当たったら俺は即死。それだったら貴方、デスボルトさん以下ですねぇ!!」



「『アサルト・ブリンガー』!!」




「おやおや?その気になった獣王さん。全然大したことないじゃないですか!さっきから擦りもしてませんよ?本当にその気になってますか?」



なんてやつだ…最初にも使ったジェノサイド・クロウはともかく、初見の技二つも危なげなく回避している。ただ速くなったメテオ・ストライクはまだしもアサルト・ブリンガーは衝撃波が出ていた。




それなのにアオイはまるで最初から衝撃波が来ることを予知しているかのように回避している。反射神経や身のこなしだけを言えば王都の勇者達と比較しても引けを取らないだろう。




「何故だ!何故当たらない!?どうなっている!!そしてその薄ら笑いをやめろ!!」




そうか…アオイはデスボルトの時もああやって、何度も回避し続けて、決定的な隙を狙ったのか…




それからもレオンハルトは力任せに攻撃するが、アオイには全く当たらない。それどころかアオイは瞬間移動すら使っていない。



「おいおい、そんなんじゃ虫も殺せないですよ!しっかりしてくださいよ、レオンハルトさん!!」




だが、流石に今回は分が悪すぎる。先程から回避後、短剣でちまちまと足首の辺りを攻撃してはいるが、傷が浅すぎる。獣王にとってはかすり傷程度にしかなっていない。




一見アオイが圧倒的有利に戦いを進めてはいるが、彼は致命的なまでに攻撃力がない。




「クソがっ!大したパワーもないくせにちょこまか…鬱陶しい羽虫め!!」




「本気でやってこのザマですか?四天王って俺みたいなカス1人殺せないやつが名乗っていい肩書なんですか?あんたの無駄に大きいプライドがボロボロになる前に早めに返上した方が良いですよ」




だが、あんな戦い方をすればいつか獣王の攻撃が命中して、取り返しのつかない事になってしまう…




アオイが体を張っていながら私は何もしない…




そんなことがあっていいはずがないだろう。レオンハルトは今、アオイを殺す事に気を取られている。周囲を見る余裕なんてない今が好機!!





「シャイニング・スラッシュ!!」




デュランダルに光の力を纏わせ、レオンハルトに向けて振り下ろす。アオイが非力な分は私が補えば勝て—




「呆れたぞ…この程度か?随分と生温いな、女勇者よ!!」




ひ、左手だけでデュランダルを受け止めた…?私と奴の差はこれ程までに開いているのか?




「メテオ・ストライク!」




「きゃっ!」




私はそのまま地面に叩きつけられ、そしてそのままなす術なくレオンハルトに上から押さえつけられてしまい、身動きが取れない。




「…勇者よ、今からお前に真の戦闘というものを教えてやろう」



「き、貴様…何をする!?…ぐ、ぐぁぁぁぁっ!!」




頼みのデュランダルも落としてしまい、手も塞がれているので目眩しのフラッシュも使えない。ただただ無抵抗な状態で身体を地面に押し付けられる。



「シオン!?クソっ!シオンを離せ!!」



「動きが単調だぞ、勇者よ!!」




デュランダルを拾い上げたアオイがレオンハルトに斬りかかるも見向きもされずに片手であしらわれてしまった。




「がはっ!」




「アオイ!」




アオイは私を助けようとしたばかりにレオンハルトに深傷を負わされ、地面に蹲ってしまった。



すまない、まさか私が勇者の足を引っ張ってしまうとは…私が人質に取られさえしなければ…!




「うっ…」



「真の戦闘とは!手段を選ばずに勝ちを取りに行く事だ!!」



「な、何をするつもりだ…!」



「まずはこいつから殺す。このまま喰い殺してやろう」




あぁ、私…これから殺されてしまうのだな。だが、これも自業自得か。



辺境の村付近に出た巨大な魔力反応が見つかった時、ミサキ達を呼べばこのような事は起こらなかったのかもしれないな。他にももっと準備できた事が…いいや、もうIFの話はやめにしよう。



「やめろ…やめ…やめて…ください」



あれだけヘラヘラ笑っていたアオイが両手を付いて、地に頭を擦り付けて非常に弱々しい声で懇願していた。



「あ?今なんと?何を言ったのかな?勇者よ!!」



「その人は私の大切な人なんです。私の事はどうしてくれても構いません。だから…どうか…シオンを殺さないでください…」



「アオイ…いいんだ。もう、いい…」



「シオン…?」



「お前はよくやった。四天王をあれだけ翻弄出来るならお前は大丈夫だ。王都には…ミサキという勇者がいる。必ずお前の力になってくれるはずだ…」




「やめろよ…俺は…俺はここまで来て…一体何のために…!」



「お前の実力と内に秘めた想いは本物だ…それにお前が最後に呼ばれたという事は神々にとってお前の存在はジョーカー。切り札なのだろう?ならお前は生きて魔王を倒してくれ…」




「世界と…私の大切な人達を頼んだぞ」



全てを受け止め、アオイに全てを託そうと思った。だが、この場にはまだ私の事を助けようとする随分と諦めの悪い男がいた。



「シオン!…勝手に死んだら許さねぇぞ!俺はお前を犠牲にしてまで魔王を倒したくはない。お前とはまだ始まったばかりだろう?…一緒に冒険したいし、遊びてぇし、俺はお前と喜びを分かち合いたいんだ!」



アオイは腹部に大ダメージを受けているはずなのにそれでも地を這いつくばって、私のところまで向かっていた。



「だから…そこにお前がいなきゃ意味がないんだよ!!」




あぁ、そうか。これが…本当のアオイなのか。煽りスキルは彼が望んで得たスキルでは無いのかもしれないな。本当のアオイは誰よりも仲間想いで、そんな心優しい男なのだろう。




すまない、アオイ…どうやら私はお前の事を勘違いしていたらしい。私ももっとお前のことを知りたい。だが、それも叶わない願いか…




ミユキ…私も今からそっちに行くとしよう。




私の人生…以外とあっけなかったな…まだしたいことは沢山あったのに…



「待っていろ、すぐ行く…うっ!」



アオイ…もういいよ。これは私のせいだ。意地でも足を引きずって、こちらに向かってきてはいるが、間に合うはずもないだろう。



「ふっ、貴様は先程言ったな?人は別れを受け止めて強くなる…と。ならば貴様もせいぜい別れを受け止めて強くなるんだな!!がっはっはっはっはー!!」




「頼んだぞ、勇者アオイ」




あぁ、そういえば私…恋、したこと無かったな。来世があるなら…恋、してみたいな…




そうして私はゆっくりと目を閉じた。




「卑劣ブレード!!」




喧しい声が聞こえてきたせいでつい目を開けてしまった。そうして再び見えた光景は獣王の口の中…では無かった。

 


どういうわけかデュランダルを引っさげたアオイがレオンハルトの両眼を思いきり斬りつけていた。




「…真の戦闘とは手段を選ばず、勝ちを取りに行く。うむ、確かに勉強になったぜ。まぁ、俺は始めからそうしていたがな!!」




「目がぁぁぁぁ!!俺の目がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」




そして獣王の威厳はどこへやら。情けない叫び声をあげて地面を転がり回るレオンハルトがそこにはいた。




「はい、馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁぁ!はい、馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!別れを受け止めて強くなれ?確かに言ったとも…俺に攻撃が当たらなくて痺れを切らした時、真っ先にシオンを殺すって考えに行き着かせるためになぁ!!」




もう台無しだ…せっかく良い雰囲気だと思ったのに…




そしてなにやら自分の思い通りに事が運んだことが嬉しいのかこれでもかというレベルで煽る。ひたすら煽る。こんな明らかに調子に乗って煽る人間は見たことがない。




「いやぁ〜楽しかったですよ。勝ったと思い込んでいるレオンハルトパイセンの滑稽な様子を眺めるのは!はっはぁ!!」




アオイは想像の100倍外道だった。表面上は小学生のような低俗な煽りをかましていながら最初からこの結果にたどり着かせるために計算して、レオンハルトを煽っていたのか。




アオイ。やはりお前は煽り勇者の名に恥じない男だ。お前程根性がねじ曲がった人間はそうそういないだろう。




「き、貴様!傷はどうした!?満身創痍だったはずだろう!?」




「傷?んなもんある訳ないだろ?短距離瞬間移動でばっちりかわして、さも攻撃を受けたかのように転がってたんだよ。余裕かましてよそ見なんかするからだ間抜けがぁ!」




ふむ、傷だらけになったフリで私を助けられないように装って油断しきったところを短距離瞬間移動で一気に距離を詰めて…と、いったところか。




随分と卑怯な勇者だな!!おおよそ勇者らしい戦い方とは思えない。




「ふっ、どうだ?俺の演技は。主演男優賞もん—うおっ!?」




思い切りぶん殴った。しかし、アオイは紙一重で回避する。




「アオイ!!お前私を囮にしたな!?」




「目立った怪我もないし、生きてるから良いだろう。今はあいつに集中しろ」



「集中しろとは言うが、レオンハルトは目にダメージを負った。これで奴は満足に攻撃出来ないだろう。最早私達の勝ちだな!」



私が勝ちを確信しているとアオイは「まだ足りない」と呟き、冷静に分析を始める。先程低俗な煽りをしていた人とは全く別人だ。



「違う。確かにしばらくは悶絶しているだろうが、ライオンは主に嗅覚や聴覚を使って狩りをしていると何かの本で読んだ事がある。やつもその例に漏れないなら視覚が潰れたくらいでは止まらないだろう」 




そ、そんな…だとしたら今の行動は一時凌ぎに過ぎないのか…?冷静になったらまた振り出し…?




「そのためのラストスパートだ。今の内に畳み掛けるぞ」



畳み掛ける?一体何をするつもりなのだろうか。少し考えているとアオイはどこからともなく大きく膨らんだ小袋を取り出し、近くの手頃な石でその袋の中身を潰し始めた。



「シオン、口を開けろ」



「アオイ?何で—むぐっ!!」



私はいきなりアオイに頭を抑え込まれ、得体の知れない袋の中身を口の中に流し込まれた。



「すり潰してはいるが、念のためしっかり咀嚼してから飲み込め。全てだ。溢すなよ」




「や、やめ…苦ひ…苦ひい…」




抗うことも出来ず、袋の中の何かを飲まされる。中の物が何かは分からないが、とても苦くて飲みきれない。




「けほっ、けほっ…こんな沢山…飲みきれな—」




「なら水で流し込め」




そこから更に間髪入れず、アオイはむせて涙目になっている私に容赦なく水を流し込んだ。




「〜っ!!」 




「ぷはぁっ!…はぁ、はぁ…いきなり何をする!!」




「あれを見ろ。奴はもう準備万端だぞ」




声を荒げて反論する私を無視し、アオイが指差した方向に目をやると目に傷跡が残り、目を閉じている状態ではあるが、レオンハルトはもう何ともなかったかのように復活していた。目を潰された怒りで私達へ凄まじい殺意を向けている。




「眼を潰されたから何だというのだ。俺には嗅覚と聴覚がある!それで貴様らを捉え、喰い殺してやろう」




「さぁ、行け。お前なら勝てる」




今まで沢山酷い仕打ちをしてきた男の事を信じろと?こちらが疑惑の目を向けると「そりゃあ、そうなるよなぁ…」とでも言いたげな表情をした後に私の肩に手を乗せて私に告げた。




「いいからやれ。ここには俺とお前だけだ。二人でやつを倒すしかない」




勝てる?お前は一体何を根拠に—




「…はーい!貴方が憎くて憎くて仕方のない勇者はこちら!こ・ち・ら!ですよ〜!!」




アオイは再び思わず殴りたくなるような声と手拍子で煽る。…ここまで来ると目が見えない相手であってもこんなに煽れるのかと逆に感心してしまう。




「そこだな、勇者よ!」



「…任せたぞ。持てる全ての力を叩き込め」




煽るだけ煽った後にアオイは短距離瞬間移動で私のすぐ後ろに飛んだ。




私はあいつの言う通りに持てる光の力全てを剣先に集め、全身全霊の一撃を放った。




「シャイニング・ブレイク!!」



「邪魔だ、どけ!!『ジェノサイド・クロウ』!!」




競り負ける…そう思っていたが、予想とは裏腹に私の一撃でレオンハルトは大きく吹き飛ばされ、地を転がっていった。




つい先程は全く歯が立たなかったはずなのに今はこちらが圧倒している…?これは一体…




後ろにいるアオイは全て俺の掌の上だと言わんばかりににやりと笑みを浮かべる。




「さぁ、王手だ…」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ