~ユーリオ~
王都にある貴族の子女のための学校に通うぼくは、従者の卵だ。
領主様のご子息であるアレクシオス様が進学されるのに付き従い、王都に来た。
ぼくは本来ならば貴族の学校に通えるような身分ではない。
でも、ぼくのような役割の人間はたくさんいる。つまり、日頃からかしずかれているお坊ちゃま、お嬢様が親元…というかお屋敷を離れ、ご入学にあたり、付き人が必要だというわけで。
ぼくは初めての学生生活を満喫している。
うちのお坊ちゃまアレクシオス様は騎士を目指しているから、基本的に自分のことは自分でなさるかたなので、そもそも手がかからない。
それでもぼくをお付きとして連れてくださったのは、きっとぼくを学校に通わせるためだ。
ぼくの家族は母一人妹一人。
傭兵だった父は行方不明で生死もわからない。
宿屋の三女だった母は、父と結婚して家を出たあと、しばらくは実家の宿屋を手伝っていた。当時から父親は仕事で家を空けがちだったが、父からの仕送りと母の稼ぎでそれなりに生活できていたように思う。
しかし、 宿屋を継いだ兄一家が子育ても一段落したとかで、母の手を必要としなくなった頃、父が仕事に出たまま行方不明になってしまった。
当然のことながら仕送りも途絶え、女手一つで幼い子ども二人を養うため、母は領主様の館で住み込みの使用人になったのだ。
ぼくもそこで簡単な読み書きや計算を教わりながら、小間使いをして育った。
また、歳の近いお坊ちゃまの遊び相手も務めさせていただいた。それが今の幸運につながっているといえよう。
ぼくのクラスは貴人の上級使用人を目指すクラスになっている。基本的にぼくと似たような境遇の平民が多いから人間関係も円滑だ。
また、希望と適正に応じて、他クラスの講義も聴講することができる。ぼくは本職ほどではないが、魔力適正があったので、魔法クラスと治癒クラスの聴講生となっている。
このクラスは午前中でほとんどの講義が終わるので、午後は他クラスの講義にあてることができるのだ。
(きっとこれも有能な使用人を育てるためのシステムだと思う)
聴講が終わると、ぼくのお仕えするお坊ちゃま、アレクシオス様がいると思われる訓練場に顔を出して、本職?の従者をするのが僕の主な一日だ。
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