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永遠の旅人

作者: 孤嶺

本編に関係がない、別な物語です。

風邪でちょっと調子がおかしかったんです。

 ――せめて次は誰かを守れる様に強くなりたい。



 生前、いや死ぬ間際にふと思ったことだ。










 今日は仕事が休みで、妻と子が学校に出発するということで見送りの為、僕は玄関に立ち手を振っていた。


 その時だ。


 朝だからか、通勤で急いでいたのかは知らない。

 一台の自動車が家の前の道を猛スピードで走り抜けていく。


 ドン!ドン!


 気付いた時には遅かった。

 妻と子は自動車事故に遭い、亡骸を残してこの世を去ってしまった。



 そう……愛する妻と子を目の前で失った。

 目の前が真っ暗になった。



 僕も後を追うと誓ったがすんでのところで足が震えて挫折する。

 自殺をするという勇気もなく、自分の弱さを呪った。


 それから人が変わったように仕事に打ち込んだ。

 それが神命だとそれで忘れられるならと、仕事を休みなくこなした。

 メインの仕事が終われば、会社に内緒で始めたアルバイトだ。

 メインの仕事が17時上がりとして、18時からの土木工事。

 朝1時までやったら2時間睡眠を取り朝3時から新聞配達をしたらメインの仕事を始める。


 コレを三ヶ月間、繰り返した。

 当然、過労死をした。




「僕はソウゴ」


 生まれて間もなく、初めて交わした言葉は名前だった。


 そう僕はこのプラヴィという星で転生した。

 名前から見れば分かる通り、地球出身者だ。

 何故生まれてからすぐにこの星の名が分かると言われれば、転生前にアルトリアという神から星の名 前、スキル、ユニークスキルなど貰い受けたからだ。


 神よ!?

 何故私如きを転生させるのだと、最初は神を相手にしたとき叫んだ。


 神は強い思念を感じ取ったから転生させたのだと。


 生まれながらの最強の力を持ち、生前やりきれなかったことをこのプラヴィという星でやり直さないか?

ということだった。


 最初は転生することに拒否していたが、転生させてくれる機会を与えられたならばその力で今度こそ大切な者を守るんだと、自分自身に言い聞かせた。




 平民として生まれながら世界最強の身体能力。

 地球での事前知識を持って転生した。


 転生してから5年が経った。


 王都アウル、村の巡回任務から戻ってきた騎士団から信じられない報告を受けた。

 5歳にも満たない子供が我ら騎士団員を負かした。

 などというのだ。

 模擬戦とはいえだ。


 何故模擬戦となったかまでを騎士団リーダーに問えば、騎士団ともあろう者が子供の遊びに対して鼻で笑ったらしいのだ。

 それに気づいた、その件の子供が模擬戦をしたいと申し出た。


 それでも最初は騎士団であることもあるが大の大人に子どもが勝てるわけがないと、危険だからと申し立てると、その子どもは鼻で笑った騎士団に向け"模擬戦も出来ない程弱いの?"

 何て言ったのだ。

 その程度で止められなかった私も悪いのだが、部下がキレてしまったのだ。


 すぐに模擬戦が始まった。

 武器は子供たちが持っていた木の棒である。


 誰もが騎士団の勝利を幻視していたが、気づいた頃には部下が倒れていた。

 その後も途中から本気になった部下が負け続けた事により、逃げるように村から離れ王都に急いで戻った。


 そのため、直ぐに王都にその武勇が知られるようになり、王都へ移住をさせられ幼いながらも騎士団へ入隊。

 あらゆるものに秀で、学問・運動・戦闘訓練と誰にも負けることがなかった。


 周りから異常な程強いと言われるのも聞き飽きた程、チートな能力やスキル。

 見たこともない魔法の使用。


 それから15歳の成人の儀の際、教会の巫女アルシェを通しプラヴィのアルトリア神から勇者だと神託を承った。


 僕はこの世界で最強の存在であり、何からも守れるんだと思っていた。

 そうだ。

 もう二度と悲しい想いさせない様に僕が守るんだ。


 実際にいくつもの災厄や人類の敵である魔王を倒してみたこともあった。

 そう。

 勇者であり英雄でもあったから。


 この力はこの世界を守れる絶対の強さなんだと。




 でも違った。

 人類史上最も恐れる災厄が訪れた。

 それは。


 ――この世界の滅亡。


 いや、世界そのものと言えるだろうか。


 僕はこの世界の神アルトリアから、世界の流れつまり神託を受け生活をしていたようなものだ。


 事あることに神託を受け、その神託を元に災厄などに対抗するために技や技術を磨いてきたんだ。

 その神託の内容を例えると。


『もう何日か後に、災厄級の龍が王都に現れる』


 という未来を伝えるものだった。


 魔王を倒し、災厄級を倒してから暫く平和な時を過ごしていた。

 ところが先日、約一年ぶりに神から神託を承った。

 その内容がコレだ。


『飽きたから、この世界は消しちゃうね。 日にちは少し遅かれ早かれ、思いつかなかったら消しちゃうかも』


 コレは…未来予言…?

 しかも世界を消す…?

 飽きたから…!?


 どういうことだよ!!


 一方的に送りつけられる神託。

 有無を言えないのが歯痒い。


 違う。

 そんなことはいつも通りだ。

 神はいつもきままな存在であり助けてはくれない。

 今はそんな問答をしてる場合ではない。


 騎士団を再編成して、この世界を消しにくる災厄を滅ぼす準備をしなくてはならない。


 所詮人種である僕らは、所詮一人。

 人類全ては救えない。

 だから、各国に呼びかける必要がある。


 この世界を守れる為に、また一致団結をし災厄を滅ぼそうと。


 各大陸、各国の王都を渡り歩き騎士団の再編成をお願いして回った。

 神アルトリアからの神託だ。

 と言って回った。


 それから二ヶ月後、騎士団の再編成を行ったという証書を受け取った。

 各国はまた戦争の準備の為、緊張に震えた。


 ――時は訪れた。

 それからまた一月後、各国が痺れを切らし警戒体制を解こうとしていた頃だ。


 世界は唐突に一点の曇りもない白の光に呑まれた。

 それから、一つの人影が空間から姿を現した。

 その姿は二十歳前後の青年といったところだ。


『プラヴィの皆、私はこの世界の管理者アルトリアという者だ。この世界では神として崇められていたかな。事情があってこの世界は消してしまうことになったこと大変すまないと思っている。本当は今のように何も言わずに消してしまう予定だったがせめての情けだ。覚悟の時間を与えよう』


 覚悟の時間だって!?


「ふざけるな! 覚悟の時間なんていらない! この僕勇者ソウゴが生きている限りこの世界に手を出させやしない! 貴様などアルトリア神を模る邪神だ!」


『そなたが勇者ソウゴだったな。この世界に勝手に転生させたことも含めてすまないと思っている。また機会があればまた会うやもしれんな。 プラヴィの民よ。今一度いう。1時間の猶予を与える、覚悟を決めよ』


 邪神はそんな勝手なことを言って、姿を消してしまった。


 なんて横暴だ。

 僕を勝手に転生させてこの世界を救わせて、用済みになったから消すなんて。

 こんなの許されない。

 あっていいことじゃない!



 ――たとえこの身が滅びようとこの世界こそ、今度こそ俺が救うんだ!!



 神が現れたことにより、街は混沌に陥った。

 天に向かい祈る者、自暴自棄になり暴れる人、憤慨する者。

 そして、この勇者のように最後まで戦い続ける覚悟を決めた者達だ。



 ――時は満ちた。

 また一時間前と同じように辺りが光で満ちたとき、人影が現れ声が響いた。


『時は満ちた。もう答えを聞くまでもないな。一部の者は戦うのだな。無意味だというてもやるのであれば言葉はもはや不要か。ではこの世界ごと転生させてしまおう。また会おう勇敢なる者達よ』


邪神はそんなことを言うと消えた。

しかし、消えたと思ったら突然。

劈くような激しい音が聞こえた。


――バリバリバリィッ!!


空間が割れた。

大地が割れた。

世界が割れた。


この世界そのものが割れる。

消える。


「覚悟とか意志とか関係ないじゃないか…。この世界をまるごと破壊じゃ為す術もない…じゃないか!ふざけるなよ!最後くらい戦わせろ!」


街が、人が、海が、空が。

すべてが飲み込まれる。

自分自身も飲み込まれた。

意識も次第に飲み込まれていった。


その飲み込まれた世界は真っ白な空間であった。




そしていつだったかの頃にもこんなことがあった。

そう、この世界に転生する以前の時だ。


背後を振り向くと人影が見え、そしてその人影は発した。


『また、会ったね。勇者ソウゴ。いや今はソウゴ、だったかな?』


まただと?

どこかであった人だった?

それに勇者?

分からない。

何も思い出せない。

ただ一つ覚えているのは…”誰かを守れる様に強くなりたい”だけだ。


『ま、覚えてないよね。そんなもんだ。あ、挨拶が遅れたね。僕はアルトリア、ちょっと君たちのいる星である事情があって、君は死んでしまったんだ。そのため、代わりとして異世界で生活してほしいんだ。君の願いはたしか…”誰かを守れる様に強くなりたい”だったね。そんな君には助けられる力を授けようと思う』

「ええ、そうです。異世界ですか?地球ではダメなんですか?」

『地球では変なスキルや超常な力を持った人はいないからね。それに異世界の方が強さを実感出来て、人を助けられる力があるのを実感しやすいと思うんだ』

「そう、なんですか…。神様、私の記憶が曖昧なのは一体…」

『すまないね。こちらに魂だけを転移するのが少し遅れてしまったんだ。それと大変申し訳ないけど、早く転生させないとこの天界では魂の力の損耗が激しい。なので急ぐよ。ここからは異世界リヴェルで過ごしてもらうね。運が良ければまた会えるよ』

「そんな!唐突すぎる!」

『では良き異世界ライフを』


また一人の人を送り届けた。

異世界リヴェル、僕が管理をしている星の一つだ。


そこでは何人にも及ぶ転生者、転移者が住まう星。

そしてそこで散っていく。

今度も強くなれるかな?


まっ強くなってまた繰り返す可能性もあるんだけどね。


そうだろう?

永遠の旅人よ。

君は僕に会うのは2回どころじゃないのだから。


今度こそ君の願いが叶うように。

まずは、本編更新してないこと申し訳ありません。


風邪でゲームも小説も書く気になれなかったくせに、仕事の休憩の合間に出来てしまったもの。

本編も書いてないのに投稿するか迷ったが、出来たので投稿。

本編ではないが、本編のキャラを出した。

もしかしたら、本編に関わるかもしれない。

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