表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒髪の伝説  作者: 百合斗
1/14

序章:生き倒れ? の旅人

更新は不定期で、文章力は皆無で、おまけに爪が甘々な小説ですが、皆様 どうか呆れ果てつつご覧ください。お願いします。

 青年の目の前には広大な草原が広がっている。注意深く見てみれば遠方に村のようなものが見えていたかもしれないが、今の青年は疲労と眠気によって、それどころではなかった。


「…ねむっ…………限界…」

 

 青年はそう言い残すとバタッと近くにあった木の根元にもたれ掛かってそのまま眠ってしまった。青年はよほど眠かったのか背中を木にあずけ、手はだらりと放り出されていた。服も所々薄汚れている。傍から見れば倒れているようにも見えた。だから、通行人が彼を生き倒れだと思ってしまっても仕方がないことだった。


――「えっ!? 人が倒れてる!! 大変!!」――















 レフォルア王国という西方に位置する中規模の国は本来なら、その土地の多くが海に面しているため漁業などの海が中心になった国になっていたかもしれないが、そうはならなかった。

 なぜなら、その肝心の海に面している土地のほとんどに険しい山脈が連なっているからである。名をオーデルル山脈という。歴代のレフォルア王の中には、この山脈をなんとか開拓して海の恵みをわけてもらおうと試みた者もいたようだが、残念なことにその試みはすべて失敗に終わってしまっている。その理由は天候にあった。原因は判明していないが、空には常に黒雲が漂っていて時に光を落としてくるのだ、いわゆる雷である。金属物を持って山頂付近に近付くと雷が落ちてきて、持主の生命を奪うばかりか、身体さえも黒ずみに変えてしまうのだ。だからといって、金属でできた武器も持たずに山を登るわけにはいかない。山には獰猛な獣が数多くいるのだ。木や石で造られた武器で相手をするのは難しい。

 山の麓から山に穴をあけてトンネルを造ろうともしたが、オーデルル山脈特有の岩石である《鋼魔岩》という途轍もなく硬い岩のせいでうまくいかなかったようだ。


 そんな山脈を背に置いている村がレフォルア王国の西の端にあった。王都ミルガディアからも離れていて、特徴もない田舎村であり、旅人も滅多に訪れてはこない閉鎖的な村であった。特に数年前のある事件が起こってからは、それがひどくなっている。


 そして、この物語はその村―――――ノイス村から始まる。










「この荷物、ここに置いとくよ」


 黒髪の少年が手に持っていた木箱を家の前に置いた。


「これで全部だ 食べ物はそこに置いてある、持って行け」


 家の中から出てきた恰幅のいい中年の男が首を食べ物の方に振りながら、少年の顔を見ずに無愛想に言った。外にある台の上に置かれている物は少量の野菜だった。それを見て少年は顔をしかめて、中年の男に顔を向けた。


「いつもより少なくないか?」

 

 男はそこでようやく少年に目を向けた。


「今年は不作だったんだ、それはおまえもわかっているだろう」

「だから、いつもより多めに手伝ったんだろ これじゃあ釣り合わない」


 文句を口にする少年に対して、男は目尻を釣り上げて怒鳴った。


「うるさい!! だったらもう手伝わなくてもかまわん!! こっちはそれでも別にいいんだぞ?」                                      

「…………悪かった、これでいい。」


 少年は悔しげにそう呟くと台の上にある野菜を手に取り去って行った。その後姿に少しの間 目を向けていた男は、フンッと不機嫌そうに家の中に戻っていった。




 少年が苛立たしく村の中を歩いていた。


「クソッ……どうして俺が………悪いのはアイツなのに………」


 少年が悪態をついていると、そこに


「リィーーーークーーー!」


 遠くから誰かが呼ぶ声が聞こえてきた。少年は声のする方に視線を向けると、そこには手を振りながらこちらに走って来ている茶髪の少女が見えた。


「あれ? シオンじゃないか、隣村から帰ってきたのか?」


 少年――リークの表情からは先程までの苛立ちは消え、純粋な疑問だけが浮かんでいた。

 少女――シオンはリークのところまで来ると、乱れた息を整えてから話し出した。


「うん、さっき帰ってきたところ、それよりも大変なの! 村を出て少し歩いた所に、人が倒れていたの!!」

「人? 旅人か?」


 リークは顔をしかめた。


「たぶんそうだと思う。旅装してたし、ノイス村でも隣村でも見たことなかった。どれだけ声をかけても目を覚まさないから、村まで運ぶのを手伝ってほしいの!」


 その言葉を聞いて、リークは目を見開いて驚く。


「村に入れる気か? 七年前の事は知っているだろ! 危険だぞ、この村には医者はいないしどうする気だ?」

「怪我はしていなかった、苦しんでいる様子でもなかったから大丈夫よ。きっと空腹で倒れたんだわ。あんな所にずっといたら、風邪ひいちゃうよ」


 シオンの瞳には、リークは絶対について来てくれる、という信頼の光が映っていた。それを見たリークは、ハァ……と軽くため息をついて頷く。


「わかった。手伝うよ、案内してくれ」

「!!―――うん! ありがと、ついてきて!」


 シオンは草原に倒れている青年の元へと走り出した。その青年がノイス村に何をもたらすのかも知らずに…… 


  

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ