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プロローグ

始まりました自家発電!

誤字やタグのご指摘ありましたらよろしくお願いします。(優しくしてね)



特別な人生ではなかった。


誇る物があるわけではなかった。


日常に不満がないわけではなかった。



けれど___私、幸せだったのに。






全ては冬の晴れた日のことだった。



「結婚しよっか」



突然彼に言われた言葉にその日の私は有頂天になっていた。それもそのはず、5年も付き合ってやっとプロポーズして貰ったのだ。5年は長い。新社会人だった私がそれなりにしっかりした社会人に育つくらい、には。

待ちに待った彼からの言葉に私がはにかみながら頷くと、彼も嬉しそうに笑った。どうやらとても緊張していたらしい。本音を言うならプロポーズにもうちょっと特別感が欲しかった。しかし私だって完璧な彼女ではないのだし彼に求めすぎるのも良くないだろう。

その後はこれからの話をして彼とは別れた。

もっと一緒に居たかったが時間はまだある。お互いに社会人。次の日に響きそうな事は慎むべきだろう。



いやあ、めでたい。実にめでたい!



彼と別れてからも頭の中でめでたいが乱舞している。

ウキウキで家から一番近いコンビニに入り、金色に輝くお高めなビール缶を購入し帰路に着く。


「ふふふー、そうか、私もついにかー」


カツカツとヒールを鳴らして歩き始めてすぐにスマホが鳴った。

通信アプリを開くと○○からだ。


○○:アイス食べたい


○○と私は双子である。幼い時はどちらが兄か姉かで揉めに揉めたものだ。ただ、お互いに二十代半ばを過ぎた辺りからは逆に譲り合って小競り合いしているが。

当時は憧れた姉の立場だったが、大人になった今は妹という立場の方が都合が良い。○○には無駄な足掻きと言われるがニーズとは時間の流れとともに変わるものなのだから仕方ないのである。


○○:××は超カップのバニラだってー


残念。コンビニは通り過ぎましたー


よく分からないスタンプを沢山送られる前に現在地を伝えておこう。

そうそう××とは一回り年下の弟である。

我が家の両親は所謂子連れ再婚ってやつで、私達は父の、××は母の連れ子だ。

血の繋がりの無い私達だが最近はそんなの珍しくもない。小さい頃から遊んで遊んでと人懐っこい××に仕方ないなぁとばかりに付き合う私たち双子。両親の関係が破錠しつつある今でもなんとか家族の体を成しているのだから連れ子同士の相性って大事だとつくづく思う。


××:ねえちゃん!さっき逆鱗手に入れた!蘇生薬作って!

○○:勉強しろ受験生ww


そんなやりとりを読みながらふと思った。

ゲーム、引退しなきゃなぁ。

××の反抗期にコミュニケーションがてら三人で始めてかれこれ数年が経つ。

○○と××はハマったみたいであれこれしていたが、私は使用キャラがある程度育ってからは狩りに出ずにミニゲームだけをして遊んでいた。ぶっちゃけると付き合いで始めた私は操作が下手くそ過ぎたので戦闘に参加せず補助のみ。そりゃ飽きるってなもので最近はほぼ惰性で続けていた。

結婚するのならば兄弟とのコミュニケーションよりも彼とのコミュニケーションを優先すべきだろう。

そう考えると結婚とは名字が変わるだけでなく内面的な物も変わらなければいけないのだなぁ。


「あー、△△の名字ともお別れかー。感慨深い・・・て、あれ?」


△△は私の名字だ。

なのに、なんで。


「・・・△△。△△、△△、△△!!」


認識出来ない。


「え?なにこれ気持ち悪いっ」


気持ち悪い。自身の名字だけがまるで何かに塗りつぶされたかのように認識出来ない。不安になって半ば反射的にスマホの画面を見ると先程のやり取りが目に止まる。


「あ・・・」


○○:アイス食べたい

○○:××は超カップのバニラだってー

残念。コンビニは通り過ぎましたー

××:ねえちゃん!さっき逆鱗手に入れた!蘇生薬作って!

○○:勉強しろ受験生ww




「○○、××・・・。え、え、なに、なにが起きてんの・・・」


心か脳の病気?

頭に過ぎる可能性に冷や汗が止まらない。名前がわからなくなるなんて仕事はどうしよう。明日は休むとしても明後日や明明後日は?それに、彼は、彼はこの事を知ってなお私との結婚を望んでくれるだろうか。

思わず一歩下がるとぐらりと視界が反転した。そうだ今日はヒールが高い靴を履いていたん だ っ た 。傾く身体、地面に落ちるビール缶、なんだか全てがゆっくりと感じた。


まあ感じただけであって重力は待ってはくれない。

そのまま地面にぶつかる!と思われた私の体は次の瞬間、何故か地面をすり抜けそのまま落ちていった。




「わあぁああぁあぁあああ!!!」



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