師匠と弟子
「うーん、探すと言ってもどこ探しゃいいんだ?」
森中を歩き回りながら適当に探してても埒があかねぇ。一番近い町のバルビの町でも行くか?
「おっと・・・」
俺はモンスターを見つけ、取り敢えず木の影に隠れると同時に、地図に記載されているモンスターリストを読んでみた。
あのモンスターは、どうやらランボアというモンスターらしい。猪の様な姿だが、紫の体毛に、額に生えている一角をみる限り、やはりここは異世界なのだと再確認できる。
「ランボアは音に敏感。そして極めて狂暴、か
。じゃあ別の道で探すか」
まぁ道なんて森に無いけど。そういえばランボアの肉を何度か食べたことあるが結構旨かったな。まぁ日本の肉と比べたら獣臭かったが。
「ん?」
俺は別のランボアを見つけまたまた迂回しようとしたが、またもやその先でランボアを見つけた。
「これ、ランボアの縄張りに入っちまったな」
ここは音便に、かつ足早にここから離れなければ。と、思った矢先に足元の枝を踏み、ぺきりと音を鳴らしてしまった。
「あ」
すると一斉にランボアが四方八方から突進してきた。
「これ、詰んでね?」
「『スナイプショット』」
謎の言葉と共に、数本の緑色の光がそれぞれランボアを射ぬく。そしてランボアはその行動を停止した。
訳もわからず立ち尽くしていた俺に、謎の男が現れた。
「あー、えっと、今のやつあんた?凄いな今の。助けてくれてサンキュー」
男は深緑で鍔の大きいとんがり帽子をかぶり、獣の皮と思われる茶色のローブ。皮の手袋とブーツを穿いた冒険者らしい服装をしていた。
「お前そんな無防備な格好で何をしに森へ来た。ここはガキの遊び場じゃねぇんだぞ」
カチンと来た俺だが平常心を保った。この人にドミリという人について聞くためだ。
「あの、ドミリって人知りませんか?用があるんですけど」
「あ?ドミリって俺のことだが?」
「え?・・・ええええええぇぇぇぇ!?」
「あ、ちょっ、馬鹿!ランボアとかよってきちまうだろ!」
なんだろう。根拠はないがこの先やっていける気がしない。
「あー、お前が例のくそガキか」
俺はドミリ宅、といっても秘密基地みたいな家だが。そこで色々と話を聞いていた。
「ま、ドラードさんの紹介じゃあしょうがねぇか。おい、俺が今日からお前に冒険者のノウハウを教えてやるドミリだ。師匠って呼べよ」
「あ、はい」
正直納得いかない。何でこんなやつがドラードさんの知り合いなんだ?
「じゃ、早速外行くぞー」
「あ、その前に一ついいですか?あの、さっきランボア倒した時に使ったあれ、何なんですか?」
「あ?スキルのことか?」
スキル・・・?
スキルってあのスキルか?俺の友人がスキレベがどうとか言っていたが、そのゲームとかに出てくるスキルか?
「まースキルは後だ。取り敢えずお前の実力を知りたい」
そうして外へ出ると、師匠に木の短剣を渡された。
「ほら、そいつを使って俺に一発あててみろ。因みに俺はなんも使わねぇ」
何だ、わりと簡単なゲームだな。モンスターならともかく、ケンカばっかりしていた俺にはとっては余裕だな。
「そんじゃ、始め!」
すると掛け声と共に俺は走りだし、早速師匠へ斬りかかった。
「ふん。動きは悪くねぇが単純すぎだ。モンスターも馬鹿ばっかじゃねぇ、そんなんじゃ反撃食らって死ぬぞ」
くっ、当たらねぇ!それに師匠はまだまだ余裕そうだ。
「よっ」
すると師匠は素早い蹴りで俺の短剣を蹴り飛ばした。
「んー、こいつは鍛えがいがあんな」
こうして俺と師匠との修行が始まった。
今回短くてすいません!
ドミリ構想の時点じゃこんな性格悪くなかったのに・・・。