覚悟と親子
「何でこんなとこに・・・!?」
偶々読んだ新聞、そこに写っていた衝撃の写真。それは・・・。
「真矢・・・」
するとドラードさんが丁度リビングへ入ってきた。
「お、キュウ坊。勇者様の名前は覚えてんのな。あ、また勇者様魔獣ぶっ倒したみてぇだな!がははは!」
勇者・・・!?
真矢が勇者ってどういうことだ?そういえば、三年前真矢が消えるとき紋章が足元にあったけど、それって勇者を召喚するための・・・?
あぁ、くそっ!ヒントなんていくらでもあったじゃないか。真矢が消えたときと勇者が召喚された時間の一致。紋章による召喚。何で気づかなかったんだ!
「どうしたキュウ坊?何か顔色わりぃみてぇだけど」
「あ、いえ、大丈夫です」
内心全く大丈夫では無いのだが、まさか勇者が自分の恋人だと言っても軽蔑されてしまうだろう。いや、この二人に限ってあり得ないと思うが・・・。
「二人ともー、ご飯できたわよー」
「あああああぁっ!寝れねぇ!」
その日の晩。俺は真矢を見つけた事に興奮を隠せず、悶々としいていた。
「そうだ。やっと掴んだ真矢の手がかり。自分責めてもなんもかわんねぇ、ここは前向きにいくぜ!でも、どうやって真矢と会おう。会えたとしてもどうやって帰れば・・・あぁもう!」
今日は寝れなさそうだな。
「どうしたのキュウちゃん!その隈!」
結局一睡もできず久々にオールナイトしてしまった俺は、中々にでかい隈をつくってしまった。しかし、ただ眠れなかったわけではない。俺はとある一つの名案を思い付いた。とひあえず真矢と会うための作戦だ。
「あにょ、ロペルひゃん。一つお願いがありゅんれすけろ・・・」
やべぇ、眠すぎて呂律が究極に回らねぇ。
「と、とりあえず昼寝でもしたら?昨日から顔色も悪いし、寝ればきっと治るわよ。ま、それでも治らなかったら教会にでも行って神様に治してもらいましょ?」
俺はとりあえず全力で寝ることにした。
「・・・みゃ?」
謎の単語を口にしながら起きた俺は、とりあえず(借りてる)自室から、のある一階(自室は二階)へ降りることにした。
外は日が沈む直前で夕陽が世界を照らしていた。
「おお、起きたかキュウ坊。元気になったみてぇだな!がははは!」
「いやぁ、ご心配おかけしました」
ドラードさんはいつも通り新聞を真剣な目付きで読んでいた。
「お、キュウちゃん今度はちゃんと寝れたみたいね。今丁度ご飯ができたところよ」
今日の献立はランボア(猪型のモンスター)のソテーとパン。なんか色彩のいいサラダ・・・って俺献立説明するの下手だな。もうやめよう。
「・・・あの、二人に相談があるんですけど」
俺は少し緊張気味に話始めた。
「俺、冒険者になりたいんです」
「・・・何でだ」
ドラードさんが何故か怖い顔をする。
「ほら、俺この家で迷惑ばかりかけてしまったので、お金稼いで親孝行みたいなことしようかな、と」
いや、これは建前だ。半分本当だけど。俺の本当の目的は、強い冒険者になって真矢と接触することだ。
もう少し詳しく説明すると、俺が冒険者となり魔獣と戦える位に強くなる。そうすれば真矢は勇者だから必ず魔獣討伐に参加する。そこに俺も参加すれば、真矢と会えるというわけだ。
「ならん」
「えっ」
俺は正直困惑していた。二人はすぐに了承してくれると思っていたし、こんなにすぐドラードさんにダメ出しを食らうとは・・・。
「な、何でですか?」
「キュウちゃんだって、別にいいのよ、親孝行なんで。私たちキュウがいてくれるだけで幸せなのよ。息子ができたみたいでね」
「それでも、どうしても冒険者にならなきゃいけないんだ・・・」
俺の覚悟を受け取ったのか。暫くの無音の時間の末に、ドラードさんがよし、と話を始めてくれた。
「何でキュウ坊を冒険者にしたくねぇか。その訳を話す。だからキュウ坊も、冒険者になりてぇ本当の理由を聞かせてくれ」
ドラードさんには、いや、きっとロペルさんにもお見通しだったのだろう。
「俺たちには、昔冒険者をやってたんだ。」
それは知っている。何故なら、普段からドラードさんがクエストをうけお金を稼いでいることは教えてもらったからだ。今は高齢(この世界の平均年齢は50歳なので40歳前半は高齢)なので捜し物や採取クエストばかりらしいが。
しかし、俺たちということはロペルさんもか。まあバルビの町へ行く途中モンスターと何回か遭遇したが、全部ロペルさんが倒していたし予想はついてたけどな。
「そんで、一人息子がいた」
あ、それはさすがに初耳です。