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黒矢の異世界者  作者: 勇崎シュー
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召喚と転移

「イギャアアアアアアッ!」


 それは、獲物を撃ち取った歓喜の咆哮だからか、俺の鼓膜を破る勢いの雄叫びだった。

 いや、そんなことはどうでもいい。

 今俺が気にすべき箇所は、

 

 化け物によって引き裂かれた、俺自身の腹部だ。

 

 事を説明するには、今から三年前に遡る必要がある。


「おっ待たせー」


 校門前で待っていてくれた真矢に、俺は少し気だるそうに話しかけた。


「遅いぞー、何やってたの?」


 真矢が頬を膨らませながら俺に疑問を投げつける。


「いやー、ちょっち試合が長引いて・・・」


 部活には入っていない俺だが、今日は偶々バスケ部の助っ人を頼まれていたのだ。


「ふーん、また助っ人やってたんだ。で、勝ったの?」


「ふっふっふー、今回も見事に大勝利!流石俺!」


 自信過剰に振る舞い、真矢を笑わせる事に成功した俺は、まだこれから起こる悲劇に気づけないでいた。

 

「じゃ、俺はこっちだから。また明日なー」


 いつもの分かれ道、俺たちはここで帰り道が別々になる。そのため俺が真矢から去ろうとした瞬間。


「あっ、ちょっと待って」


 真矢に引き留められた俺はどうしたと真矢に問いかける。


「あのさ・・・」

 暫くの沈黙、しかし、それを打ち破った真矢の言葉は違和感を覚えるものだった。


「あれ?何か聞こえる・・・?」


「ん?なんも聞こえないけど」


 疲れてんのか?と思った俺だが何か様子がおかしい。


「うっ・・・」


 真矢が蹲り何やら苦しそうだ。


「お、おいっ!真矢、大丈夫か!」


 俺は真矢の元へ駆け寄り、しゃがみこみ肩に手を当てた。


「怖い・・・助けて、窮真・・・!」


 刹那、真矢の足元に蒼白く光輝く紋章のようなものが浮かんだ。


「真矢!俺が絶対守るから安心しろ!だから・・・」


 すると真矢は紋章に吸い込まれるようにして消えてしまった。


「う・・・うそだろ・・・?」


 俺は頭が白に染まり、状況が整理できないでいた。


「真矢・・・俺が絶対探し出して連れ帰ってやる・・・待ってろよ!」


 今ある喪失感や鬱屈とした気持ちに打ち勝つ為に、俺は今やるべき事を言葉としてだし、覚悟を固めた。

 

 真矢が失踪してから三年後。

女子中学生謎の失踪。その犯人にはまず俺が疑われ、裁判にもかけられてしまった。 しかし、証拠不十分とされ、不起訴となった。


最初の一年は真矢の両親に疑われまくり大変だったが、今はすっかり打ち解けている。


 俺は、今も高校に通いながら真矢を探している。そんなある日。


「いない・・・か、まぁこんな所にいればもうとっくに見つかってるよな。」


 今日は少し遠出して隣町に来ていた。その町の林で真矢を探していたのだが・・・。


「今日も収穫無しだったな。・・・くそっ」


 どこ行っちまったんだよ、真矢・・・。


「ニャー」

  猫の鳴き声が聞こえ振り向くと、一匹の黒猫がそこにいた。


「おー、猫ちゃん、なんだお前迷子か?」


 首輪は無い、ということは野良か。


「ニャオッ」


 すると黒猫は、俺のリュック鞄に着いていたキーホルダーを引きちぎり奪い去って行った。


「いや、ちょっと待て。それ真矢とお揃いで買った思い出のキーホルダーなんだけどおおおおっ!」


  俺と黒猫との鬼ごっこが始まり数分後。


「やっっっと追い詰めたぞ、泥棒猫・・・!」


  息を切らしながら路地裏に追い詰めた黒猫に指差し勝ち誇った表情をする俺。


「ニャー」

「あっ!」


  すると黒猫は観念せずに、崩れていた壁の小さい隙間に入り込んだ。その隙間は小学生がぎりぎり入れるかどうかくらいの大きさだった。


「くそ、入るしかねぇか。お邪魔します・・・ん?」


 なんだろう。黒猫の入り込んだあの隙間に違和感を感じる。こう、ぼやけているというか歪んでいるというか。


「ま、いっか」


  俺は軽い気持ちで隙間に入った。


「・・・んぁ?」


  あれ?俺何でこんな所で寝て...?今まで何してたっけ?あぁ、そういやいつもみたいに真矢を探して、その後猫にキーホルダー盗られて、追いかけて、壁の隙間に入って・・・。

入って・・・?


 がばっと起き上がった俺が見た光景は。


「ここ・・・何処ぉっ!!?」


  見渡す限り草原が広がり、その中には小川も見える。おそらくここは丘の上だ。

 でも何でこんな所に・・・、壁の中の人の土地こんな広かったのか?でもこんな広い土地聞いたことないぞ、ましてや日本に。


「あっ、そうだ猫。」


 猫の事を思い出した俺だったが、ふと後ろを振り返ると、森が広がっていた、つまり。


「あれ?俺何処からきたんだ?」


  迷子になった。


  間違えた。完全に間違えた。何で俺、森の中入っちゃったんだろう? 馬鹿だ俺、草原のほうが人とか家とかもっと見つけ易かったのに!


  どんなに嘆いてももう無駄だ、だって来た道もう分かんないもん。


  二重に迷子になってしまった俺だが、諦めるという選択肢は俺には無かった。死んだらもう二度と真矢に会えなくなるしな。

  すると唐突に、がさっと、草が揺れ、掠れた音がした。風は吹いていない、つまり人だっ!

  俺は希望を胸に振り向いたが。


「・・・ッ!?」


  俺は目の前のあまりに異常な光景に思わず息を呑んだ。


「イギャアアアアアアッ!」


 それは、獲物を撃ち取った歓喜の咆哮だからか、俺の鼓膜を破る勢いの雄叫びだった。

 いや、そんなことはどうでもいい。

 今俺が気にすべき箇所は、

 

 化け物によって引き裂かれた、俺自身の腹部だ。

初投稿です!

まだまだ未熟な作品ですので暖かい目で読んでいただけると助かります!

応援宜しくお願いします!!

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