光②
「2つか、3つしか見えない……、それはおかしい。
俺にはいくつもの色の光が見えている。
青色や赤色、黄色、黒色、そのほか色が重なって見えるような複雑な色などなどだ……」
少女が言っていることが常識なのかもしれないが、実際に見えているのは事実で、体験していることなのだ。
逆に少女が言っていることのほうが信じられない、だまされているのではないか、と思う直樹。
しかも、声音と髪の雰囲気から、俺が最初にこの地獄に来たときに、リリアから怒られていた少女だということもわかった。
もしかしたら、俺に対していい感情を持っておらず、嫌がらせをしに来ただけじゃないかと、推測された。
好意からきた結果での迷惑と、嫌がらせからくる結果の迷惑。それぞれ、結果は同じ迷惑かもしれないが、意味合いは全然違う。
(あまり関わらないほうがいいな……、途中で嘘をついたとしても、そうそうにお引き取りいただくのがいちばんかもしれない。
しっかし、さっき、様々な色の光が見えると言ってしまったのは失敗したな。
1つしか見えないとか、1つも見えないなどと、嘘をついておけば、こんなことにならんかったかもしれない。
このことは、教訓として、このことを生かしていくことにしよう)
などと直樹が考えていると、
「じゃあ、これを持ってみて、」
と、少女が30cmぐらい長さの木の枝を差し出してきた。枝には主に青色の基調で見たことのない模様が描かれている。ファンタジーの漫画などで魔法を使うときにでてくる杖のようである。
「……んっ?」
杖を受け取る直樹。
杖に書かれている模様がどこか科学的ではない印象、霊的な、呪術的のようなを受け、本当は杖を受け取るのを拒否したかった。
そう、受け取ってしまうと、未知の経験、新しい世界に引き込まれてしまいそうで、本能的に関わりたくないと思ったのかもしれない。
だが、拒否するとしつこく『もつように』と言ってきてめんどくさくなりそうだったため、何も抵抗せずに杖を受け取ったのだった。
なんとか少女に早くどっかへ行ってもらうために、今の直樹の頭の中は高速で回転しまくっているのだ。
「じゃあ、杖で、青く光っているところを突っついてみて!」
何も説明することもなく行動を促す少女。
杖で青く光っているところを突っつくと、何かが起きるらしい。
まだ会ったばかりなのに、あれこれとうざいな。
(青く光っているところを突っつくのじゃなくてこの少女を突っついてやろうか)
と、思って少女のほうを見る直樹。
一瞬、少女と目が合う。
俺よりは少し年下かもしれない。
ブロンズ色の髪で、肌は白く、顔は整っている。
同じ高校に通っていれば、かわいいと評判になっていただろう。
(少女を突っつくのは難しいな、)
少女を突っつくとセクハラみたいになってしまいそうだと思い、少女を突っつくのをやめる直樹。
そして、少女が言う通りに、青く光っている場所を、杖で突っつくことにした。




