光
「お姫様は純粋だから嘘ばっかりついちゃダメだよぉー」
(ひょっとして……、リリアとは別のめんどくさいのが来たのか?)
リリアの声とは別の少女の声が聞こえてきたので、そう思った直樹。
なんだかうっとうしく感じるリリアが、勝手にどっかに行ったからようやくゆっくりと眠れると思い、目を閉じたときだったから、余計にめんどくささを感じた。
しかも、言っている意味がまったく訳がわからない。
お姫様っていうのは、リリアのことだろう。一緒にいた者たちを従者と呼んでいたし、行動や態度から、それなりに身分の高いものだと推測できた。
だが、『嘘』ってなんだ? 俺はここに来てから何も嘘はついていない。
むしろ、いきなりキスをされ、ひどい苦痛をあたえられたことから、むしろ被害者だと言っていいだろう。
よく訳がわからんいじょう、寝たふりをして、無視だ、無視。
と、直樹は寝たふりをしてやり過ごそうとしたのだったが……、ものごとはうまく進まない。
「うっ……!」
いきなり頬に冷たいものをあてられ、驚きの声をあげる直樹。
どうやら氷のようだ。
(が、まあいい、このままほおっておくか……)
と、直樹は思ったが、
「いったい何すんだよ!」
と、言いながら、氷を払いのける。
少女が氷を当て続けるのはそんなに長くない、と思ってほおっておくことにしたのだが、なぜかずっとあてたままで、むしろグリグリと氷を頬に押し付けてきたからだった。
氷を当て続けられた、冷たくてたまったもんじゃない。
だから払いのけたのだった。
「無視するから氷をあてられることになるんだよ。
それで、さっきお姫様と一緒にいたときに言ってた光が見えるってどういうことなんだ?」
「見えるから言ったまでだが……、なにか問題でも?」
「問題ありだね。
魔王様は魔法が使えないって言っていたのに、いきなり複数の光が見えるなんておかしいね」
「おかしいって、光が見るようになったのはなんかの儀式のあとからだから、儀式によって見えるようになったんじゃないか?」
と、言う直樹。
リリアにキスされたことを儀式、と表現したのだった。
リリス自身が生贄なるために行ったと言っていて、儀式とは表現していなかったが、儀式には変わらないだろう。
そもそも、生贄ってなんなんだ?
とかと、考えていると、
「儀式をやったからって、複数の色が見えるなんておかしいね」と、言う少女。
「なぜ?」と、言う直樹。そんなことを少女から言われたって、訳がわからない。見えるものは見えるのだから。
「『なぜ?』って、それはどんなにすごいと言われている魔法使いであっても、よくて2つか3つまでしか見ることができないからだよ」




