表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/17

8 少女達と、後輩の相談。


軽い質問の後、私は水晶玉に意識を集中させた。


占う場合…私は大まかなアタリを水晶で、細かくなっていったらダウジングにする事にしている。支援科ともなれば、一発で当てるんだろうけど…まぁ、そこは専門じゃないから仕方ない。と言うか、支援系と相性悪いのに、占いだけ何故か出来る私の方が可笑しいのだろう。それこそ今更気にしても仕方がないし、何より地味に時間もないから、その考えは頭の隅に放っておく。(放課後の時間は長いっちゃ長いが、無限ではない。)


…ただまぁ、今回はダウジングをする必要性はなかった。そもそもダウジングは失せ物探しとか、目的がハッキリしたモノを占うのがメインだから…もう少し具体的な――それこそ失せ物探しだったら役立ったんだけど…今回ばかりは、ダウジングは無意味だろう。


「ん〜…親友と同じ人を好きになったか。」


「っ!?」


水晶を介して見えた結果を、呟き程度の音量で言葉にしただけなのに、分かりやすく体を揺らした目の前の後輩…話した感じ受動的なイメージを受ける子だから、色々と悩みもあるとは思っていたけど…この悩みはまた、解決が難しいな。


個人の問題なら、私達が動くだけで多少良くなったりするんだけど…複数人が絡む場合、色々と考えなきゃいけないからなぁ…ああ、面倒だ。見放す訳にもいかないから、なおの事面倒だ…。


「好きになった男の子と君達三人は幼馴染み…かな。生まれつき家が近所で、偶然三人とも魔法の才能があったからこの学校に来た…で、合ってる?」


「…あ、合ってます。」


ここまでは、水晶を介して見えた結果から推理できるんだが…ここから先は、彼女の主観になるから難しいんだよな。


「最近、男の子と君の親友が一緒に居る回数が増えてきて…まぁその、恋してる目になってると勘付いたと?」


「はい…とても、私の親友を愛おしそうな目をしていましたから、彼。ずっと側に居た私達は…少なくとも私は、早い段階で気づきました。」


んん〜…これは、面倒事の中でも、中々面倒な案件だな…まぁ、恋愛が絡めば大概面倒なんだけど……って、私『面倒』言い過ぎだな。自重しよう。


「ふむ…精度は下がるけど、一応相性占いも出来るんだが…どうする?」


「……お願い、出来ますか?」


マジかぁ…こりゃ、相当だな。


今までも、何回か恋愛相談はこなして来たつもりだけど…やっぱり、今までそれらしい恋愛の一つもした事ないから、私はこの手の相談は苦手だ。


とは言え、依頼人から頼まれたからなぁ…やる気はあまり起きないけど、やるしかない。後輩と先輩…そして、何かと頼ってくる幼馴染みが見ている手前、前言撤回した場合、後が怖い。


再び水晶に意識を集中させて、先程見えた男子と依頼人の未来を占ってみたのだが…中々頭を抱える結果が見えてしまい、思わず眉間にシワが寄ってしまった。


何と言うか、相性占いの事を言ってしまった数分前の自分を、呪いたくなる結果だったのだ。


「ん〜…すまん。今回私は、そんなに役に立たないかもしれない。」


「えっ、どういう事ですか!?…まさか、あの子の方が…。」


ああ、そうだよな。今みたいな言い方をしてしまえば、依頼人である後輩が誤解をしてしまっても仕方ないか…さっきの、時雨と部長に向けて言ったつもりだったんだが…。


「私って、今みたいに片方の相手が居ない状態では、相性占いの精度がガタ落ちするから、必ずそうなる訳じゃない…だが、私が見たこの事実は…あまりにも君達に酷でな…。」


「…『君達には』?泉、それってどういう意味だよ。」


着目点は良いのに、どうして聞き返してしまうんだ私の幼馴染みは…普通に頭が回れば、簡単に辿り着ける発想だろうに。


「そのまんまだよ。時雨…彼女も察しているだろうから言うが、彼女の幼馴染みは、彼女でも彼女の親友でもない、第三者の女の子の可能性が、偶然さっき見えてしまったんだよ…。」


「…あっ!!」


やっと気付いたか、コイツ…普段子供っぽさすら感じる無邪気な部長ですら、すぐに私の言葉の真意に気付いたのに…男子と女子で、それぞれ考える恋愛観に差があるのは仕方ない…が、私達の部活は、柔軟な頭で取り組まないといけない。現に寄せられたりする相談は、恋愛相談の方が地味に多かったりするし。


「もう…しー君は、女心に鈍すぎだよっ!!」


「うぐっ…で、でも、この中で男子は俺だけですよね?そんな責められなくないですか?」


「ふむ…確かに一理あるが、時雨もボランティア部の一員…これまでも数多くの恋愛相談を受け、時雨自身の頭の回転は悪くないのだから、分かっても可笑しくないよな?」


「くっ…。」


さて、ボランティア部の茶番はこれぐらいに抑えておいて…そろそろ本題に移ろうか。


無意識に時雨や部長が居る方に向いていた体を、私が出来るだけ自然な動作で相談者の方に向き直し、私から中断した話を再開させる。


「さっきも言ったが…私の力はそんなに強くない。卑怯な言い方かもしれないが、あの結果は『もしも』の可能性として受け止めてくれたら良い。」


「…いえ、大丈夫です。考えてみたら、当たり前な事ですし…先輩が、占ってしまった事へ責任を感じる事も…ないです。」


彼女は僅かに青ざめていたようだが、言動はしっかりしていて…混乱はあるが、私が伝えた『もしも』をちゃんと受け止めているようだった。


「…ねぇ、しー君。本人目の前にして、こう言ったらアレなんだけど…どうする?」


「俺らが動いたら、事態が悪化しかねませんからね…動かない方が、双方にとって身のためですよ。」


後ろで、コソッと部長と時雨が会話しているのが聞こえたが…私も時雨の意見に同意だったので、何も言わない。


こう言う場合…第三者が下手に動くと、現状より事態を悪化する可能性が存在する。今回の場合、下手をしたらその可能性に引っ掛かりかねない。


藪を突っついて蛇が出てきては、ボランティア部が――と言うか、その人の悩みをどうにかしようと奔走したボランティア部のメンバーが負うリスクが、その可能性と天秤にかけるまでもなく明らかなので…取り敢えず、この手の恋愛相談は、自分達なりに一生懸命アドバイスをして…後は当事者に任せるしかない。色々な意味で、当事者任せの方が都合が良いし。


「お気遣いしていただいて、ありがとうございます…まだ少し、私の気持ちの整理が出来ていなくて…そうしていただけた方が、嬉しいです。」


「ふわっ!?…き、聞こえちゃってた?」


「ふふ…はい。」


そりゃ、私でも聞こえたんだから、私とそんなに距離のないこの後輩が聞こえても可笑しくない。…まぁ、私は聞こえた事を言っていないから、部長も時雨も驚いているんだろうけど。


「じゃあ…中途半端になってしまったが、私達はこれで失礼する。…また何か困ったら、遠慮なく来てくれ。出来る限りの力にはなる。」


「…はい。」


切なそうに笑う後輩の顔を見ると…魔法が使えるだけの一学生である私達では仕方ないのだが、だからこそ己の無力感を感じずにはいられなかった。


…まぁ、この最悪に分類される後味は兎も角、これでこの後輩のお悩み相談は終了か。


「ちょおっ!!いずっちゃん、それ私が言う筈だった台詞なんだけどっ!?」


「部長…これ以上の茶番…いえ、ツッコミは良いですから。」


「しー君!?今茶番って言った?言ったよね!?いずっちゃんも、」


ギャーギャーと子供っぽい駄々をこねる部長を…最初とは真逆に、私と時雨引っ張っていきながら、一年生の教室を後にした。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ