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13 少年と、誘惑する女。そして少女。


保健室のドアを開けたら、誰かが居る気配がした。…アレ、保健の先生帰ってきたのかな?でも、それにしては姿が見えないし…可笑しいな。


泉と一緒に困惑していた俺だが、取り敢えず空いているベッドにドワーフ君を寝かせた。ずっと俺が背負っているより、ベッドの方がドワーフ君の体が休まるだろう。…何より、ちょっと背負い続けて背中痛くなってきたし。


「うあぁ、背中バッキバキ……ふう、保健の先生戻っていますか?」


背中をバキバキっと音を立てて解してから、いまだ姿が見えない保健の先生に声を掛ける。…すると、姿は見えないのに…スゴく聞き覚えのある声が聞こえた。


「やぁやぁ、島津君。保健の先生がちょっと手が離せないから、私が助っ人として来たよっ。」


その声に俺の体が強ばっていると知ってか知らずか、保健室の奥から生徒会長が出てきた。…泉は何かいつものポーカーフェイスだった。


長く豊かな黄緑色の髪を揺らし、女性らしいさがありつつ涼やかな印象を受ける美しい顔、エメラルドの様に煌めく瞳…そして出る所は出ていて、引っ込む所は引っ込んで、真面目にしていればモデルと言うより女神と見紛う美しさと神々しさを兼ね備えた、そんな女性が…俺が所属している生徒会のトップの、生徒会長その人である。


「せ、生徒会長……お疲れ様です。」


美しさと神々しさと、俺に対する熱い視線でたじろぎつつ、取り敢えず挨拶はちゃんとしておく事にする。…何も話さないと、正直気まずい。


「ふふ、そんなにかしこまらなくても良いよ。好きな男の役に立てるのだ、嫌と思う女は少ないだろうさ。…ところで、そちらが君の幼馴染みか?」


さもふと気が付いたみたいに、生徒会長は泉に目を向ける。その目はどこか品定めをしている様な、見極めている様な印象を受けた。…ちょっと、気分が良いものではないな。


「…汐田泉と言います。」


「汐田さん、知っているよ。君が『反射』の力を持っているのも知ってる。君が私の知らない島津君を知ってるのも知ってる。」


「は、はぁ…でも時雨……島津君は、昔っからこんなんでしたよ。」


「気を使わなくても良い。仲が良い事は明白だ。…だがしかし、島津君は私が貰う。」


…何か生徒会長、また自分の世界に片足突っ込んでないか?段々語尾が強くなって…気持ち泉が引いてる。


にしても、泉はスゴいな。あの生徒会長に色々言われても表情はずっと変わらないし、何より落ち着いている。…見習いたいなぁ、そういう所。


「じゃあ、お言葉に甘えますが…生徒会長。その言い分だと、時雨の気持ちは無視ですか?」


「無視ではない。私が本気で掛かれば島津君はイチコロだろう…私は、エルフにしては肉感的だからな。」


「…時雨は、そんな表面的な魅力だけで人を好きになったりはしないと思います。」


「おや?だからといって、私のこの肉感的な体が嫌いな男も少ないだろう?」


男って、単純に見えて意外とデリケート何だけどなぁって呆れていたら…どうやら生徒会長のその言葉に、言葉に合わせてわざとイヤらしくしたポーズに、何か泉のスイッチが入ったみたいな気配がした。…え、泉ちょっと怒ってるのか?


「生徒会長は…時雨の明るくて、真面目で、どちらかと言えばお人好しで、面倒見が良くて、ちゃんとそれなりに自分を理解してくれて、芯の強い所に惚れたんじゃないんですか?」


「そうだな。」


「そんな時雨が表面的な魅力だけで揺るがないぐらい、生徒会長は分かっていますよね?」


「……そうだな。」


「だったら、そういうアプローチは止めてください。私達はもう子供より大人の体に近いんです、はしたない。」


「…すまない。このアプローチをする時は島津君が私の伴侶になって、二人っきりの時にする。」


「そうしてください。」


「ち、ちょっ、泉さん!?」


さっきから聞いていたら、何か恥ずかしくなってくる事と、何か一言物申したい事をサラサラ言っていた様な気がするんだけど!?この際、生徒会長を諭していた所とか置いておくとしても…当の本人をスルーして話を進めないで頂きたいのですがっ!!


「ただまぁ、これはエルフだけではないのですが…亜人の方々は、私達と違って寿命が長かったり短かったりします。エルフの場合は長いのですが、それは大丈夫ですか?」


「ふん…覚悟している。」


「良かったな、時雨。これでお前に好きな人居なくて、どうしても見合いとかでも気になる人が居なかった場合、生徒会長が貰ってくれそうだぞ。」


「いや…いやいやいやっ!!だから俺の意見無視なのかっ!?」


お願いします、せめて俺の意見を聞いてください。結果として、あまり話し合いの内容が変わらないとしても、お願いだから俺の話を聞いて!?


「前提条件を良く考えろ。こんな素敵な女性だ、仮に時雨に好きな人が居たとしても、横恋慕しようとか思わないだろう。」


話を聞いて貰えない事にションボリしていた俺に、泉の言葉が徐々に入っていく。…はっ、もしやこれは、泉が考えた伏線?俺に好きな人ができたら、生徒会長がこれ以上スキスキアピールしてこないと言う展開を見越した伏線なのか?


そう考えると、今までの泉の行動がプラスに思えてくる不思議…いや、前向きのまま、深く考えないで、今の泉の言葉を信じよう。


「って、俺今恋愛的に好きな人居ないんだけど!?」


「そこは頑張れよ。」


「頑張りでどうにかなる問題ではないだろ!?」


それもそうか…と、トキョンとする泉に、俺の体の力が抜けていく。…まぁ、その前提条件さえクリアしてしまえば、どうにかなる訳なんだけどさぁ…。


「ふんっ、抗わないで私の虜になってしまえば…楽だぞ?」


色っぽい雰囲気で落とそうとしてくる生徒会長に頭の中が混乱してきて、早く話題を変えなければ…と頭を回す。い、今のこの状況を一時的にも無効してくれる話題は…話題はないか!!


「ん…んむぅ…。」


「あ、ドワーフ君起きそうだぞ。」


「そ、そうだなっ!!」


ベッドに寝ていたドワーフ君から微かに声が漏れた事に、泉が反応する。…こ、これだっ!!


あ、ああっ!!ありがとう名前いまだに分からないドワーフ君っ!!お陰で俺助かった!!多分君的には不名誉だろうけど、今の俺は超助かった!!




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