Lazward-瑠璃《君の瞳》に映る未来
初めまして。れむと申します。
今回はテスト投稿となりますので削除、改変する可能性がございます。
ご了承ください。
科学が発展し科学が人の生活を繁栄させた時代、突如発見された魔力。
人は始めこれを忌み嫌い、科学の力を持って魔力を持つ人間を魔女として弾圧した。
これがのちに言う第零次魔術闘争である。
この闘争以降、人は誰でも持つということに魔力気づいた人類は科学を捨て、魔力を使い生活するようになった。
魔力の登場により動力の源を限りある資源から日々生産される魔力にとってかわられたためだ。
これで資源闘争の為争ってきた人の争いは消えるかと思われたが、人々はさらなる欲に突き動かされ今度は領土の奪い合いを始める。
これが第一次魔術闘争である。
第一次魔術闘争では詠唱魔術と言われる魔術が用いられた。
第一次魔術闘争は魔術によって個人でも大規模破壊を可能になったことにより凄惨を極める。
この闘争の決着となったのはレージュ・アリオンの開発した科学と魔法の融合、自律型強襲装着兵器―――Automatic Installation weapon for Radical Striking。通称AIRと呼ばれる兵器の誕生だった。
エアは強化服と呼ばれる下地に魔力を原動力とした腕、足、胴体、頭に分かれたパーツを装着する兵器であり、エアの登場で第一次魔術闘争はレージュ・アリオンの国であるヴォルフシュテイン王国の圧勝という形で終結したのだった。
以降、科学の分野がもう一度見直され、魔術と科学が融合された新たな分野―――魔術機械学が生み出された。
第一次魔術闘争でのごく少数の破損したエアの部品とヴォルフシュテイン王国の技術取引、魔術機械学のおかげで諸外国も独自にエアの開発を決行。
そのおかげで今や大国となったヴォルフシュテイン王国は栄華を極めたのだが、そんな日々が長く続くはずもなく、諸外国は闘争が再開できるほどに力を蓄えてしまったのであった。
そして今度は諸外国はさらなる利益を、ヴォルフシュテイン王国は人類の統一という理念を掲げ戦争を始めた。
―――第二次魔術闘争の始まりである。
1機のAIRが空を駆ける。
VFI01+-Wartz年25機しか精製できない第二次魔術闘争においてヴォルフシュテイン王国の主力であるVK P01-Blazeの上位互換である。Blazeよりも細く優雅な輪郭は身を包む兵士にとって最高の誉れだ。
そんな機体Waltzをしかも基本色でない蒼色を身に纏っているのは三本 尊中尉。
ヴォルフシュテイン王国の若きエースと言われている兵士だ。
空に溶け込むような蒼い機体を追尾するのは灰色のUO F12- Fairy5機とF19-Sylphide1機の AIR計6機。
UO F12- Fairy はUO―――大海洋連合の現主力でありもっとも一般的に配備されている機体だ。
6機のAIRから面斉射でミサイルが放たれる。
それを回転平行回避行動をしながらミサイルのロックを切っていく。目標を失ったミサイルはその場で即時爆発。近くを飛んでいくミサイルを巻き込み誘爆していく。
「おい、まじかよ。まだうってくんのかよ。いくらなんでも1機に対してうちすぎなんじゃねえ……っの!」
いまだ発射され続けているミサイルにロックされないように3Gの急上昇で振り切る。
「くぅ……」
急激にかかるGに耐えながらいまだ追ってくるミサイルに向かって45口径突撃アサルトライフルを斉射。
「rebbello01 フォックス3 」
突っ込んでくるミサイル6基中3基を撃破するも、爆風を掻い潜ってなお3基のミサイルが接近してくる。
「ッ、間に合わねえ」
もはやこの距離では迎撃できたとしても爆風に巻き込まれてしまう。
いくらWALTZが最新鋭の機体で前世代と比べて試作型の魔法障壁が搭載されたとは言えども対魔法ミサイル3発をまともにくらって装着者が受けるダメージは小さくない。
少なくとも戦闘できる状態ではなくなる。
味方の編隊は低空の敵編隊と交戦中だ。フォローは期待できないだろう。
独立遊撃の資格を持っている身としてはいつも気楽な反面、こんな時が恨めしい。
やはり6対1はきつかったか。
突撃用中型保護盾を召喚して前に掲げ来る衝撃に備える。
自律型制御が作動してバーナーを後方に固定しミサイルに対して円錐状に魔力障壁を展開。
ミサイルとの相対速度を合わせ、突撃の衝撃を限りなく小さくしシールドには爆風のみが当たるようにする。
「くそっ、もってくれよ」
敵も自律型制御で動きが単一になっているのを逃すはずもなく6機が尊を囲むように散開しながらライフルを打とうとする。
―――――まずい。
対魔法ミサイルをくらった後ではたとえ旧式の魔力無付加ライフルであっても脅威になる。
それなら爆風に乗じて戦線離脱を図った方がいいかもしれない。
これは自律型制御を切った方がいいだろうか。
そう思って制御を解除の思念を割り込ませようとしたところで、一条の光が敵の2体を打ち抜いた。
「ぐぅぅぅ」
それを視界の端に確認した瞬間に目の前に広がる爆風。
とっさに自律型制御を切らずオンにしたまま荒れ狂う熱と衝撃を受け止める。
『WARNING!! ARM 28% Escape is recommended.(警告、耐久値28%、脱出を推奨します)』
頭の中で響くけたたましい警告音で意識を繋ぎ止めながら姿勢制御と状況把握に努める。
視認できる敵は4機、今までとは一転、回避飛行にシフトしている。
支援があったろうことはわかるが誰が……レーダーを確認してもやはり味方編隊は低空で交戦中だ。
こちらに人数を割くほど有利な状況ではないし、そもそも普通編隊と独立遊撃部隊ではお世辞にも仲がいいとは言えない。
たとえ遊撃隊が撃墜されても落とされる方が悪いといって酒の肴にされるだけ……それくらいには仲が悪い。
だが好機には違いない。トライデントに魔力を注ぎ込みし、弾の一発一発に魔力を付与していく。
狙いは色違いのF19-Sylphide―――Waltzにも匹敵する機体であり敵編隊の隊長格。
回避飛行を先読みして引き金を絞り込み敵に目算で左に3度角ずつ三度の点斉射。
ありったけの魔力を付与した一射目の弾丸が狙いを過たず吸いこまれるように命中、直撃を受けよろけてなお回避飛行を取ろうとする相手にさらに2,3射目も直撃し隊長格は爆散。
隊長格が落ちたことで動揺したのか敵の編隊動きが鈍くなったところに上空から放たれたレーザーが1機また1機と打ち抜いてゆく。
「三本中尉!!大丈夫ですか!?」
いったいだれが・・・・思考を巡らせているときに割り込んできたのは少しきつめながらも鈴を転がしたような声。
そして目の前に割り込んできた赤い機体―――VFI01+ Waltz。基本色が灰色であるwaltzの中でひときわ目立つ赤い塗装。
機体への塗装は隊長格か王国直属部隊である遊撃隊しか認められていない。
「新風少尉か!?」
新風・F・アーシェラ。
昨日尊の遊撃隊に新人が配属された新人少尉。
顔合わせの為に一度だけ会ったものの直後の出撃でそのことはすっかり忘れていた。
「遅くなりました」
「新風中尉!なぜ出撃している!?貴官は配属されたとはいえまだ委任期間中だろう!」
「中尉が1編隊と単機交戦中だと聞いたので飛んできました」
「許可なしでか!?」
「いえ、CPに許可をいただきました」
「あのバカ」
CP―――コマンドポストは戦闘中の指揮系統を伝える通信兵のことであり、基本中尉以上の尉官が任命されるがこと戦闘となればその間は左官クラスにも匹敵するほどの命令力が与えられる。
さすがにCPの許可とあらば異論をはさめるのは副司令クラスか少佐以上くらいだ。
今回CPに任命されているのは尊の直属の上司であり、訓練校時代にずいぶんとかわいがってくれた二宮楓大尉だったはず。
「それに立っている者は使えというのが司令の口癖ですよ?」
「いらんことばっか覚えてきやがって」
軽口を叩きながらもとても初めてには見えない息の合った動きで残りの2機も撃ち落とす。
あらかた殲滅し終わったところで新風少尉が尊のところへ近づいてくる。
「中尉、補給しましょう。私はほとんどダメージを負ってませんからある程度は供給できますよ?」
そういって新風少尉がエネルギーケーブルを三本に差し出す。
人から直接出る魔術は本人も気づかない意志を持っており、―――だからこそ人によって魔力傾向が違うため得意な魔術が違ったりするのだが―――エア本体に注入する魔力は意志を排除する特殊な装置を介する必要がある為その装置がない状態では機体から機体へ補給するしかない。
「アホか!!」
「あ、あほ?」
「いくら腕が立とうが初陣の兵士からエネルギーパスなんかできるか」
「残量を見てから言ってください!!レーダーから察するに残量40%もないですよね?」
基本レーダーには敵味方の位置情報のほかに味方のエネルギー残量が残量80%以上なら青、80%以下60%以上が緑、60%以下40%以上が黄色、40%以下が赤という風に色分けで表示される。
「これくらいなら問題ない。あと30%も残ってる」
「30%しか残ってないんですよ! その装甲で何ができるんですか! 対魔ミサイル1発当たっただけで落ちますよ!? はぁ……先輩たちの言ってたことが分かりました……中尉はありえない無茶をするって聞いてましたがここまでなんて……
配属早々隊長のお通夜なんて御免ですよ!」
遊撃隊の奴ら余計なこと言いやがって。
嬉々として語ってたであろう遊撃隊のメンバー達の顔を浮かべて、青筋を立てる尊。
あとで見てろよ……。
「ああ、はいはいはい。分かった分かった。エネルギーパスを頼む。だが供給量は10%までだ。それ以上は許可しない。また自機の残装甲が60%を切ったら問答無用で戦線離脱すること。逃げる時間は俺が用意してやる」
「隊長を置いてなんていけません!」
「うるさい、上官命令だ。それが無理ならエネルギーパスは不可、このまま戦線を離脱する」
「しかし……」
「ダメだ」
「……むぅ。分かりました。このまま押されている戦況を見ていて味方の支援を放棄するなんて寝覚めの悪い事なんてできませんからね」
不承不承といった感じで頷く新風少尉。
「よし。じゃあ現在1400をもってエネルギーパスを開始する」
「了解」
新風少尉が差し出したパスケーブルを受け取った尊が自分のWaltzに接続した。
視界の端に『供給開始。異常なし。終了まで12秒』と表示が出る。
「それにしてもよくあの乱戦でサーチされなかったな」
「成層圏内を飛ぶようにCPに言われていたので」
なるほど、確かに成層圏内なら特周波情報共有している味方にしか感知されない。
初陣の兵士の上高い費用をかけた機体をすごすごとなくすわけにはいかないか。
尊が情報共有の意図をWaltzに反映させるとヘルメットのバイザーに過去の味方の位置情報を映し出された。
確かに成層圏内に1機のWaltzがいた。
「ああ?」
「どうしたんです?」
確かにいた。が、成層圏にいた時間が異様に長い。
「なんか成層圏内にいた時間が長いんだが」
「え」
ばれたか……と悪戯がばれた子供のような顔をする新風中尉がバイザーの右下に映し出されている。
「正直少し怖かったので深呼吸してました」
「そうか……まあ無理もない」
無理もないのだ。新兵、遊撃部隊に来るような連中は除外するが一般の新兵が初陣で生き延びられる壁と言われているのが10分。
それの主な原因が技術不足ではなく戦闘の恐れからくる動きの低下だ。
いくら遊撃隊配属とはいえやはり怖いものは怖いだろう。
「……正直もう少し早く援護することもできたのですが、隊長の動きについ夢中になってしまって……」
「見とれて? あほかっ!見世物じゃねえんだぞ!」
「すみません」
「いや……まあ……なんだ……」
「でもわたしのおかげで助かりましたよね?」
「ぐ……それは……まぁ……」
「ね?」
「つか援護もっと早くできるなら最初からそうしろという説も……」
「ん? 何か言いました? それとも中尉殿は経験もない新人少尉に6機に向かって突撃しろとおっしゃるんですか?」
なにが経験もない新人少尉か。
さっきのあのタイミングでの精密射撃はよほどの訓練か経験がないとできないだろうに。
上空配置での精密射撃は反撃を貰いやすいため推奨なんてされていない。それをやってのけるなんて自信もあれば度胸もあるのだろう。
三本はつい口を引き攣らせた。
やれやれとんだじゃじゃ馬が来たもんだ。
『補給終了。異常なし』
丁度きりのいいところで補給終了との表示が出る。
「まあいい以降、三本中尉をrebello01、新風少尉をrebello02とする。いいな!」
「了解!」
「rebllo01からCPへ。当遊撃隊はこれより自軍編隊への援護を開始する。よくもまあじゃじゃ馬を送り込んでくれたな楓大尉」
「……じゃじゃ馬ってひどい!!」
CPに作戦の移行を伝える為に秘匿回線を開く。任務内容を改めて確認させるためにも新風少尉にも回線をつなげておいた。
伝えるときに若干不満げになってしまうのはご愛嬌だ。
「うるさい黙れ! 上官の通信中に口をはさむなと教えられなかったかあほう!」
「CPからrebello01へ。了解。指令より勅命があるまで味方編隊の援護を許可する。危なかったくせによく言うわ。それにあなたは尻に敷かれるくらいの方があってるわよ。尊中尉」
からかうよな調子で返される言葉 に尊の機嫌がまた下がる。
「rebello01 了解。うっさいわ!ほっとけ」
仕返しとばかりに声を張り上げる。
新風少尉からは押し殺した笑い声が聞こえてくる。
「笑ってんな、あほう! 行くぞ、新風少尉。くらいついてこい!」
「ヤー!」
ひとしきり笑った後、凛とした声で新風中尉は返答したのだった。
――――14:15、ヴォルフシュテイン王国小都市アウステリア、交戦空域百メートル上空。
「現時刻より降下、味方編隊援護を行う。準備はいいか?」
「了解!」
「気合入ってるみたいだな、ああ……一つ言っておく。絶対死ぬな。残量が少なくなったら必ず退け。お前が身に着けているのは王国兵士の誉れだ。それをなくすわけにはいかん。それに……俺としても入隊したばかりの新参を落とさせたくはない。肝に銘じておけよ」
「はい!」
「よし、いい子だ。では作戦内容だが現空域から戦闘空域まで並列を意識したまま垂直降下、そのあと味方編隊の邪魔をしないように地上の敵機を排除する。行くぞ!」
「了解!」
尊と新風少尉が垂直降下を開始する。
トライデントを構えたままバーナーで加速させていく。
接敵まで1.5秒。
敵編隊4機の隊列は矢印型のアンブレラ・フォー、味方編隊5機の隊列はv字型のバレーファイブだ。
尊が交戦中の味方編隊に対し通信を開く。
「こちら司令直属独立遊撃部隊隊長、三本尊中尉。これより我々独立遊撃部隊は貴官ら第三飛行戦術編隊の援護を開始する」
「こちら第三飛行戦術編隊隊長、榊忠則伍長。僭越ながら申し上げますが現在戦況は拮抗状態であり、編隊の統率も高い状態であります。援護をしていただくほどの状況ではないと考えます。中尉殿の残装甲も心もとないようですし帰投なされた方がよいのでは?」
やはり嫌われているな。
そんなに遊撃隊とは肩を並べたくないかと内心で苦笑するが、悠長に話している時間もない。
榊伍長は強がってはいるが実際のところ第三飛行戦術編隊は被撃破1、撃破2と数値上では優勢ではあるが、敵は空戦1編隊、加えて地上に重火力支援小隊が控えている。
空戦では数で優勢であったとしても地上から援護攻撃がやってくる。
実際まともな交戦を続けていたら徐々に撃破されて良くて撤退、最悪壊滅状態に陥るだろう。
命あっての好き嫌いだろうにと尊は思う。
普通編隊と遊撃隊は犬猿の仲と評されているものの尊達、遊撃隊は普通編隊のことをそこまで嫌っているわけではない。
いつも邪険にするのは普通編隊の方で遊撃隊はただそれに反発しているだけだったりする。
「ッ! 中尉! 多連装遠距離ロケット弾です!数20!」
「榊伍長!」
「ッ!散開! クレア01から各機。私が敵機を側面から叩く!クレア各機は現状のまま敵をひきつけろ!」
「クレア03。了解」
「クレア04。了解」
「クレア05。了解」
「クレア06。了解」
なだれ込むカチューシャをよけた榊伍長が隊列を離れ単機で敵を叩きに行く。
その榊伍長の機体の中心に赤い点が浮かび上がっていた。
狙撃か!
おそらく榊伍長は気づいていない。
「伍長! 罠だ! 下がれ!」
「何を!」
間に合わない! 魔力障壁が実装されていないBlazeでは、魔力付与型特殊貫通弾を標準兵装とする狙撃には耐えられない。まともに当たれば即死だ。
まずい! と思った時には尊の体は動いていた。
バーナーをフルスロットルでふかし、突撃するように榊伍長へと突っ込む。しかしこのままではまだ間に合わないと尊は腰下部からグレネードを0.03秒後に爆破設定し投下し魔力障壁を後面に展開させ、爆風を元にさらに加速する。
「新風中尉! 煙幕を!」
「了解」
新風中尉が煙幕弾を尊に向けて投擲する。
煙幕弾がはじけて視界を曇らせるが尊はそのままタックルするように榊伍長を弾き飛ばす。
「何を! グアッ!」
その瞬間尊の左足に激痛が走った。
「ぐぅぅ」
『Warning!! ARM23% Escape is recommended.(警告!耐久値23%。脱出を推奨します)』
視界の端の表示で直撃は免れたことには気付いた。
直撃していれば少なくとも左脚部のアーマーは破壊されているはずだからだ。
まだどこも大破してない。だから自分のことはいい。
「新風中尉!」
「まさか……」
遠慮のないタックルを見舞われ吹っ飛ばされた伍長がようやく自分が狙撃されたことに気付くが尊も新風中尉も彼に構っていられない。
戦場では生きている味方より生きている敵が優先事項だ。
「了解!」
尊の声に応じて新風少尉があらかじめ召喚しておいた30ミリ魔力収束砲を構える。さっきの一撃で敵の狙撃手の位置は割れた。自分から3時の方向距離1500の地上。自律型補助が働いて敵をロック、引き金を引き絞る。
すさまじい衝撃とともに発射された魔力は射線上にいた敵機1機を巻き込んで狙ったところへ着弾、こちらから確認できるほどの爆炎は敵のシグナルをロストさせた。