第46話「告白」
更新がかなり遅くなってすみませんでした。
仕事は案外速く終わったんですが・・・もう難産で難産で。
それでは本編をどうぞ。
第46話「告白」
グランパレス国、首都ラングランで開催される王国記念祭は毎年5日間行われ、かなりの賑わいを見せる。中でも大人気なのが毎年恒例の花火大会。この世界の花火大会は火薬を用いる場合もあるが、記念祭の花火大会は魔法による威力0の見た目だけ派手な攻撃魔法で競い合う、ある種のスポーツだ。
しかし、あまり戦争のないこの御時世なので各国共に力を入れており、高評価をとる事ができればそれだけの力があると宣伝することができるのだ。いわば各国の魔法軍事力を競う場になっている。だが、参加に関しては個人からグループで行う事ができるため、国とは関係ない者も当然参加できる。なので、国に自分の力を見せつけ実力を買って貰うというある種の登竜門的な場にもなっている。実際過去にここで有名になった人物が何人も各国からスカウトを受けている。
今ではどこから出てきたのか『より高く・より大きく・より華麗に』というのがスローガンになっていて、通常複数人でかなり大規模な魔法を行使するのでなかなか見ごたえがある。また、個人参加者が魔力切れにより病院送りになるのも一種の恒例になっている。
そんな祭りが開催されている中、道具屋リュミエールは順調に売り上げを伸ばしていた。新商品である『ライトストリング』(光る紐)や『ライトイヤリング』等のファッション性のあるアクセサリーを売っている。ちなみに、『ライトイヤリング』はイヤリングの先が直径20mmくらいのガラス玉になっており、このガラス玉ライトストリング同様光るようになっている。
「いらっしゃいませ~、新商品『ライトストリング』が発売中ですよ~。」
「親しい友達や彼女へのプレゼントにどうですか~?期間限定商品ですよ~!」
ミリアとサクラは今回の売りでもある新商品を身に着けて宣伝用のチラシを配っている。ヒカリは店頭にて、客寄せをしていた。そこへエミリアとカティナがやってきた。
「こんばんは、クヨウさん。」
「こんばんは、エミリアさんにカティナさん。二人一緒っていうのは珍しいですね。」
「そうでもないのだが・・・クヨウちゃんには言ってなかったかな?私とカティナは飲み仲間だよ。」
「へ~そうだったんですか。それは知らなかったです。」
クヨウが関心している横で、カティナがかなり熱心にライトストリングを見ていたが、突然黒い笑いを浮かべ始めた。
その様子をみてエミリアと一緒にクエスチョンマークを浮かべるクヨウだったが、カティナの近くにいたヒカリが凄い勢いでクヨウに飛びついてきた。心なしか震えている。
「ふ・・・ふふふふ・・・ふふっふふふふ・・・」
「あの~、カティナさん?」
「どうしたカティナ?」
カティナの正体不明の笑いにエミリアとクヨウは一歩後退する。ヒカリは怯えてクヨウの胸元で完全に震えている。
「クヨウ~さ~ん?これ全部クヨウさんが作ったわけじゃないですよね?」
カティナが笑顔のままゆっくりとクヨウの方へ顔を向ける。この時のカティナは「笑顔なのだが威圧感は魔王並だった」と、後のクヨウは語っていた。
「え?ええ、まぁカティナさんがかなり多忙みたいだったんで、商人ギルドが紹介してくれた所へ頼みましたが・・・」
「どうして・・・・どうして私に相談してくれなかったんですか~~~~!!!!!多忙?そんなの関係ないわ!!!!こんな・・・こんっっっっっな面白そうな物が作れるなら1ヶ月くらい徹夜してやるわよ!!!!」
「いや、それじゃ死んじゃいますって!カティナさん落ち着いて!」
「カティナ、少し落ち着け。」
うが~と言いながら詰め寄るカティナを宥めるのに苦労するクヨウとエミリアだった。
しばらくして・・・・・
「え~、お恥ずかしい所をお見せしました・・・・。」
「あははは、落ち着いて何よりです。」
「全くだな、服飾のことになると本当に落ち着かないなお前は。」
「だって~、本当に凄い物よこれ。」
カティナは落ち着いてから冷静にライトストリングを評価する。服装に術式を組み込むという事は珍しいことではあるが無い事もない。ただし、それはあくまで戦闘用であり一般人向けではなかった。極々一部のハンターや騎士等が魔法の加護を得るために作るため、どうしても高価になりがちなのである。
しかし、このライトストリングの場合は戦闘向けの装備品という意味合いではほぼ価値は無いに等しい。でもそれは戦う側の人間にとっての話だ。あくまで服飾の一部、できるだけ簡易に取り扱うことができ、尚且つ安い。一般人がちょっと派手な宝石をつけるよりは圧倒的に安く簡単に手に入る。服装に術式を組み込み、それをあくまでファッションとしてあつかうライトストリングはかなり画期的な発明だとカティナは語る。
「しかも、この接着部分。何これ?外れにくくて剥がしやすいってどんな魔法使ってるの?って感じね。これ特許?」
「ええ、これに関しては共同の特許になってます。今日一般公開する予定になってますから、商人ギルドに問い合わせれば教えてくれますよ。」
「本当に相談してくれればよかったのになぁ・・・。」
「カティナ、その辺にしておけ。羨む気持ちはわからんでもないが、そろそろ見苦しいぞ?」
「わかってるわよ、もう。」
カティナも大分落ち着いたところへ、ヒカリが若干怯えながらクヨウ所へ戻ってきた。
「お姉さんコワイ・・・・。」
「がはっ!・・・・」
涙目のヒカリの一言で血を吐く勢いでカティナが膝をつく。
「ヒカリ、もう大丈夫だからな。怯えなくてもいいよ。」
「まぁ、自業自得だな。クヨウちゃん、これ2つずつ貰えるかい?」
「はい、御代はいいですよ。いつもお世話になってもらってますし、つけて街中を歩いてもらえれば宣伝にもなりますからね。」
「そうかい?じゃあありがたく貰うとしよう。」
「今後ともよろしくお願いしますね。」
「またね、ヒカリちゃん。」
「ばいばい、お姉さん。」
ヒカリの怖いという一言で撃沈していたカティナを引きずりエミリアは広場の方へ向かっていった。クヨウがその光景をみて苦笑している所へ新しい客がやってきていた。
「すいません!これください!」
「はいはい、え~と1人2個までね。」
「ええええ!そうですか、わかりました・・・・。」
学生と思われる女の子は10個くらい一度に買おうとしていたが、流石にそれはクヨウが止める。あまり1人に多く買われると他の客が買えなくなるからだ。そうこうしているうちに次々と学生と思われる子たちがやってきた。
「私もこれください!」
「私もこれを。」
「え~と、ちょっと待って並んで並んで。流石に1度に複数の人相手には売れないよ。」
クヨウはサクラにすぐ戻るように連絡して、なんとか1人で客対応をしていった。
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「いやはや、大変だったよ。」
その日の夜、次の日の準備も終えてクヨウ達は軽い打ち上げをしていた。
「最初はまぁ想定範囲内だったんだけどね~、あんなに学生が来るとは思わなかったよ。」
「そうね~、あれは確かに驚いたわ。学生の情報共通のネットワークでもあるのかしら?」
「あはは、それは多分私のせいですね。」
「ミリアさんの?」
実はミリアが生徒達に祭りで『こんなのが発売される』というのを話していたのだ。当日になり宣伝しているミリアを目撃し、買った生徒から口コミであっという間に広がっていったようだった。
「なるほどね~。まぁ売れる分にはいいんだけど、反響が予想以上かな。念のため在庫を増やしておこうかな。あとで連絡しておかないと。」
クヨウ達が納得していたのを確認したところで、ヒカリがクヨウに飛びついた。
「お父様、ヒカリもお祭り見に行きたい。」
いくらヒカリが物分りがいいとはいえ、まだ子供である。クヨウもそれを理解してはいるが、どうしても仕事が優先的になってしまうのは大人の悲しいところか。
「そうよね、折角のお祭りなのに全部店番はヒカリちゃんにとっては辛いわよね~。」
「エミリアさんに言って連れて行ってもらう?僕は連れて行くとなると最終日しか連れて行けないんだけど・・・」
「お父様と一緒がいい。お母様も一緒に行きたい。」
「じゃあ、最終日まで我慢してくれる?そしたら3人で行こう。」
「うん!」
ヒカリは尻尾を激しく横に振り了解する。元々最終日は3人で祭りを見て周ろうと計画していたクヨウはほっとする。最悪エミリアや他の店の常連(ヒカリが特に懐いている人物限定)で周ってもらおうと思っていたからだ。ただ、そうすると最終日に1つ問題が起こる。
「え?私はいいけど店番どうするの?ミリアちゃん1人は流石にきついと思うわよ?」
「明日からリンスちゃんにも手伝ってもらうから2人ですけど、もう1人欲しいところですね。」
最終日は花火大会の決勝があり、大抵の花火は遠距離でも十分眺める事ができるため、人がかなり多くなる。なので、花火大会まではかなり忙しくなることが予想されるのだが、花火大会が開始されると逆に来客が少なくなるため暇になる。ある意味、一番忙しくなり一番暇になる日なのだ。忙しい時に2人では少々きついものがあった。
「そこは臨時で手伝いが入るよ。最終日限定だけどね。」
「「臨時で?」」
「そう。」
クヨウがそういうのなら、と2人は納得する。臨時と言ってもある程度信用できる人に頼んでいるのであろう。とりあえず、この後の日程の在庫調整等を軽く打ち合わせてこの日は終わった。
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2日~4日目は完全に販売一色だった。初日の口コミから2日目は客がかなり増大した。流石に珍しい物見たさの客もいたが、ついでに買っていこうという客が多く4日目を待たずに在庫が切れるところだった。初日にトルネの所に追加発注をしなければなかなか危なかった所だ。
クヨウが予想外だったのはハンター関連の人も多数買っていったところだ。なんでも非常用の明かりになるとかで買ったらしい。そこまで明るくはならないと説明したが、光が余計に漏れないからダンジョン等で重宝するのだという。
あとは病院関係者が魔力回復用の薬を大量に買い込みに来たの事があった。今年は魔王騒ぎもあったことからかなり広範囲魔法の重要性が高まったらしく、団体でも個人の負担がかなり多くなったらしい。倒れるまでいかなくとも、かなり疲労しているのだという。その関係上、最終日に備えて色々なところでポーションのしているらしい。
そんなこんなで4日目の販売時間が終わる。一応交代で休みを取る等していたが、流石にメンバーも疲れが目立ってきた。販売が終了後はリュミエールの店の中で休憩していた。
「流石にこんなに疲れるとは思わなかったねぇ~。」
「私はまだ大丈夫よ?」
「サクラさんは流石一流のハンターと言った所でしょうか?私やリンスちゃんは大分疲れてますよ。」
流石にSランクハンターは違うようだったが、他の3人には辛かったらしい。
「そういえばクヨウさん最終日の臨時の手伝いって誰が来るんですか?」
「そうね、まだ聞いてなかったわ。新しく雇ったわけじゃないわよね?」
「ん?夜には来るって連絡きてたからもうすぐ来るんじゃないかな?」
丁度その時、外からドアがノックされる。噂をすれば影というやつだ。
「はいよ~、お~久しぶりだな~。」
「おう!久しぶりだ。皆も久しぶり!」
「「「レンヤ君!?」」」
中に入ってきたのは旅に出ていたレンヤだった。もっとも昔より若干生傷が目立つものの全体的に筋肉が引き締まっており、何よりも雰囲気が昔と大分違っていた。
「へ~、あの時より格段に強くなってそうね。参ったわ、今じゃ私より強そうだもん。」
「いやいや、『白刃血桜』殿にはまだまだ勝てないって・・
レンヤの言葉が終わる前に、気絶しそうになるくらいの殺気と共にレンヤの首元にサクラの此花咲夜の刃が置かれていた。
「レンヤさ~ん。その言葉・・・・2度と言わないことをお勧めするわ♪次に言ったらどうなるかわからないわよ?♪」
「お、おう。すまん、気をつける・・・・」
「え~と、サクラ?今のは・・・・はい、ごめんなさい。僕は何も聞いてません。」
「よろしい。」
サクラの笑顔のまま刀を下げる。一体何時の間に取り出したかもわからない面々だった。ちなみに『白刃血桜』はサクラの二つ名であり、オオヤマ国の盗賊たちの間では有名だった。名前の由来はそのままで、とある事件が起こった際に、盗賊がサクラの逆鱗に触れ30分ほどで100人を血の海に沈めたのだ。
しかも、白い刀とサクラ本人には一切血が付着しておらず、血を桜のように舞わせ血の海の上に佇む姿からその名前がついたという。簡単に言えばサクラの黒歴史だ。
結構気まずい空気になったので、ミリアとレナリンスが話題を半ば強制的に変えることにした。
「そ、それにしてもレンヤさん久しぶりですね。旅で何をしてたんですか?」
「あ、おう。まぁ依頼をこなしつつ修行って感じだな。あと、オオヤマ国へ行ったときに基礎修行をしてた。」
我流でもいけたのだろうが、レンヤ自身にその才能があるかどうかわからない。だったら基礎を徹底的にこなしたほうが近道になる。というのがレンヤの考えだった。
「レンヤさんはもう旅はしないんですか?」
「いや、しばらくしたらまた行こうと思ってる。でもまぁ数日はこっちでのんびりしようと思ってるけどね。」
「あ~、それで手伝いをすることに~なったんですね~。」
なるほど~、レナリンスとミリアは納得するが、本人であるレンヤは納得していなかった。
「ん?手伝い?」
「ええ、明日一日出店の手伝いをするんですよね?」
「・・・・・はあ?」
そこではっとクヨウを見ると、我関せずといった感じでヒカリと遊んでいた。
「おい、クヨウ。本人に了承を得ずに何を勝手に決めてるんだ?」
「ん?いいじゃないか、今まで好き勝手遊んでたんだ。たまにはうちの仕事も手伝いなさい!」
「お前は俺のお母さんか!」
クヨウとレンヤの言い合いになるが、結局レンヤが折れて店の手伝いをすることになった。
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「じゃあ、店番よろしくね~。」
「いってらっしゃい~。」
次の日は朝からクヨウ、サクラ、ヒカリの3人で祭りの見学に出掛けていった。れを知ったレンヤは昨晩いじけてたらしい。
「あのリア充め。既に子連れかよ。あいつなんてハゲればいいんだ。」
「あはは、レンヤさんだって彼女の1人くらい作れるんじゃないですか?もうSランクハンターなんですよね?」
「彼女がいるいないにハンターランクは関係ないよ。」
「レンヤさん~、これちょっと~手伝ってもらっていいですか~?」
「はいよ、ちょっとまってな。」
不貞腐れつつも、結局根が真面目なだけに仕事は普通にこなすレンヤだった。
その頃クヨウ達は普通にお祭りを楽しんでいた。ほとんどクヨウとサクラのデートなのだが、一応ヒカリも一緒にいる。ヒカリは流石に体格差があり逸れるとまずいので、クヨウのフードの中か、サクラが抱っこしている形だ。
「じっくり見ると祭りの大本はどこも変わらないね~。」
「ああ、向こうの世界とってことね。結局人がやることだし、同じようになるわよ。」
くじ引きや食べ物の屋台等々、結局大なり小なり同じような物になるのだろう。
「お父様、あれを食べてみたいです。」
ヒカリが目を輝かせて見ている先にはリークという鳥系の動物のから揚げが売られていた。幻獣とはいえ、やっぱり狐は揚げ物に目が無いようだ。
「ふふ、ヒカリちゃんもご機嫌みたいね。」
「もぐもぐ。」
「普段は仕事の合間にしか遊んで上げれてないからね~。近所に子供がいればもうちょっと遊ばせてあげれるんだけどね~。」
「そこは仕方がないわね。」
完全に会話が夫婦化しているクヨウとサクラだった。
夕方になりかけた頃、夜の花火大会に向けて席を確保しようとする人が増えてきた。最終日の会場のチケットは祭りが始まる前に完売状態なので、いかに会場外でいい場所を確保するかがポイントになっている。そんな中、クヨウ達はちょっと早めの夕食をとっていた。
「大分慌しくなっているね~。」
「クヨウさん、私達は大丈夫なの?あまり心配してないみたいだけど?」
「ヒカリも花火が見たいです。」
実際走り回って場所を確保しようとする人がいるくらいだ。ある程度早く確保しにいかなければ場所がなくなってしまうだろう。ゆっくり出来る人は元々花火大会に興味が無いか、既に席の確保が終わっている人だけだ。しかし、サクラの知っている限りでは席の確保などまったくしていなかった。
「大丈夫だよ。場所は既に確保済みだからね。」
「え!?そうなの?」
「うん、だから焦らなくても大丈夫。」
ほっとしたところで、サクラも大分お腹がすいたらしく、デザート込みでなかなかの量を食べていた。
「ヒカリちゃん寝ちゃったね。」
「結構はしゃいでいたからね~、お腹が一杯になったら眠気が来たんだろうね。」
「く~・・・・。」
3人・・・もとい2人と1匹はとある場所へ移動していた。ヒカリは既にクヨウのフードの中で熟睡している。そして着いた先は道具屋リュミエールの店舗だった。
「??まさか、ここの屋上?」
「そうだよ~、意外とここの辺りは穴場でね。店が多いから人が少ないし、泥棒防止に屋上は立ち入り禁止になってる場所が多いんだ。でもまぁ、自分の店なら別にいいでしょう?それに念のため結界も張ってあるから入ってくる人はまずいないからね。不法侵入もない。」
「そういえば、会場もそれなりに近かったわね。祭りをしている場所から遠いから気付かなかったわ。」
そのままクヨウ達は屋上へ移動。一応ヒカリも一緒に連れてきている。屋上で予め用意しておいた敷布を広げ、あとは待つのみである。
ある程度暗くなった頃、花火大会が始まった。最初は個人参加者であろう小さな花火がいくつか上がる程度だ。流石に小さいものは見えにくいので、最初はあまり迫力はない。しかし、花火が進むにつれてどんどん派手さが増していく。個人参加者クラスは小さな円形の花火が上がる程度。細かい細工をしているものや数で勝負しているものがあったが、やはり規模は小さい。中盤になるにつれ、団体参加者が出てくると大型の派手な円形から、はじまり色とりどりの花火や動物の形を模したものがでてきて、最後は巨大な竜を模したもの、中型だが動きをつけたものまで登場するようになっていた。中盤以降はリュミエールの店舗の屋上でお十分楽しめるくらいになり、音に驚きヒカリが飛び起きてクヨウの服の中で逃げ込もうとする場面もあったりした。
「ん~、なかなか派手だねぇ~。氷竜の竜巻とかすごいリアルだね~。」
クヨウが関心している横で、サクラは少し複雑な表情を浮かべていた。
「確かにすごいわ、でもなんだか不思議な感じね。綺麗だし、見ていたい気持ちはあるんだけど・・・・やっぱりあの魔法の最終目的は敵を倒すことなのよね。そう考えると、綺麗綺麗とただ喜ぶのもどうなのかな?」
威力0の広範囲魔法。それだけならば完全な見世物なのだが、威力はあえて殺している。結局どこまでいこうと攻撃魔法は攻撃魔法なのだ。攻撃魔法は相手を倒すことが本来の目的だ。いくら取り繕うともそれは事実であり覆せる事柄ではない。
「ん~、でもそれは何をとっても同じことなんだよ。」
「え?それはどういうこと?」
「力はただ力でしかない。それをどう使うかは使う人次第ってね。このまま戦争がなければこの魔法はただの花火魔法だからね。戦争が起きれば攻撃魔法に変わる。それは変えようのない事実だけど、でもそれを恐れちゃ駄目なんだと思うよ。抑止力っていう意味合いでもそうだし、さっきの氷竜なんてあれを攻撃魔法として使われたらどうなるかって皆が見てるから想像がつくよね。だから、戦争を起こしちゃいけないっていう考えが出てくるんだ。勿論逆に使いたくなる人だっているだろうけどね。あ~と~、話が少しずれちゃったか。ともかく、今は攻撃するためじゃなく魅せるための魔法なんだからそこは否定しなくてもいいと思うよ?」
「う~ん、そういうものなのかしらね~・・・。」
サクラは何かを考えるように若干のため息をつく。
「やっぱり難しく考えすぎなのかな?前にクヨウさんに言われたけど、なかなか治らないものね。」
「考えることは悪いことじゃないけどね、考えを止めるのも大事ってことだよ。『鋭さと鈍さ』ってね。切れすぎる刃は自分をも切ってしまう。刀に峰があるのもそういう理由じゃないかな?まぁ、これは予想だけどね。」
あはははと笑うクヨウにサクラもやや自嘲気味に笑ってしまう。
「ほんと・・・そういう所には勝てないな~。・・・・・まぁそういうところが良いんだけどね。」
「ん?何か言った?」
「んん、なんでもない。」
サクラの小声は花火の音に紛れてクヨウには届かなかったがサクラは特に気にしてはいなかった。そこからは2人とも無言で花火に見入っていた。最後の花火が終わると会場のほうから大歓声が沸きあがっていた。目の前で見ていた分だけ、盛り上がっているのだろう。サクラも若干の余韻を味わっていたが、ふとクヨウを見ると若干クヨウが緊張しているように写った。
「クヨウさん?何かあった?」
「ああ、いや・・・ちょっと待ってね。」
クヨウは大きく深呼吸をして落ち着かせているようだ。変な緊張の仕方にサクラは?マークを浮かべていた。
「ねぇ、サクラ。今アゲインさんからの依頼を受けているよね。それが無事に終わったらさ、・・・・・僕と結婚してくれないかな?」
「・・・・え?」
サクラは一瞬クヨウが何を言っているのか良く分からなかったが、クヨウの言葉を頭の中で何度も反芻させてようやく理解をした。
「あっと、その・・・私でいいのかな?」
「うん、サクラじゃないと僕は嫌だ。」
クヨウもこの時ばかりはしっかりとサクラの目を見つめて言った。逆にサクラはやっぱりこういう場面には弱いらしく、顔を真っ赤にして俯いた。少ししてから三つ指を立てて頭を下げる。
「あの、その・・・・不束者ですが、よろしくお願いします。」
「あ・・・うん、こちらこそよろしくね。」
それからしばらくは、二人の影が離れることはなかった。
長いです。本当に長かったです。
2話か3話にわければよかったんですけど、1話でなんとか終わらせる予定だったので悪戦苦闘しているうちにこの長さに・・・
まぁ・・・次回からは元の長さにする予定です。
では、次回をお楽しみに~。




