第40話「帰宅」
更新がかな~り遅くなってきました。申し訳ないです。
ネタはあるのですけどね、話の進め方を非常に迷うようになってきました。
少々冒険しすぎたのが原因ですね。今後は注意していこうと強く思います。
第40話「帰宅」
クヨウ達がヨーゼフの元へきてから二週間ほどが経過し、ようやくギルドから戦争終結と安全宣言が出された。名目上は連合軍が魔王を撤退させたということになっているが、魔王がいなくなった理由が不明であったため、確認に時間をかけたのだった。
結局確認ができた訳ではないが、魔王が戻ることがなかったためそういうことにしたのだった。
「じゃあ、そろそろ行くね」
「ヨー爺さん、お世話になりました」
「いやいや、こっちも随分と世話になった。何かあったらまた来なさい。歓迎するぞい」
ギルドから連絡を受けて、クヨウ達はラングランへ帰ることになった。帰りは早くつきたいので馬車を用意してある。
「ヨー爺、元気でね」
「サキちゃんも頑張ってね」
「くようサン、さくらサン、オ気ヲツケテ。ひかりサンモオ元気デ」
「きゅ~♪」
こうしてクヨウ達はラングランへ向けて出発した。
「天気もいいし、順調に帰れると思ったんだけどね~・・・」
「魔王騒ぎであまり稼げなかったんじゃないかしら?騒動が治まって気が抜けてる今が稼ぎ時なのよ、きっと」
2人はのんびり話しているが、現在盗賊の団体が接近中である。とはいえ、この旅で2人はかなりの数の盗賊を追い払っており、ある意味いつも通りであった。
「クヨウさん、バインド系だけでお願いしていいかな?最近訓練だけで実戦をしなかったから、思いっきり動いておきたいのよ」
「ん~、了解。でも、僕のほうにきたのは順次倒していくよ」
「うん、お願いね」
クヨウがスピッドファイアを連射し、少しずつ動きを鈍くする見えない網のような物を発射する。盗賊の一団は銃声に驚き、動きを止めるが自分たちには特に影響がないと思うと構わず突進してくる。ある程度近くなったら、サクラが真正面から次々と切り捨てていった。
「くそ!あの女かなり強いぞ!」
「囲め!数で攻めれば勝てる!相手は1人だぞ!」
盗賊たちが囲もうとするが、サクラは絶えず動き回り、常に1対1の状況を作り出しているのでうまく攻め込めずにいた。しかも、徐々にクヨウの攻撃の効果が効いてきており、盗賊たちの動きが鈍ってきている。結局盗賊側は何もできずに全滅と言うクヨウとサクラにとってはいつも通りの状態だった。
「さて、と・・・・生きている連中は全員縛り上げたし、あとは放置しておけばいいね」
「そうね、自業自得だし、運が良ければ助かるから頑張ってね~」
運が良ければ巡回の警備兵に見つかりそのまま連行され牢屋行きではあるが傷の手当てくらいはしてもらえる。しかし、運が悪いとモンスターに襲われて胃袋行きになる。どちらがいいかは言うまでも無いだろう。
あれから数日、特に目立った事も無くラングラン近郊に到着していた。というのも、盗賊にもある程度情報網があり、クヨウとサクラはブラックリスト入りしていたのである。なので、情報を持っている盗賊は積極的に襲う対象からはずしていたのだった。本人達はある意味そんな大事になっているとは知らず、のんびりしていた。
「最初はどうなるかとも思ったけど、意外とゆっくりできたね」
「そうね~、初日に襲われて以来特に音沙汰ないもの。気を張り詰めないくていいのは助かるわ」
そうこうしているうちに、ラングランへ到着。まだ昼前なので早めに終わらせようとクヨウは商人ギルドの方へ挨拶と、道具屋再開の手続きをしに行った。サクラは一足先に店の方へ行っていた。掃除等の準備をしなくてはいけないからだ。幸い、予めミリアとレナリンスには連絡してあったので手伝ってもらえる事になっている。
「う~ん、2人と会うのも久々ね~。今度3人で食べ歩きでもしようかな~?」
これからの事を考えて、なかなかご機嫌なサクラだった。ちなみに、ヒカリは熟睡中だ。
「あ~、きましたね~」
「サクラさん、お久しぶりです」
「2人とも久しぶりね~。元気そうで何よりね」
店の前で久しぶりの再会に喜ぶ3人だった。流石に声が大きかったらしく、ヒカリが目を覚ました。
「きゅ~?」
「あ、この子が例のヒカリちゃん?可愛いな~・・・・」
「可愛すぎてね~、手放したくないのよ」
「へ~・・・これが幻獣ですか~。なんだか不思議~な感じが~しますね~」
「きゅ~」
レナリンスは興味深そうにヒカリを観察しつつ撫でていた。実のところ撫出た時の感触が気に入っていたりもしていた。
「ヒカリちゃんを愛でるのもいいけど、大事な用件を済ませないとね~」
「そうですね~、名残惜しいですが~、続きは~またあとで~」
「さっさと終わらせて、ヒカリちゃんと遊ぼう!」
「きゅ?」
微妙に目標が変わっているようだが、特に問題は無いのであろう。
一方商人ギルドで手続きを行い、各所への連絡を済ませていたクヨウは一通り終わってのんびりしていた。
「あ~、疲れた。面倒だからこういうことは懲り懲りだな~」
「お疲れ様です、キサラギさん」
「お疲れ様です、エミックさん。おかげさまで、一通り終わりましたよ」
「クヨウさんは意外と面識広いんですね~。グループを仕切っている人にまで連絡が必要だとは思いませんでしたよ」
クヨウの手続きや連絡等を手伝っていたのはティナ・エミックという商人ギルドの受付をしている事務員だ。手続きの多さは異世界でも変わらないらしく、事務員でも正確に把握している人は少ない。ティナはそういう複雑な手続きを引き受ける事が多いので、かなり事務仕事に精通しているベテランだった。
「そうそう、クヨウさん宛に手紙がいくつか来ていましたね。来た日付と一緒に後でお渡ししますね」
「ありがとうございます。ん~、レンヤからの苦情がきてそうだな~」
実は道具屋を一旦閉めてからレンヤに連絡していなかった。というのも、旅をしているレンヤの行き先が分かるわけも無いので仕方がないと言えば仕方がなかった。
「ふふふ、楽しそうですね」
「後が怖いけど、どうしようもないんですよ」
「それもそうですね。そういえば、新しい従業員の募集もしますか?」
「あ~っと、まだいいです。どうせ再開したばっかりだと人もこないでしょうし。宛があるので」
一旦離れた客を戻すのはなかなか難しい。しかも、なんだかんだで1年以上も店を閉めていたのだ。他の店の常連になっている場合も当然あったりする。となれば早々客足を戻すのは難しい。
「そうですか、わかりました。でも、お客さんは行くと思いますよ?」
「へ?どうしてですか?」
「各方面、色々な方から連絡要請がきているのですよ。『道具屋リュミエールが営業を再開したら連絡して欲しい』とのことでした」
クヨウは首をかしげる。心当たりが全く無い訳でもないが、人が来るほどでもない。精々懇意にしてくれたお客さんだろうと予想するが『各方面』というのが凄く気になる。もしかすると、またどこぞの研究所の勧誘がくるかもしれない。
「面倒なことにならないといいけどなぁ~。一応理由はわかりますか?」
「簡単なことですよ。みんなキサラギさんに注目しているのです。前に売り出した『異次元バッグ』は何人もの研究者のプライドをへし折ったらしいですからね」
クスクスと笑いながら面白そうにティナは語ってくれたが、張本人であるクヨウは100%面倒なことになると確信し、肩を落としていた。
「あとは学生さんも行くでしょうね。弟子入りもそうでしょうけど、純粋に働きたいとおっしゃっていた子もいましたので」
「また弟子入りですか・・・・その手の話は面倒事になるので全てお断りします。従業員のほうは必要になったら募集という形ですね。とはいっても、店の準備もありますし、当分先でしょうけど」
「開店は何時ごろを予定していますか?」
「一応一週間後には開店する予定ですね。各方面の方々へは連絡してもらっても構いませんよ」
一通り書類関係を見直した後、細かいところはティナに任せてクヨウは買い物にでかけた。以前出発する時に帰ったらまた鍋をやろうと約束していたので、掃除等の手伝いのお礼として鍋をするつもりなのだ。クヨウが買い物を終えて帰宅するころには既に夕方になっていた。
「ただいま~・・・と思ったより結構進んでいるね」
「おかえりなさい~、それとお久しぶりです、クヨウさん」
「お久しぶりです。ん~お変わりないようでなによりですね~。あとの2人は?」
「店のほうの掃除は大方終わったので、住居の方の掃除ですよ。夕飯ですか?随分買い込んだみたいですけど」
「ん~、また鍋をやろうと思ってね~。台所はもう使えるかな?」
サクラも鍋をやろうとしてたのは知っていたので台所は最初に掃除を終えていた。クヨウとミリアは鍋の準備をさせたところで、この日の掃除は終了となった。
「それでは、無事帰ってこれたことと、皆のこれからを祝して・・・」
「「「「かんぱ~い~!!!!」」」」
今までの苦労を労うように、これからも楽しくやっていけるように、鍋パーティーは盛大に夜遅くまで盛り上がっていった。
ちなみに、全員二日酔いで次の日は掃除ができなかったことは余談である。
ひとまず、一段落というところです。
色々伏線をばら撒きつつ少しは回収しつつきましたが、そろそろ本格的に回収する予定です。
今後の展開も決まっているのでそこはいいんですけど・・・話の終わりを全く決めていないことに後悔しています。
いくつか案はあるので、今後はゆっくり進めていこうかと思っています。
では次回をお楽しみに~。