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第30話「悪化する事態」

もうちょっとほのぼのさせる予定が、若干ピリピリした感じになってきてしました。日常が一番難しいですね。


それと、そろそろ更新のペースを落としてじっくり話を練ろうと思います。

第30話「悪化する事態」


クヨウが魔王であるアゲインから得た情報はそのままギルドを通じ世界中へ流されることになった。内容が内容なので極秘事項ということで一定の人物にしか流されていないはずなのだが、人々の間で噂されていった。それにあわせて、少しずつ各国の間にも緊張感が出てきている。最悪の事態『魔王の侵略』を考えると軍備の少なさが逆に不安になるのだ。ここ100年以上戦争がなく、軍備の縮小が平和の象徴であったので、その不安は仕方がない。また、大陸各地でユニークモンスターと思われるモンスターの出現や突発的で短期間な瘴気の噴出が確認された等の情報が多くなっており、『魔王が動いているかもしれない』という話が現実味を帯びているのだ。


「サクラさんの情報でも同じ感じですか」

「ええ。ああ、これが内容と細かい件数よ。こんなの調べてどうするの?」


クヨウは情報量の多さに少々の違和感を持っていた。具体的にというわけではなかったが、とりあえず、情報を集めて整理しようと思い立ったのである。


「サクラさん~ちょっと~、この棚の整理を手伝ってもらえますか~」

「は~い。ミリアちゃん、今行くね」


一応今は営業中である。とは言っても、常に客がいるわけではない。むしろ比較的暇である。いつも魔法具を作ったりしてすごしているのだが、今日はたまたま店にでている。とはいってもウンウン唸って情報を整理しているだけだが。


「ん~、となると~・・・・かなぁ?」

「何を~ぶつぶつ~言っているんですか~?」

「ああ、最近ね妙に噂が多いから、元になった情報を整理してたんだ」

「あ~、瘴気の噴出が~どうの~・・・っていう話ですか~」


そこへ棚の整理が終わった2人がやってきた。


「こっちの棚の整理終わりましたよ~」

「お疲れ様~。で、さっきの話の続きなんだけど・・・」

「ご苦労様、一応みんなにも聞いておいて貰おうかな」


クヨウが整理してたのは瘴気の噴出やユニークモンスターの出現場所などである。ついでに件数もである。整理した結果わかったのは、今各地で流れている情報は大半が人々が不安になっているだけの情報であるということだった。具体的な場所か日付、件数を調べると多少増えているように見えるのだが情報の重複等があり、実際はあまり増えていないのである。確かに以前よりは増えているのだが、増加のタイミングはかなり前であったので、今回の魔王の情報とは無関係であろうというのがクヨウの推測である。


「結局そこへ落ち着くんですね。でも何で今更こんな噂になっているんでしょう?」

「そこが人の不安感という所ですよ。今までは安心していて、多少の事は気にしていなかったんです。しかし、何か不安になることが起こってしまうと、少々の事も気にしだすようになり、益々不安になっていくんです」

「不安が更に不安を呼ぶのよ。でも、ここまで不安感が広がるとなかなか収まらないでしょうね」


一部の人間は誇張された噂だと確信している。何故なら一商人でしかないクヨウが集めた情報でデマが確認できるのだ、ならば、ある程度要職についていたり情報に詳しい人間ならわからないはずはない。クヨウも時期収まるだろうと見ていた。


「まぁ、簡単にでも確認したかったんだよね。それで気になるのは魔王のほうなんだよね~。目的がさっぱりわからない」

「でも~、暇つぶし~とは言っていたんですよね~?」

「そこが問題よ、暇つぶしって何をして暇をつぶすのかがわからないから」

「あ、そっか。暇つぶしに戦争を~なんて可能性もなくはないんですね?」

「極端な話、そうなんだよね」


何をもって暇をつぶすのかがわからない。あの時、アゲインは自分が組織を作ったとも言っていたが、それで暇つぶしが終わっているのかもしれない。


「そういえば~、あのときに~捕まった~盗賊さんは~どういう組織に~入ろうとしてたんですか~?」

「あ~、それがね~、裏の組織っぽいんだけどね・・・まだ、あるかどうかもわからないんだよ」

「現在捜査中ってことですね?」

「そゆこと~」



その後は特に新しい情報もないので、そのまま魔法具の話で盛り上がっていた4人だったが、ギルドからの呼び出しがあったので、クヨウはギルドへ向かった。


昼間のギルドはいつも賑わっているが、この日は少々騒がしさが違うようだった。気にしてもわかるはずもないので、クヨウはとっとと受付に要件を聞きに行く。すると会議室のほうに行くようにいわれ、会議室に入るとすでに何人か話している人間がいた。


「失礼します、クヨウ・キサラギです」

「おお、キサラギ君か。入りたまえ。あと数名来る予定だから、好きなところへ座っていてくれ」

「マスター、彼は?」

「彼は道具屋リュミエールの店主だよ。ポーションの開発者といえば、わかりやすいかね?」

「お~、彼があの開発者か」

「はじめまして、クヨウ・キサラギです」


各々自己紹介をしておく、メンバーは男性中心だが、女性も何人かいる。職業は様々だが、商人が中心になっていることだけはわかる。このあと数人が入ってきて、会議室は30人ほどの大人数になった。


「さて、今回集まっていただきありがとうございます。私が主催者であり、ここのギルドマスターを勤めているソルド・シルバーズです。今回の集まりは緊急の上、誰にも要件を話していないので困惑されている方も多いでしょう。なので、端的に話を進めたいのですが・・・・その前に注意事項を先に話しておきます。今回の要件は最重要機密であり、当ギルドといてSランク情報として扱います。故にここ以外での情報のやりとりは堅く禁じさせていただきます。ご家族や近しい人にも話されないようにお願いします」


会議室全体が困惑する。そもそも情報にはある程度ランクがあり、ある程度のやりとりはしている。しかし、今まではどんなに機密が高くてもAランクなので、Sランクは今回が初めてなのだ。例えて言えば、Sランクは国家機密にも相当するような情報である。いくら商人であろうとも、国家機密に関わる人間などそういるわけはないので、困惑するのは当然であった。


「それでは、今回の要件を話させていただきます。実は先日・・・とは言いましても2、3日前ですが、世界樹のある森の南側に魔王と思われる一団が要塞を建設しました」


会議室に驚きの声が飛び交う、「馬鹿な」「そんな」等々ソルド以外全員意表をつかれていた。クヨウも例外ではなく、内心はかなり困惑していた。


「お静かにお願いします。要塞といいましたが、見た目は一種の砦のようなものです。もっとも、ユニークモンスターが多数目撃されておりますので、内情は要塞と言っても過言ではないでしょう。各国はまったく気付かずに対応が遅れましたが、すでに連合して討伐軍を送る予定ではおります。そこで、みなさんには物資の補給の協力をお願いしたいのです」

「具他的に、どのような協力なのですか?無料で物資を渡す・・・などは流石に無理ですぞ。こちらにも生活がある」

「流石にそれはないです。協力とは物資を優先的に回して欲しいということです。無論数が多くなるので、ある程度代金を割り引いてもらえると助かりますが、そこは個々の裁量にお任せします。はっきりと言ってしまえば、戦争になります。これはもう絶対です。魔王が何故そこに要塞を建設したのかは謎ですが、世界樹に危険が迫っているとも考えられます。故に放っておくわけにはいかないのです」


ソルドからの要件とは、物資の流通を加速させて、後方支援を充実させようということだった。戦争をするにあたり、後方支援は士気にもかかわる大事なことだ。そこを疎かにするわけにはいかないので国からの要請でギルドと商人ギルドが後方のまとめ役をするということである。


各国の連携も意外な程早く行われている。それは平和で戦争もなかったので、交流が盛んだった恩恵でもあった。今のところ、魔王が具体的に動いているようには見えないが、世界樹の森の近くに要塞を作るというある意味各国への宣戦布告ともとれることをしているので、戦争の準備をするのは当然であった。


また、世界樹の森は神の聖域とされており、出入りは自由だが、侵略することは不可という特殊な環境になっている。そこの近くへ要塞を建てたとなると、神への侵略、つまり最高神であるアマス神へ敵対することだというアマス教からの圧力もあった。


「現在の状況は以上になります。それで、具体的な数値を国から貰っています。あくまでも指標なので、各々はある程度余裕をもって対応できるようにお願いします」


具体的な数値とは今後、戦争で必要になるであろう物資の数だ。負担が一箇所に集中させないようにいくつかの店で分担するということだった。そして、内容は滞りなく分担が終わる。今後も定期的にこの会議を行っていき、物流を加速させる予定なのだそうだった。最後に魔王に関する情報等をアンケートの形でこの場でのみ募集し、回収することで会議を終了した。


「ああ、キサラギ殿。少し話があるので、この場に残っていただきたい。他の方は解散で構いません。くれぐれもここで話した内容は内密にお願いします」


ソルドの解散の言葉と同時にメンバーがそれぞれ帰っていく。その中、残ることになったクヨウは何を言われるのか不安であった。クヨウとしては秘密にしておきたいことは沢山ある。ある程度近い人には話しているが、流石に権力のある所にまで情報がいくと厄介ごとになることも多いのだ。


「それで、僕にどのようなご用件でしょうか?」

「実は、貴方が持っている『銃』という武器を作って欲しいのです」


予想通りの範囲だったか、これはこれで困る。今まで秘匿してきた理由はその危険性。一般人の魔力でも一般人を楽に殺せるだけの威力を持ってしまう銃は危険だからだ。


例え兵士にしか配らないとしても、情報が漏れれば似たようなものを簡単に複製できてしまう。剣や魔法も似たような物といってしまえばそれまでだが、それでもクヨウは乗り気にはなれなかった。


「銃を・・・ですか。一応理由をお聞きしてもいいですか?」

「何、簡単な話だ。君はその銃という武器を使いユニークモンスターを倒したのであろう?ならばそれを複製できれば、強力な力になる」

「は・・・い?」


実はクヨウの知らないうちに銃の話はかなり肥大化されていた。本当の決定打は魔力爆弾なのだが、あまり知られてはいなかったのである。そして、クヨウは内心(実情を知らないならこのまま誤魔化し通せそうだ)と少し安心する。


「噂なので大袈裟になっていますね。実際は銃で倒したわけではありませんよ」

「何?しかし、それ以外の武器を持っていないであろう?」

「あの時は魔力爆弾を持っていましたから。僕が作ったやつですけど、それを口の中で爆発させただけです。死体は頭が破裂していたはずですが?」

「銃のせいではなかったのか・・・・では銃の威力はどのくらいなのだ?」

「初級魔法より少し上くらいです。フェンリル相手に撃ったときは無効化されてまして、牽制にもなりませんでしたよ」


無論ミスリルの薬莢を使えば話は別だが、とりあえず、隠し通す方針なので、このまま誤魔化す。


「量産しても、ユニークモンスター相手にはあまり意味はないか・・・・そうか、残念だ。しかし、冒険者用にはいいのではないのか?キサラギ殿は銃をあまり広めたくないようだがそれは何故かね?」

「初級魔法より少々上の威力・・・と言っても、当たり所が悪いと人によっては致命傷にもなり得るからですよ。あまり人殺しの道具として銃を扱いたくはないです。自分が愛用しているのもありますしね」

「量産するつもりはない・・・か。残念だが仕方がないな。現在必要なものではないので、これ以上追及しないが、私としては量産していただけるとありがたいがな。護身用にでもすれば中々いい武器になるだろう」

「それは、まぁ気が向けば考えておきますよ」


元々流石にスピッドファイアを量産するつもりはないので、劣化品で量産させるくらいの妥協は必要になるかもしれないとクヨウは考えていた。まだ、逃げ道はあるのでそれで耐えようと思っていた。


「用事はこれだけですか?」

「いや、むしろ本題はここからだ。君を国で保護することが決定した」

「は??????」

「まぁ、混乱するのも無理はなかろう。とりあえず、こちらの事情を聞いてもらえるかな?」


クヨウは本人が思っている以上に周りから注目されていた。理由はその魔法具の独創性にあった。クヨウとしては、作っているのは漫画やアニメ等のネタを元に作っているだけの二次創作に過ぎないのだが、周りから、特に同業者からしてみれば恐ろしい程の発想と開発力である。今はまだ生活に近いものしか量産しておらず、戦闘用なものは自分の周りでしか使っていない。しかし、クヨウの身柄を押さえて戦闘用の物を作ればかなり危険なことにもなる。なので、グランパレス国としては戦争の間だけでも、身柄を確保してその危険を取り除こうということでもあった。もっとも他の思惑もあるかもしれないが・・・


「なるほど・・・・それって僕だけですか?」

「一応、国としては何人か保護するつもりでいるそうだ。お店の方は流石にしばらく閉店してもらうしかないがね。ちなみにこれはすでに決定事項だそうだ。なので、拒否権はない」

「ん~・・・・いくつか条件をだして、それが通らなければ保護されるつもりはないですね」

「条件?どういうことだ?」

「はっきり言ってしまえば、自分の身を守るためですよ」


クヨウからしてみれば、身柄を押さえてよからぬ物を作らせようとするのはこの国かもしれないということだ。国の目的が本当に保護かわからない。内情はしらないが、クヨウからしてみれば警戒するのは当たり前のことだった。


「ふむ、あまり国を信用していないようだな。何かやましいことでもあるのか?」

「どんな組織にも裏があるということですよ。大きい組織なら尚更です」

「そうか、すまないな、失言だった。しかし、どの道条件は意味がないな。もう決定事項だと伝えただろう?どんな条件であろうと国がそれを飲む理由がない」

「別に国がどういおうと僕には関係ありませんね。もし軟禁、もしくは監禁を強いられるくらいなら旅に出ようと思いますので」

「それでは最悪の場合、君が反逆罪で捕まってしまうぞ」

「そこは覚悟するしかありませんね。最悪の場合死ぬ覚悟をね・・・」


両者はしばらく睨み合う。クヨウとしては条件をつけて、ある程度の拒否権を確保しなければどうなるかわからないからだ。そこがクヨウの譲れる最低ラインだ。それ以上は譲ることは出来ない。そして折れたのはソルドのほうだった。


「ふう、仕方がないな。その条件とは何かね?私としては強制監禁などはあまりしたくはないのでね。できれば穏便に事を運びたいが、君が折れない以上こちらでなんとかしよう」

「わかってもらえて何よりです。条件はいくつかあるので、文章にしてまとめますよ。明日くらいに提出でかまいませんか?」

「仕方がないな。人材の流出よりはマシだ。よかろう、ただし明日の朝には持ってきてもらおう。私にも都合があるのでねそれと、条件も内容次第だ。あまり変な内容だと本当に監禁を強いることになるかもな」

「先に言ったはずですが?身を守るためだと」

「そうだったな・・・・失礼した。では明日の朝まっているぞ」


クヨウは急ぎ店へ戻るが、嫌な予感は拭えなかった。


事態は急降下中です。次の展開で進み方がまったく、変わるので分岐点ですね。

まぁ、2ルート書こうとかいう無謀はしません。そんな気力も無いですし・・・


今現在悩み中です。


とりあえず、次回をお楽しみに~・・・またちょっと更新が遅くなると思います。

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