第28話「天国と地獄」
今回はギャグに走ってみました~
第28話「天国と地獄」
「完成~しましたね~。ふふふ~嗚呼~楽しみ~ですね~」
「やっとだね~、次のお休みにみんなでやろうか?」
これが波乱の幕開けだった・・・・
「第1回、天国と地獄ゲーム~~~~!」
休日に呼ばれたミリアとサクラは訳も分からず混乱していた。クヨウとレナリンスはやけにテンションが高かった。
「え~とクヨウさん?随分テンションが高いけど、これは何なの?」
「それは~これから~説明しますよ~、あはははは~」
「リンスちゃん?妙に浮かれてない?」
若干引き気味のミリアを無視して、話を進める。『天国と地獄ゲーム』とは、レナリンスのアイデアの元、クヨウの能力を最大限、無駄に活用した魔法具である。
ルールは、ボードゲームなので100マス目を目指してサイコロを振り、コマを進めるというもの。そして、プレイヤーはコマに意識を移し、色々なイベントをこなしていかなくてはならない。
あくまで、幻術で意識をコマに移すだけなので、何があろうとも安全である。例え首をきられようとも問題はない。トラウマはできるかもしれないが、肉体的には問題ないので無視する。
「へ~、面白そうね」
「そうですね~、ちなみにそのイベントってどんなことが起こるんですか?」
「それは~私も知りません~。知っているのはクヨウさんだけですね」
「ん~、内容は笑って済ませるレベルですよ。効果は長くても1時間ですので、ずっとそのままってことはないです。ではさっそくやってみましょうか」
4人はそれぞれコマを取った。クヨウが青、レナリンスが赤、ミリアが黄、サクラが白のコマで進める。最初に全員でサイコロを振り順番を決める。そして決まったのは、レナリンス・ミリア・サクラ・クヨウという順番である。
「では~、お先に~・・・えい!」
サイコロを振り、出た数だけ進む。各マスにはそれぞれ色があり、止まったマスの色のカードを引きカードに書かれている内容を「強制的に体験する」というものだ。レナリンスが止まったのは青のマスだ。止まるとそこでカードが5枚目の前に現れて、その中から1枚引く。
「え~と~・・・『タライが落ちてくる』?」
その瞬間、ガン!という音とともにレナリンスの頭に金タライが直撃した。
「いった~い~~~・・・」
あうあうと涙目になりつつ、レナリンスは手で頭を押さえる。ミリアとサクラはクヨウに「説明しろ」と言わんばかりに視線を向ける。
「さっきも言ったけど、内容は強制的に受けてもらいます。ああ、カードの中身はランダムで、色に関係なく良い事が3枚で悪い事が2枚入ってます。ちなみに、色は効果の大きさになってます。青は小、黄は中、赤は大です。それ以外の色は、特殊カードになってるので、そのときに説明しますね」
「う~ん、なかなかきついゲームになりそうね」
「それより、赤が怖いんですけど・・・」
次にミリアがサイコロを振る。止まったのは青のマスだ。
「お願いします!これ!」
気合をいれて、カードを引く。そこに書かれていたのは・・・・
「え~と、『パフェ1個食べること』・・・・え?ほんと?」
ミリアの前に、ポンという音と共にパフェが出てきた。
「へ~、あんなのもあるんだ~」
「ミリアちゃん~、うらやましい~です~」
「でも、あれって本当に食べてるわけじゃなくて、記憶を読んで疑似体験しているだけだからね」
なので、太りはしない。あくまで、仮想空間にいるようなものなのだ。
「次は私ね、ほいっと」
サクラが止まったマスは赤だった。
「え?ちょっとまだ心の準備が・・・」
「ああ、十秒以内に引かないと、自動で確定するから気をつけてね」
「ふ~・・・?ちょっとまって~」
サクラは慌てて1枚引く。そして裏側を恐る恐る覗くと・・・・
「ん?『巨大ケーキに埋れる』?まさか・・・キャーーー!」
サクラがカードを読んだ直後に、サクラの上から巨大ケーキが降ってきてサクラが埋まった。ちなみに、サクラはなんとか避けようとしたが、体が動かなくなっており、避ける事ができなかった。
「あくまでも、強制体験なので、避けれません。まぁ、あれでも良いほうだからいいじゃないですか」
「私の~、タライよりは~いいですよね~?」
「他人事だと思って~、ちょっと怖かったよ」
とかいいつつも、サクラはケーキを摘みつつ這い出てきた。最後はクヨウの番である。
「さてさて~、何が出るかな~?っと!」
クヨウが進むと黄のマスだ。何の気なしにカードを引く。
「何々?『30分間ギックリ腰になる』って・・・・あ痛!!!!」
突然倒れるクヨウ、どうやらギックリ腰になったようだ。30分間とはいえ、なかなかきついものがある。
「さて次はっと、この黒いのは何?」
「ああ、黒いマスはもう一回サイコロが振れるんですよ。ただしその後に出てくるカードで進めるか戻るかが変わりますけど・・・」
「あ、進めるんだ。次は灰色だよ~」
「矢印に従って移動してください。移動先は何も起きませんので」
こんな感じで進んでいく、この後響き渡るのは歓声か悲鳴か。
さて、長いのでここからはダイジェストでお届けします。
「次は~なんでしょう~??『次のプレイヤーの腰に蹴りを入れる』・・・あはは~クヨウさん~ごめんなさい~」
「ここでそれが来るんですか!?痛い!」
「他の人を巻き込むのまであるのね」
「無事にゴールできるんでしょうか?」
「次はっと、『足の小指をぶつける』って痛い~~!」
「私ですね~・・・『1分間耐久くすぐり地獄??』。クッ!あははははははははは!!!ははははっはははは、ひ~~~きつい~あははっはははは」
「僕は既に結構やばいかも・・・・『3分間リラックスできる』助かった・・・」
「『体重が20kg増える』え・・・・これ1時間もやるの???嗚呼私の体形が・・・・」
「『野犬に襲われる』ってなんかきた~~~~」
「『ケーキ食べ放題』か~、なかなかいいねこれ」
「『金タライが5個降ってくる』?ちょっと~~~~!」
そして・・・・
結構ボロボロになりつつも、ミリアが一番にゴールした。やっと終わった・・・というのが全員の感想だった。
「結構きつかったね、これ」
「思ったより~楽しかったですけど~疲れますよ~」
ゴールすると、意識を自分の体に戻せるで、体力的には大丈夫なのだが、精神的に結構疲労度が大きかった。
「なんだか、妙に疲れたね・・・・」
「サクラさん、まだ顔が赤いですよ?」
「え~!あ~もう~恥ずかしい。誰にも見られてないんだからいいんだけど、恥ずかしいことには変わりがないわ」
「私は~、サクラさんが~何を体験したのかが~ひじょ~に気になりますね~」
最後のほうでサクラが『自分が想像する恥ずかしいこと』を幻覚で味わったのだ。プライバシーの問題もあるので、他のプレイヤーには見れないようになってはいるので特に問題はないであろう。
「これどうしよう?売る?」
「暇つぶしにしてはきついものがありますよね」
「私としては、もうやりたくはないわ」
「一応製品化してみようかな~?それとも、リンスちゃん専用にする?」
「う~ん、とりあえず~お姉ちゃんと~やってみてから決めますね~」
「「「まだやる元気があるんだ・・・」」」
後日、レナリリスがいたく気に入ったらしく、販売することになった。
そして、意外なほどの売り上げを記録したのは別の話。
なんだかのりきれないというか・・・・
最初から最後までギャグは難しいですね~。
では、次回をお楽しみに~