第27話「新しい厄介事」
今回は初の1人称視点で進めてみようと思います。
第27話「新しい厄介事」
~クヨウ SIDE~
レンヤが旅に出てからも数週間が経ちました。基本的に平和です。商業連合からの勧誘もありましたけど、普通にお断りしています。今のところそれで済んでいるので、問題は特にないです。問題があるとすれば他のことです。なんか弟子にして欲しいとかいう人が出現し増えつつあります。理由は簡単、魔法具が原因でした。
異次元バッグはかなりの発明品で、すでに大陸中にかなりの数が出回る次第。しかも、今まで他の研究者が考えもしなかった術式で作られているため、どうも僕のことを天才的な発明家だと思っている輩が出てきたらしいのです。元々ポーションの開発である程度知名度があったのも原因みたいです。それに関してはどうしようもないのですが。
「ん~、随分面倒なことになってきましたね~」
「クヨウさん~、仕方がないことだと~思いますよ~。あんな~術式思いも~しませんでしたからね~」
「ただ単に、最適化しただけなんだけどなぁ~・・・・」
どうもやはり発想が違うみたいで、困ったものです。
「そうそう~、クヨウさん~、お姉ちゃんが~今度~、クヨウさんを~学園の講師に~勧誘できないか~?って言ってましたよ~」
「お姉さんにはお断りしておいてください。面倒ですので」
「あはは~、クヨウさんモテモテね~」
「勘弁してくださいよ、サクラさん」
思わぬ所で注目を浴びちゃいました。まぁ、これが抑止力になって商業連合の動きが抑えられているようなので迷惑ばかりでもないのですが・・・・まぁ面倒です。普段は面倒くさがりじゃないんですが、ここまで厄介ごとが続くとどうも面倒くさがりになってしまいますね。
こういうのは一過性なので、落ち着くのを待つしかないですね。
「そろそろお昼なんで、昼食を作ってきますね。弟子入り関係とお誘い関係は全部断って置いてください」
さてさて、お昼は何にしようかな~?
~レナリンス SIDE~
「そろそろお昼なんで、昼食を作ってきますね。弟子入り関係とお誘い関係は全部断って置いてください」
クヨウさんは、そのまま奥へ行きました。クヨウさんのご飯は結構美味しいので、お昼の賄いは1日の楽しみの1つでもあります。
「ねね、リンスちゃん」
「はい~?なんでしょう~サクラさん~?」
「クヨウさんの術式ってそんなに凄いものなの?私って戦闘専門だから、そんなにわからないのよね」
「あ、それ私も知りたい」
なるほど~、確かに専門家じゃないとなんでなのか、わからないですね。
「簡単に~説明しますと~・・・そうですね~、と~っても強い~モンスターがいたとします~。みんなが協力しても~いくら研究しても~、弱点も~わからないモンスターです~。クヨウさんが~したことは~、そのモンスターを~簡単に~誰でも~倒せる方法を~作った・見つけた~ということなんですよ~」
「へ~、それが2回も3回も続けば騒ぎになるか。な~るほどね~」
「確かにそれはすごいですね」
まぁ~、おかげで大変なことになっていますが・・・・私も弟子入りしたいくらいです。
半分はクヨウさんの能力があるとはいえ、効果を解析して術式に直すのはそれなりに難しいんですけど、クヨウさんは結構簡単にしてますからね。どういう風に考えているかくらい聞こうかな~?
~クヨウ SIDE~
「うん、上出来だ」
結構手間がかかったけど、ついに・・・ついに!カツ丼の完成だ~~!意外とパン粉の代わりになるものがなくて、完成に時間がかかりました。
異世界にきてから、食べ物が劇的に変化してしまい。たまに思い出す日本食が恋しくなります。とはいえ、共通している食品もあれば、全然違うのがあるので再現ができないことが多々あります。
こうして再現が完成すると今までの苦労が吹き飛びます。うん、楽しみだ。3人が驚く顔もまた楽しみなんですよね~ふふふ。
「おまたせ~、今日はカツ丼です~」
「「「カツ丼?」」」
「故郷の料理でね、なかなか美味しいんですよ」
3人にも結構好評なようで、嬉しいものです。いっそ料理店でもひらこうかと思いましたがそんな気力もないので、即刻却下ですね。
「へ~、本当に面白いね。器に米と具を載せるっていう発想が独特よね」
「ん~、なんでも元々は働いている人に「お疲れ様」という意味をこめて丼料理が出来たとか聞きましたよ」
「丼料理ってことは似たようなものが他にもあるんですか?」
「親子丼、あんかけ丼、うに丼、海鮮丼等など、バリエーションは沢山ですよ」
「多いですね~、でも~簡単に~食べれるので~こういうのは~好きですよ~」
そして、昼食後、今度はなにやら物騒な行列が店の前にきました。僕としてはそのまま通り過ぎて欲しかったのですが、その願いは淡く消えていくのでした・・・
「クヨウ・キサラギ殿はいらっしゃいますか!?」
「え~と僕です、何の御用時でしょうか?」
「私はオールウェイ・レオハルドと申します」
はい、ここでまたも大物が登場です。エルミールグループと肩を並べる商業グループで、主に魔法具を扱っているレオハルドグループの総帥です。レオハルドグループは本拠地をエルフ族が主体である「ムーンミラージュ国」においてあり、魔法具の開発や量産を仕切っているグループです。ムーンミラージュ国は魔法文化の中心地であり、魔法具の技術は最先端にあたります。組織の観点からいくとバンガードさんと同じような立場の人ですね。わざわざこんな人まで勧誘しにくるとは・・・
「クヨウ殿、単刀直入にお願いしますが、我がグループの一員になってほしい。クヨウ殿ならかなりの高待遇で迎えましょう」
「え~と、ありがたいお話なんですがその手の勧誘は全てお断りしています」
「全て?エルミールグループに協力をしているのではないのですか?」
あ~、バンガードさんの件で勘違いをしているみたいですね。
「エルミールさんとは商業連合について情報を共有しようと約束していますが、お店としてはまったくの無関係です」
「むむ、そういうことですか。しかし、そこをなんとか曲げてお願いしたい」
完全に頭を下げるレオハルトさん。そこまでされると若干気が引けますが、あくまで独立していたいので、やっぱり断ります。
「そうですか、仕方がありませんね。今日のところは諦めましょう」
この人意外としつこいです。また来る気ですか。
「ところで、先程商業連合の話が出ていましたが・・・どうして商業連合について情報共有を?」
「あまり細かい内容は言えませんが、不穏な動きがあるので・・・ということです」
「む、エルミールもそうなのか・・・」
エルミールも?ということはレオハルドグループにも何かしているのかな。あのグループは一体何がしたいんだろう???
「ふむ、失礼ですがクヨウ殿はエルミールグループの誰と情報のやりとりをなさっているのですか?」
「ええと、バンガードさんです」
「なんと、クヨウ殿もなかなか顔が広いですね。益々欲しい人材だ・・・・っと話が反れますな。情報ありがとうございます。お礼代わりに1つ情報を。商業連合なのですが、どうもあまりよろしくない連中と繋がっている模様です。最近はモンスターの研究をしているとか、どうも普通のグループとは違う動きがありますので、くれぐれも御気お付けください。この話はエルミールに流していただいても構いませんので、ではまた近いうちに」
「ああはい、ありがとうございます・・・・」
レオハルドさんはそのまま店を出て行った。商業連合はどこも警戒しているんだなぁ・・・・それにしても、なんか最近大物とよく会う気がします、僕としては日々平穏にいきたいんですけどね~。
「クヨウさんってやっぱり大物ですね」
「そうね~ある意味、かなりの重要人物になったわよ」
「2人とも、完全に他人事ですよね?」
「「「それは当然ですね」」」
「リンスちゃんまで・・・・」
能力はともかく、僕自身は結構平凡なんですけどね~。
「それはともかく、サクラさん」
「ええ、今行ってきますか?」
「お願いします」
サクラさんはなかなかカンがよく、たまに主語抜きでも会話ができます。それにしても商業連合か・・・、本当に魔王と繋がっているのかもしれませんね。
「「???」」
2人とも混乱真っ最中ですね。和みます。
「サクラさんには先程のことをバンガードさんへ伝えてもらいにいっただけですよ」
「あ~、なるほど」
「随分~仲良くなりましたね~・・・ほとんど~夫婦~じゃないですか~?」
「ある程度仲良ければできなくはないでしょう?夫婦とは飛びすぎですよ」
夫婦か・・・まぁ、恋人でもないサクラさんとそうなるわけありませんよね~?
とまぁ、がんばってみましたが・・・
性格変わってないか?と疑問になりますね。
多分今後も3人称視点でいくと思います。
では~、次回をお楽しみに~