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第20話「旅行事情その5」

今回でめでたく20話になりました。呼んでくださっている方には本当に感謝しています。

お気に入り登録数が増えたり感想もらえるのは嬉しかったです。これからもがんばっていきます。

第20話「旅行事情その5」


6日目つづき


クヨウ達は誘拐犯から少女を救出し、警備隊の本部へ向かっていた。少女は気を失っており、今はレンヤがおんぶしている。


「ところでレンヤ~、警備隊の本部ってこっちでいいの?」

「へ?知らないぞ、クヨウが知ってるんじゃなかったのか?」


警備隊の本部へ向かっていた・・・・かも?


「大丈夫ですよ~、もうちょっと先に~ありますね~」

「2人とも適当だったんですか?」


一応警備隊本部へ向かっていたらしい。乾いた笑いで誤魔化す2人であった。


「誘拐犯が着いてきたりしないよな?奇襲されたらたまったもんじゃないぞ」

「それは大丈夫、一応つけている人はいないよ」

「あ~見えました~。多分~あの建物じゃないですかぁ~?」


前方に『警備隊本部』の文字が大きく書かれた看板が見えてくる。もうすでに夜遅くになってはいるが、警備隊は休まずやっているらしい。少女を預かってもらうために4人は中へ入っていった。


「おや?どうしたんだい、こんな時間に?」


出迎えたのは40台くらいの人間のおじさんであった。警備隊の人達が妙に体格がいいのは気にしないことにする4人である。


「あ~、実は先程誘拐らしき現場に遭遇しまして・・・この子が誘拐されそうでしたのでつれてきた次第です」

「なに!本当か!?いや、その子がいるんだから本当なのだろう。ありがとう、協力に感謝するよ」


数日前に似たようなセリフを聞いたような覚えもなくはないが、とりあえず、感謝は受けることにする。


「あ、どうも。まぁ、たまたま見かけたというだけなんですけどね~」

「たまたまでも何でも、犯罪を防げたのなら感謝するよ。この子は眠ったままかね?」

「ええ、助けたときから眠ったままですね」


そういいながら少女を近くにいた女性に預けようとしたそのとき、1人の竜人族の男性が駆け込んできた。


「誘拐だ!手を貸してくれ!」

「「「「何!?」」」」


本部にいる警備隊員は騒然とする、急いで捜索の準備を始めた。クヨウ達は少女を近くのソファーに寝かせて帰ろうとしていた。このままいても邪魔になる恐れがあったためである。


「それで、その少女の特徴は!?」

「ああ、髪が金色で長く、肌は白い。あとは・・・」


隊員が少女の特徴を聞きだしているのを横で聞こえてしまったクヨウ達は、ふと自分たちが助けた少女を見る。


「え~とぉ~、もしかしてぇ~この子のことでしょうか?」

「リンスちゃんもそう思う?僕もそうだと思うんだけど・・・・どしよか?」

「どうするも何も、聞けばいいじゃん」


勘違いだったらそれは別に構わないので、駆け込んできた男性に聞くことにした。


「あの~すみません。もしかしてこの子のことですか~?」

「なんだ!?今いそがし・・・何?今なんと?」

「あ、いえ、この子は違いますよね~?と・・」


男性は相当焦っていたらしく、少女を見ると数秒間固まった。そして本部内の雰囲気も同時に固まる。そして・・・


「おおおお!よかった~・・・・ありがとうございます!既に助けていただいてたのですね!?」


凄まじい男性の勢いに負けて隊員はろくな答えを返せずにいた。そして横から女性の隊員が出てきて事情を説明する。クヨウは「厄介ごとになりそうだな~」と思っていた。


「なんと!貴方たちがですか!本当にありがとうございます!」

「あ~いえ、たまたまですので、気にしないでください。それじゃみんな帰ろう」


なんとか話を打ち切り宿に戻りたかったクヨウだったが、当然その男性はそれを許すはずも無く、「是非お礼を!」と詰め寄ってくる。結局勢いに負けて次の日に招かれることになった。そして帰る途中・・・


「すごい勢いでしたね~」

「横で見てて~、とても面白かったですよ~」

「善意の塊だからね~、どうにもできないし」

「まぁいいじゃないですか、面白そうですし。特に見たいものがあるわけでもないんですし」


クヨウ達はマッジーナ選手権大会を見に来てはいたが、この種目が見たいというわけでもなかった。あえていえば、大会の雰囲気を見に来たようなものである。故に特に予定は決めていなかった。



7日目



クヨウ達は朝早くからとある屋敷にきていた。リーブラの郊外にある住宅地に建っている一際大きい屋敷である。昨日助けた少女はエルミール家のご令嬢でミューズ・エルミールという。ちなみに昨日の男性はラウ・アークといって、ミューズの護衛をしている人であった。


「エルミール家・・ねぇ。まさかとは思ったけど、エルミールグループのTOPの家とはね」


グループとは色んな店が共同で出資あるいは連携するなどで形成される共同体のことである。目的は様々であるが、利益の共有が一番の目的である。以前出てきた商業連合もこれになる。そして、エルミールグループは大陸でも有数のグループの1つである。武器の製造販売に力をいれており、Sランク以上のハンターも複数名協力している事で有名である。

エルミール家はその大元で仕切っている家系である。


「お礼は~期待できそうですね~」

「僕としては面倒ごとにならない事を祈るだけですよ」


妙に期待するレナリンスとは対照的に、クヨウはどうも嫌な予感しかしなかった。とはいえ、今更断るわけにもいかないので屋敷の呼び鈴を鳴らす。出てきたのは老執事だった。


「はい、どちら様でしょう?」

「私クヨウ・キサラギといいます、昨日ラウ・アーク殿に呼ばれてきたのですが・・」

「お待ち申し上げておりました。それではどうぞ中へ」


4人は玄関に入るとそこで既に圧倒される。正面にいきなり巨大な超○貴の像がマッスルポーズを決めつつ建っていた。大きさは3mほどであろうか、今にも「HAHAHAHA~」と笑い出しそうで怖かった。


「うわ~、これはないわ・・・」

「僕はもうだめかも・・・」

「「怖い」」


圧倒される4人をみた執事が苦笑しながら「少々お待ちを」と中へ入っていった。そして奥から出てきたのは屋敷の主であるバンガード・エルミールであった。この人も例にもれずマッチョである、しかも顔が輝いている(別の意味で)。


「ようこそ!エルミール家へ!私が当主のバンガード・エルミールです!」

「本日はお招きいただきありがとうございます。私はクヨウ・キサラギと申します」


バンガードの大声と迫力に圧倒されつつも、クヨウはなんとか礼儀正しく挨拶をする。3人もそれを真似て挨拶を行う。


「さて、こんなところではなんなので奥へどうぞ」


そうしてクヨウ達は客室へ案内される。ここには銅像はなかったが、絵画が存在し少々引く。「どこまで筋肉好きなのか」と悩むクヨウ達であった。そして、大きめなソファーに座ると、奥からミューズとラウが出てきた。ミューズとしてはクヨウ達のことをまったく知らない。まぁ、気を失っていたので当然であるが、ラウからの紹介で納得しお礼を述べる。その礼儀正しい姿は1つの絵になっていた。その後ミューズは部屋をあとにする。改めてラウからのお説教が待っていたらしい。


「さて、お礼なのだが・・・皆様に合った武器というのはいかがでしょう?ご存知の通りエルミールグループは武器製造に力をいれていましてな、無料で最高級の武器を用意させましょう」

「随分太っ腹ですね~」

「娘が無事に帰ってこられたのです、これくらいで済むなら安いものですよ」


そこでクヨウを除いた3人は武器をオーダーメイドで作ってもらうことにした。そこで2人のハンターが部屋に入ってくる、先日遭遇したサクラとフドウであった。サクラとフドウはエルミールグループに協力しているハンターであり、武器もオーダーで貰っている。もちつもたれつといった関係であるらしい。面識があったことにはバンガードも驚くが、特に険悪な仲でもないのでサクラとフドウに武器をみてもらうことになった。5人は別室へ移動していった。


「クヨウ殿はよろしいのですか?」

「僕の武器は特別製でしてね。師匠と僕との合作です。なので変えるつもりはないんですよ」

「ほ~、失礼ですが、少々見せていただいてもよろしいですか?」

「特殊な武器なので、同じものや類似品を作らないという条件ならいいですよ」

「恩人の武器をそんなことしませんよ。こちらも商人の意地がありますしね」

「それは失礼しました」


バンガードはスピッドファイアを受け取ると興味深そうに眺める。クヨウは念のため薬莢を抜いているため、間違っても暴発はしない。


「ふむ、なかなか不思議な形状ですね。それに良い仕事をしている。クヨウ殿と師匠殿の合作ということは、クヨウ殿は鍛冶をしているのですか?」

「いえ、僕は魔法具を作っているだけです。師匠は鍛冶もしていますけどね。それとその武器はこの薬莢をいれないと武器として作動しませんよ」


クヨウは薬莢見せてスピッドファイアの性能を軽く説明する。バンガードは唸りながら聞いていた。


「なるほど。すばらしい発想ですな。是非とも商品化したいところです。私共のグループへの参加を要請したいくらいですね」

「ありがたい話ですが辞退させていただきます。僕も店を持つ身ですのでね」

「それは残念、まぁ仕方が無いでしょう。それよりその薬莢をうちで作りましょうか?今は鉄で作っているみたいですが、ミスリルで薬莢を作れば込められる魔力量もあがるでしょう。クヨウ殿へのもの以外は一切作らないと約束しましょう。どうですか?」


クヨウにとってそれはかなり魅力的な話であった。正直スピッドファイアの攻撃力のアップはしばらく無理だと思っていたからだ。クヨウはバンガードの提案を了承し、頼むことにした。


「こちらとしてもお礼ができて、何よりですよ」


その後、レンヤ達が戻ってくるまでバンガードがスピッドファイアを試射して過ごしていた。


話が予想以上に長くなったのでここで一度終わっておきました。中途半端な形かもしれませんが、次で一段落する予定です。


では~、次回をお楽しみに~

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