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第17話「旅行事情その2」

やっぱりギャグ要素があると楽しくかけるので、ギャグを多めにしたいですね。

ただ・・・ネタが無いので難しいです。

第17話「旅行事情その2」


3日目


連合国の国境近くの町ミントの警備隊支部は朝から大騒ぎの真っ最中であった。2日前に、警備兵からフェンリル出現の情報が入ったからである。その日のうちに周辺の各町へ連絡が回され、国境付近の川沿いに立ち入り禁止令が出された。当然討伐隊を編成しすぐにでも討伐に行くところであるが、ここの街の警備兵は質は悪くないのだがフェンリルを相手に戦えるほどの者はいない。ギルドに緊急討伐隊の要請を入れたが、1日程度で集まる訳もない。なんとか2日で人数をそろえることができたが、何人まともに戦えるのかわからない状態である。今のところ人的被害は報告されていなかったので、警備隊にあまり焦りは見られなかった。しかし、急ぎで討伐しなければいけないことには変わりは無く、警備隊も大忙しであった。彼らは知らない、既に討伐対象が死んでいることを。




その頃、クヨウ達はレンヤが目を覚まし3人はのんきに朝ご飯中であった。食後に出発準備をしていたが、クヨウは未だ眠ったままである。そのうち起きるであろうと思ってはいるが、あまりに目を覚まさないと心配にもなる。これはクヨウがナイフにつけた能力の代償であったが、3人に分かるわけもなかった。


「クヨウさん、まったく起きませんね」

「クヨウのことだから、そのうちのんびり目を覚ますだろう。それよりそろそろ出発しよう。準備はできているからな」


クヨウが起きるのをいつまで待っていても仕方が無いので、とりあえず出発することになった。レンヤが手綱を持ち、若干寝不足のミリアは寝ようとしていた。レナリンスは警戒のために寝る訳にはいかなかったが、それ以上にレンヤに聞きたいことがあった。昨日、クヨウが見せた光と魔力、はずれたはずのナイフがどうしてフェンリルの額に刺さっていたのか?そしてクヨウとレンヤに対する疑問。今まではクヨウの事を天才だと思っていた。突飛な発想で新しい魔法具を作り出していたのだと。レンヤも努力家で天才的な身体能力を持っているのだと。もしかしたら自分は思い違いをしているのでは?と疑問に思う。そしてそれが全く否定できないのであった。自分の持っている情報があまりにも少ない事に気がつき、レンヤを問いただす決意を固めた。


「レンヤさん~?ちょっと聞きたいことがぁ~あるんですけどぉ~、いいですかぁ~?」


いつもと同じのんびりとした口調ではあったが、どこか剣呑な雰囲気をかもし出していた。レンヤはそれを感じ取り、誤魔化しは効かないことを悟った。


「昨日の事かい?」

「はい~、是非とも教えて欲しいのですがぁ~」


「昨日の事」と聞き、ミリアも起き上がる。ミリアも疑問に思っていたからだ。


「そう・・だね。だけどまぁ、今はまだ待ってくれないかな?クヨウが起きたら2人で全部話すよ」


レナリンスとしては、今すぐにでも聞きたいところではあったが、クヨウの事を本人の知らないところで聞いてしまうのも気が引けたので待つことにした。ミリアも同じ気持ちであった。



一方ミントでは・・・


その日の昼、連合国街ではAランクハンター3人を含むハンター隊7人、警備隊12人で討伐に向かうのであった。メンバーとしては若干足りないが、2日で集まったにしては上出来な部類だ。警備隊が斥候をだしてフェンリルの居場所を探り、ハンター隊と残りの警備隊で討伐する算段になっていた。


そして、レンヤ達と遭遇する。




クヨウ一行・・・


「おや~?随分物騒な団体さんがやってきたな。盗賊・・・じゃないな」

「あれは警備兵でしょうか?でも数が多いですね。一応用心しておきましょうか?」

「あちらからの~敵意はありませんねぇ~。様子から想像するとぉ~、フェンリルの~討伐隊じゃないですかぁ~?」


レンヤもミリアも納得する。ちょっと考えれば分かることだったからだ。そうして一応討伐隊の邪魔にならないよう、馬車を街道から横へ移動させた。しかし、討伐隊の1人がこちらにやってきた。街道の情報、主にフェンリルの情報を得るためだったが討伐済みの情報を得ることになるとは思わなかったであろう。


「え!!?本当ですか!?」


大声を上げる兵士の声に気付き、討伐隊が一時停止する。そして討伐隊のリーダーをやっている兵士がレンヤ達のところにやってきた。


「どうした?フェンリルでも見かけたのか?」

「違います!この方々がすでにフェンリルを討伐した、と」

「何!君たち、それは本当か!?」


4人しかいない(クヨウが馬車の中で寝てる)、しかも1人を除き強そうに見えないメンバーでフェンリルを倒したと言われてもすぐに信じれることではなかった。


「ま~、信じられないかもしれませんが事実です。実際危なかったし・・・」

「あ、証拠部位がありますけどご覧になりますか?」

「あ・・・ああ。見せてもらえると助かる」


ミリアはバッグの中を漁り、布に包まれたフェンリルの犬歯を見せる。フェンリルの犬歯は青く特徴的であった。見せられた犬歯は若干色が薄いものの、確かにフェンリルの物であったので、討伐隊のリーダーは夢でも見ている様な気分にもなったが、納得するしかなかった。


「なるほど、確かにフェンリルのモノだ。討伐に感謝する。よくあまり手傷を負わずに倒したものだ、重傷者等もいなさそうで安心した。ところでフェンリルの死体はどの辺にあるのかね?疑うわけではないが討伐隊としては周辺も捜索しておきたいのでね」


フェンリルの目撃情報から一匹だとは推測されていたが、2匹以上いないとは断言できない。なので、死体周辺も捜索する必要があったのだ。それにユニークモンスターはマジックモンスターを引き連れている場合も多いので、手下であるマジックモンスターがいれば討伐する必要があるのだ。今回のフェンリルには手下はいなかったが、手下がいればクヨウ達はまず間違いなく全滅していたであろう。


「有益な情報に感謝する。後日僅かではあるが謝礼が贈られると思うので、受け取って欲しい。では失礼する」


そういうと、討伐隊はそのまま進んでいった。レンヤ達も特に用事があるわけでもないので、さっさと町へ向かうのであった。


「重傷者はなし・・か。まぁ、確かにそうなんだけどな」

「大丈夫ですよ、クヨウさんは疲れているだけですよ、きっと」


複雑な気分のままレンヤ達はミントへ入っていった。

宿は簡単に見つかり、クヨウを宿に寝かせてからギルドへフェンリルの犬歯を換金しに行った。窓口で犬歯を見せたときは周りが騒然としたが、事態が好転しただけなので、周囲は喜んでいた。


クヨウが目を覚まさない。なんとも複雑な気分のまま一行は宿へ戻るのだった。



4日目


レンヤが朝起きるとクヨウはすでにベットにはいなかった。ミリアとレナリンスを起こして探そうとして食堂に向かうと、クヨウはのんびり朝食を食べていた。


「おはよ~、どうしたのみんな?そんなに血相変えて」


この言葉に3人は若干イラっとしたが、同時に安心して深いため息をする。クヨウはなんのことがわからず?マークを浮べていた。


「いつも通りだな、まったく。こっちの気も知らないでよくもまぁヌケヌケと朝食を優雅に楽しんでやがるな」

「まぁまぁ、レンヤさん落ち着いて落ち着いて。それよりみんなで朝食を食べましょう、ね?」


安心すると急にお腹が減ったらしく、3人も席につき朝食を頼んだ。


「あ~、心配かけてごめんね~。あのナイフに能力を持たせるために色々とリスクをつけたんだけど、その中に丸一日眠るってのをつけちゃってさ~」

「丸一日?お前最低でも1日半は眠ってたぞ。その辺は個人差なのか?」

「いや、きっちり24時間だよ。本当は昨日の夕方起きたんだけどね~」

「な・・・に?」


クヨウの聞き捨てならない言葉にクヨウを除く3人は動きが止まる。


「あんまりにも気持ちよくてさ~、眠かったし2度寝しちゃったんだよ~。朝起きたときの爽快感がなんともいえなくてね~」


この言葉に3人から『ブチッ』という音がしたという・・・そして、レンヤはクヨウの前で仁王立ちする。


「ほほう~、2度寝とは随分優雅なご身分ですなぁ~」


レンヤから鬼のようなオーラを感じクヨウはびびって逃げようとするが、『かちゃり』という音と共に、後ろからレナリンスが無表情でスピッドファイアの撃鉄を上げ、銃口をクヨウのコメカミに密着させた。


「へぇ~、いいですね~、2度寝ですか~。私たちがぁ~、どれだけ~心配したとぉ~オモッテルンデスカ~?トッテモキモチヨサソウデスネェ~・・・」


レナリンスは口調まで感情がなくなりクヨウの脂汗が止まることを知らないように流れていく。そして首元にミリアのショートソードが当てられる。


「これは『すこ~し』お仕置きが必要なようですね~、アハハハハハハハハハハハハハ」


ミリアまでもが鬼のオーラを背負いショートソードを喉に滑らせるように動かしていた。


その後クヨウの悲鳴が聞こえ、1時間後クヨウはボロボロになってベットにダウンするのであった。




「え~と、すいません、本当にすいませんでした」


部屋でクヨウは土下座していた。流石に2度寝はまずかったと反省していた。


「まったく!私たちがどれほど心配したことか・・・」

「まぁ~何はともあれ~、無事そうでぇ~何よりですぅ~」


2人は安心して、お茶を啜っていた。そしてレナリンスが真面目な雰囲気をだして、疑問を問い詰めるのであった。クヨウも流石に誤魔化すつもりはなかったので、レンヤと2人で全てを話した。能力のことから本当は異世界の住人であることまで全てである。


「なるほどぉ~、それならぁ~隠す必要はぁ~十分ありますよねぇ~」

「普通なら信じられないよね。私もあの事がなきゃ信じれなかったと思うよ」


クヨウは信じてもらえない可能性も考えていたが、思いのほかレナリンスとミリアが信じてくれたので正直ほっとしていた。


「そういえばぁ~、フェンリルを倒したあのナイフにはどんな能力と~、リスクをつけたんですか~?」

「あ~、ちょっと難しい話になるけどいい?」


ナイフにつけた能力、『因果律の逆転』の説明をするとミリアは混乱した。レナリンスは理解しきるまで時間がかかったが、なんとか理解することはできた。レンヤは元々知っていたので2人の様子を面白がって見ていた。


「あう~、こんがらがる~」

「あはは~、まぁ無理に理解できなくてもいいよ。そういうモノって思ってもらえれば。ちなみにリスクなんだけど、「使用後丸一日眠る」「使用後2日間の魔法使用不可」「使用時に大量の魔力の消費」というものをつけた。ぶっちゃけアレが効かなかったら逃げるしかないし、戦い続けるのはどの道不可能だからこういうリスクにしてみたんだ。それでも完全には成功しなかったけどね」

「あれで失敗なんですか!?」


ミリアとレナリンスは驚いた。ナイフはちゃんとフェンリルに刺さっていたからである。


「実は、狙ったのはフェンリルの脳だったんだよ。能力が足りなくてナイフは額で止まっちゃったからね、致命傷にならなかったでしょ?あれは失敗だよ」

「なるほど~、相手がぁ~防御できるかどうかも~関係ないんでしたね~」


ようやく全てを聞けてミリアとレナリンスは脱力する。今になって安心感が湧いてきたのであった。


「あはは~、僕も今日は魔法を使えないし、今日はこのまま休みにしよう。どうせ急いでもいないし、フェンリル戦の疲れをとらないとね」


クヨウは「今日の夕食は豪華にしようか」と3人を労う予定をたてるのであった。



一方討伐隊は、フェンリルの死体を確認後、周囲の捜索を行い安全を確認していた。

ハンター隊が森で瘴気が吹き出ている場所を発見し、封印した後各町へ安全宣言が出されるが、それは次の日になってのことだった。


今回は暴露話になりました。


それにしても、マッジーナ選手権大会で話のネタにしようと思うスポーツがなかなか決まりません。ネタに走りすぎのよくないとは思いますが、常道もつまらないでしょうし・・・嗚呼悩ましい。

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