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第14話「商業連合」

今回は推理(?)っぽくなっております。


多少の矛盾やこじつけはスルーしていただけるとありがたいです。

第14話「商業連合」


「商業連合ですか?」

「ええ、そうです。メリットが多いと思いますよ」


今道具屋リュミエールには1人の人間がやってきていた。しかし、行商人ではなく、買い物客でもなかった。『商業連合』といういくつかの店が共同で進めている、いわば同盟のようなものを進めるためであった。


「この連合はもう数多くのお店が参加しています。もっとも具体的な店名や数を教える訳にはいきませんがね。メリットは多くの店の情報を共有できるということです。この町以外で新商品が入った場合、情報がすぐに回ってきますし、共同で特許を取得して副次的な利益も受けられます。デメリットは、まぁ月に何回かある集会に参加してもらう等がありますが、集会に参加しないと情報の共有や共同での特許が取れないので仕方が無い内容しかないですね。参加の可否は信頼なので1度しか受付しませんのでご注意を。返事は明後日にまた来ますので、そのときにお願いします」


そういうと、その商人は店を出て行った。残ったクヨウは訝しげに悩んでいた。


「ん~、商業連合ね~・・・」


しばらくして、眠そうな顔でクヨウが店の奥から出てきた。


「クヨウさん、一体何の話だったんですか?あまり良いことじゃなさそうですけど」

「ああ、実はねぇ~」


クヨウは特に隠すことでもなかったので、ミリアとレナリンスに全部話した。すべてを聞いた後、ミリアは「胡散臭そうな話だなぁ~」と首をかしげていた。


「それで、店長さんはぁ~参加されるんですかぁ~?」


レナリンスは答えが容易に想像できていたが、一応聞いてみることにした。どの道ミリアが質問しそうなことであったからだ。


「ん~、参加しないよ。正直めんどくさいし・・・それに胡散臭いからね~。本当にそんな連合作ってどうしたいのかが疑問なところだよ」

「メリットがそれなりにあるんじゃないですか?」

「僕からしてみればデメリットしかないんだよ。本当のメリットは彼らの側にしかないね。どの道長続きはしないと思うけど・・・」


商業連合の商人が言っていたメリットで大きいのは、情報と特許の2つ。しかし、情報は商人ギルドと行商から得られるし、特許は自分でなんとかできる範囲である。というより既にかなりの特許料を得ているので、今更特許にこだわる必要もない。この連合でメリットが得られる人間というのはそれができない人間ということになる。つまり、参加する店の程度が知れているのだ。そう考えていくとメリットなどなく、詐欺に合いに行くようなものだった。


「あとは、すんなり向こうが受け入れてくれるかどうかかな~?まぁ、強制はしてこないと思うけどね」

「そ~ですね~。でも、何かと理由をつけてぇうるさそうですねぇ~」

「それなら、商人ギルドのほうに相談してみたらどうですか?」

「ん~、それがいいね。幸いにも明日は休業日だし、そうしよう」





次の日・・・・


「レンヤ~、今日も依頼を受けに行くかい?」

「ああ、そのつもりだったけど・・・何か用事か?」


朝から真面目な雰囲気だったので、レンヤも気持ちを引き締める。クヨウもそこまで大事にならないとは思ってはいたが、念には念を押すことにした。


「ちょっとね、一緒に来てもらいたいんだ、商人ギルドへ」

「珍しいな、まぁいいか。了解、行くときになったら教えてくれ」

「内容は道中で話すよ」


その後、準備をしてから2人は事情を話しながら商人ギルドへ向かった。


「ふ~ん、昨日そんな事があったのか」

「変なことがあっても嫌だからね、そのための確認ということだよ」

「それで、俺も来る必要があったのか?」

「レンヤは一応副店長ってことで登録してあるからね。搦め手で来られると流石にどうしようもないから」

「なるほどね、内情は良く分からんが決定権が俺にもあるってことか」

「そゆこと、レンヤも物分りが良くなってきたから助かるよ」

「酷いいいようだな。昔のクヨウの中の俺はどんなんだったんだ?」


クヨウはまともに答える気がなかったので、とりあえず笑って誤魔化しておいた。レンヤもそこまで気にしてはいなかったので、まぁいいかと流すことにした。


商人ギルドに到着し、受付を待っていると妙に他の店の店員や店長が多いことに気がついた。同じ相談をする人が多いのかと納得したが、どこか引っかかりを覚えた。その引っかかりが何か考えていたが答えが出ず、受付の順番が回ってきた。


「いらっしゃいませ、今日はどのような要件でしょうか?」

「端的に言うと、おそらく『他の人と同じ』ということなんですけど」

「では貴方も『勧誘を受けた』ということでよろしいですか?」


短い単語で、話のやり取りが進む。それは同じ内容の相談者が多いということでもあった。


「はい。僕としては答えは既に決まっているのでいいんですが。この事に関しては商人ギルドはどう動いているのですか?」

「基本的に商人ギルドとして、その商業連合に対する具体的な動きはありません。彼らは特にギルドの規定に違反している訳ではないですからね。ただし、情報の収集くらいの動きはあります。これはあくまで情報のみですけどね」


商人ギルドはあくまで登録の管理等を行っているだけであり、基本的なことさえ守っていれば特に動くことは無い。規定違反が確認された場合、罰則を決めたりするが、動くのはその国の警備隊である。そして彼らは嘘を言っているわけでもないので、今のところ動く理由がないのである。


「商業連合の情報が集まったら聞くことはできますか?」

「有料になりますが、それでもよろしいですか?」

「ん~そこは仕方が無いね、お願いします」

「わかりました。では、こちらの用紙に記入をお願いします。情報が集まり次第、通知するようにしますね」

「わかりました、よろしくお願いします」


クヨウとレンヤは用紙を書き終わるとギルドを出て行った。


「なぁクヨウ、昨日のことをもうちょっと詳しく話してもらえるか?どうにも引っかかるんだけど」

「レンヤも?僕もなんだかねぇ~・・・まぁ、店に戻ってから話そうか」


2人が店に戻ると人が2人ほど店の前で待っている人がいた。ミリアとレナリンスである。


「あれ?2人ともどうしたの?今日はお店は休みだよ」

「その顔をみると、用件は同じっぽいな。まぁ、みんなで話せばいいんじゃね?3人寄らばって文殊の知恵って言うしな」

「レンヤさんがまともな事を言っている!」

「レンヤさんはぁ~、今日は風邪気味ですかぁ~?」

「それはどういう意味かな~?2人とも~」


クヨウが店を開けると2人は逃げるように入っていった。レンヤも続いて入っていき、お茶の準備をしに奥に入っていった。クヨウが店のテーブルを中央に置き、椅子を用意した。

レンヤがお茶を持ってきたところで話が始まった。まず、クヨウが覚えている限り詳しく昨日の出来事を話した。


「大体こんな感じだったと思うよ~」

「なるほどねぇ~・・・」

「クヨウさ~ん、商人ギルドの様子はどうでしたぁ~?」

「ん~、色んな店の人がいたな~。あの様子だと7割の人は同じ用件だろうねぇ~」

「へぇ~・・・結構多いですね・・・」


みんな考え込んでいると、レナリンスがとあることに気付いた。


「むしろぉ~多すぎじゃないですかぁ~?」

「あ~、なるほどねぇ。あの違和感はそれかぁ~」


2人は納得という感じで首を縦に振っているが、残り2人は?マークを浮べていた。


「クヨウ、どういうことだ?」

「えっと、私も・・・わからないんですけど・・・」


考えても分からなかったので、納得している2人に話を聞くことにする。


「ああ、ごめんごめん。昨日の人は「すでに数多くの店が参加している」と言っていたんだけど、それにしては商人ギルドの相談者が多すぎるんじゃないかな?」

「つまり・・・実は参加している店は少ない・・ということですか?」

「というより、多分元々急な話なんだろうね。商人ギルドですらまだ情報を集めている最中なんだよ?情報が集まる場所でも、まだ情報が集まりきっていないということ」

「作ったばっかりっていうことか。でも、それだと1度きりっていうのがおかしくないか?そういう場合は、あとから徐々に増えていくものだろう?」


普通に考えて、こういう組織は信用・・・というよりは実績が大事である。いきなり出てきた怪しい組織には普通は入りたがらないが、もし実績があれば話が違ってくる。そこにお金が絡んでくれば尚更だ。しかし、いきなり実績を掲げて人数を増やすのは難しい。なので、実績をあげてあとから人数が増やしていくのが普通である。しかし、募集を1度きりにしてしまうと、後からは増えないので、前提が破綻してしまっている。


「たぶん~、そこまでぇ~参加するお店を無作為に増やす気がないんじゃないですかぁ~?」

「だとすると・・・この場合、参加するお店はほとんど、大したことないお店ばっかりになっちゃいますね」

「逆にそれが狙いだとしても・・・しょぼい店のしょぼい同盟ってことで落ち着くな。なんだか締まらないオチだな」

「え~と、ここからかな~り突飛な憶測になっちゃいますけどぉ~いいですかぁ~?」

「ん~、いいよ。2人もあくまで推測だってことで聞いてね?」


レナリンスの推測をクヨウはある程度予想できた。レンヤとミリアはまた?マークを浮べている。


「ミリアちゃんとぉ~レンヤさんのぉ~推測が合っているのかもしれませんねぇ~」

「え?どういうこと?」


ミリアとレンヤは参加する店を、逆に売り上げの少ない店に絞っていると仮定したのだ。つまり、売り上げが少ないということは店としては金に苦心している。それこそ同盟に参加したということは藁をも掴むつもりの店もあるかもしれない。そこに例えば違法薬物などを流せば、あっという間に流通ルートの出来上がりである。レナリンスはそう考えたのである。しかも、1度しかチャンスがなく考える時間も1日2日程度である。切羽詰っている人間にとってはかなり短い時間であった。


「あくまでぇ~、何の証拠も無い憶測ですけどねぇ~」


あはは~と笑うレナリンスだったが、あながち間違っていると否定できない怖さがあったので、ミリアの顔はひきつっていた。


「ん~、それにしては動きが大規模だなぁ~。そういうのは普通、こっそりやるものだと思うんだけど・・」

「そうですねぇ~、実は黒幕はどこかの国だったりして?まぁそんなことないですよね~」

「そこまでいくと収拾がつかないかなぁ。まぁ、元々情報は少ないし、この辺にしておこうか。折角の休日をこんなことに使いつぶしたくもないし」


「はい終了~」といった感じでクヨウが店の奥へ昼食を作りにいった。すでに時間は2時近かった。




そして次の日・・・


「という訳で、お断りさせていただきますね」

「そうですかぁ、いい話ではあったと思うんですが残念です。2度誘えないので、仕方がありませんね」


クヨウは商業連合の話を断った。元々断るつもりだった上に、昨日の話もあったからだ。今後、商業連合加盟の話は一切来なかったが、悪いうわさは届くのであった。



こういうのりは案外好きですね、ついつい調子にのってしまいました。


もうちょっとギャグっぽいのを増やしたいんですが、なにぶんネタがないんです><。。


もうちょっとがんばろうと思います。

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