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第13話「マッジーナ選手権大会」

伏線?何それ?カレーとどっちが美味しいかな?

第13話「マッジーナ選手権大会」


ブルーシードの騒ぎからしばらく、道具屋リュミエールは忙しくはあったが、基本平和であった。忙しい理由も、道具が売れ行きがあがる程度のことであるので別段問題も無い。変わった事といえば、従業員2人の要望で働く日数が増えたことと、レナリンスが道具の作成を手伝うようになったくらいである。平和である、至って平和である。例えブルーシードが見つからなくても、世界のどこかで蠢く裏の組織が動こうとも、全く関係はなかった。


「ん~、今日もいい天気だね~。のんびりお昼寝でもしたくなるね」

「あ~、いいですねぇ~。どこかの芝生の上でぇ~、みんなでのぉ~んびりしたいですねぇ~」

「店長、リンスちゃんものんびりしすぎですよ」


ミリアは呆れていた。それと同時に多少なりとも安心していた。数日前のブルーシード騒動で、自分の環境が激変してしまうのではないか?という不安があったからだ。しかし、今目の前に2人をみているとそんなことは杞憂だと笑ってしまえる。そして、ふと気がつく。「今の自分は思っている以上にここが気に入っている」のだと。そんな気持ちを感じながら、微笑ましく目の前の2人を眺めていた。


いつもと違ったのは、その日の昼過ぎのことであった。


「こんにちは~、クヨウさん・・・じゃなくて店長さんいらっしゃいますか?」


そういって現れたのはカリイ・マルゼフであった。


「あ、カレーさんこんにちは」

「クヨウさんは相変わらずですねぇ・・・」

「まぁ、いいじゃないですか~。ところで、今日はどうしたんですか?新商品なら特にないですよ」

「いえ、今日はその用事ではないですよ。実はですね~」


今回のカリィの用事とは『マッジーナ選手権大会』の宣伝とチラシ配りであった。『マッジーナ選手権大会』とは早い話オリンピックのようなものである。同じところもあるが、当然違うところがある。選手の登録や管理はギルドと商人ギルドが合同で行う。開催地は毎回大陸中央付近にある『ガチンコ連合国』であること。登録は個人単位から国家単位で登録が可能である。ただし、本選枠には限りがあるので、そこは各ギルド毎に予選を設けて、人数をある程度しぼる必要がある。しかし、参加人数が少なければ予選なしで本選に行くこともあるので、手軽に参加できる大きい大会という面がある。競技内容は各国家間で提案されて、最終的にガチンコ連合国とギルドの大会管理者が決める。実際の競技は戦闘物からスポーツまで幅広くある。それこそ、『武器・魔法有りでの武術大会』から『武器・魔法無しでのマラソン大会』まである。野良試合もあるので、飛び入り参加もやろうと思えばできる。当然各種目にはルールがあり、種族を超えた大会であるので、大陸中がお祭り騒ぎになる。


「ん~、いつ聞いても思うんですけどね。もうちょっと名前はどうにかならないんですか?」


クヨウは『マッジーナ選手権大会』というが名前がお気に召さなかったようだ。


「アハハ・・・そこは・・・まぁ、気にしないでください。一応由来はありますからね」


名前の大本になった人物がいる。『マッジーナ・ガチンコ』というちょっと可哀相な名前だが、実は『ガチンコ連合国の創設者のリーダー』であり、当然連合国の名前の由来の人物でもある。この大会も元々この人物が考え出したものである。ただ、大会の理念は少し変わっている。

『人が人である限り闘争はなくなることは無い。しかし、それは平和を否定するものではない。何故なら闘争と平和の共存できるからである。その形がスポーツである。ならばスポーツで己の闘争を満足させよ。それが平和へつながる道であるから』

という青臭い理想論もいいところな内容であった。が、このマッジーナ・ガチンコという人物とその周囲の人間の行動力が凄まじかったらしく、わずか数年で実現してしまったのである。しかも、このスポーツ大会を開いたことにより、国家間の小競り合いが減少していったのであった。

ちなみに。ガチンコ連合国とは当初は小国のただの集まりであった。しかし『マッジーナ・ガチンコ』が小国をすべて纏め上げ、議会を頂点として、政治を行っている。商業の中心としても栄えている。武術やスポーツに力を注いでおり、一説には軍隊として纏まれば世界最強ではないか?とまで言われている。また『マッジーナ・ガチンコ』が筋肉質で体を鍛えることに余念がなかったらしく、それに習い国全体で男女問わず、体を鍛える人・・・というより筋肉質な人間が多い。


「ギャグもそこまでいくと、尊敬に値するね」

「ははは・・・それで、ですね。競技の種目一覧と宣伝チラシをお渡しするので、お客さんに配ってもらえますか?」

「はい、わかりました。開催は・・・約半年後ですか。見物に行ってみるのもいいかもしれないなぁ~」


他の店にも配るため、少々話した後でカリイは次の店へ向かっていった。


「マッジーナ選手権大会か~、レンヤさんなら何かに出れるんじゃないですか?」


今現在のレンヤの身体能力は既に人間を大きく超えていた。竜人族にせまる勢いである。競技次第では、世界を狙えると言っても過言ではない。

本人のやる気があれば・・・だが。


「ん~、レンヤが出るとすれば当然技術勝負の競技で出るだろうなぁ。竜人族を真っ向勝負で倒したいとか言ってたし」


世界の管理人よりもらった能力「竜人の2~3倍の身体能力」があるので、いずれは身体能力で勝つことができる。レンヤにとってはそんな勝ち方はつまらないらしく、燃えないとのことであった。


「店長さんの言い方だとぉ~、身体能力だとレンヤさんがぁ~勝つのは確定~してるみたいですねぇ~」

「あ~、いや・・・・あいつはただ総合的な勝負で勝ちたいだけなんだろう・・・と思うよ」


能力のことを話すわけにもいかないので、クヨウの説明はしどろもどろになるが、レナリンスは特に気にしていなかった


「見に行くにしても、短くても旅行レベルですよねぇ。じゃあ、その間はお店はお休みですね」

「ん~、どうせなら皆で行こうよ、そのほうが楽しいからさ」

「え?みんなで、ですか?」

「まぁ、移動費とか宿泊費はかかるから、強制はできないけど、お店で補助くらいは出しても良いですよ」


ミリアとレナリンスは驚く、他の店ならただの従業員に対してそこまでしないからである。ミリアはクヨウに申し訳ないような気がして断ろうと思ったが、レナリンスが即座に賛成してしまい、ミリアにも誘ってきたので、断りきれない雰囲気になってしまった。そして結局レナリンスに押し切られたミリアであった。


「そ~いえばぁ~、さっき店長さんが言ってたぁ「カレー」ってなんですか??」

「あ、私もそれは気になった。さっきの人の名前じゃないですよね?」

「カレーはね、僕の故郷の食べ物だよ。見慣れてない人にとっては見た目が悪いかもしれないけど、なかなか美味しいよ」

「どうしてさっきの人の呼び名になるんですか??」

「ん~、カリイ・マルゼフさんよりカレー・マゼルフさんのほうが覚えやすかったから」

「カレー混ぜるですか・・・・店長さんらしいですね」


その後、レナリンスがカレーを食べたいというリクエストが発生し、クヨウがカレーを作って振舞うことになったのは別の話。ついでに、カレー粉を作ってレシピと共に販売したところ、いち早く目をつけた有名料理店のシェフがクヨウに頭を下げて、作り方を教わったりしたこともあった。




ブルーシードは現在のクヨウには全く関係ありません。今後絡むかどうかは分かりませんけどね。


あくまで道具屋ですから、道具屋なんです。

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