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第四章 日映大学の映研カレー蕎麦 2



     2



〇相川あきらインタビュー「思い出ですか。みんなでラーメン二郎食べたことです」

・最初に台本や画コンテを読んで・観てどうおもわれましたか?

「特に何も思いませんでした」

・なんかあるだろう、確か仮面ライダーみたいじゃない、とか言っていたじゃん。

「仮面ライダーでなくとも、いいんです。何か取っ掛かりが欲しかったんです」

・その取っ掛かりって見つかったの?

「はい、というか室井くんが提案してくれたヌードと絡みですよ」

・あれ!?やっぱりイヤだった?

「いえ、別になんとも思っていません」

・おれは思想とか宗教の代わりだと思っていたんだ。

「そのベクトルで正しいと思います」

・何か引っかかるな。コレ、あとで推敲する時に直せるから、話してみてくれないか?

「ああいうことをしてみたくなるんですよ。普通、思想や宗教は最初、高い理想や平等な組織づくりがあって、巨大化して・陳腐化して腐敗が始まる。そして『こんなハズじゃなかった』となる。でもこの作品の主人公二人は結果が先にあるんです。リュウセイはこんな社会嫌いで嫌いでたまらない、友達もいなし、家族にも死んで欲しい。ハッコウはAIのおもりで矢面に立たされ、世間から人非人扱い。で、幼馴染だから再会した時に既に気風は知っていた。そしてあの世界ではお互い有名人だから現状と境遇も知っていた。だからあとはなにかきっかけがあれば、ああいう世界を壊すようなことをヤれる、というか世界を壊すための因果が必要だったんです。だからぼくの中ではあの二人はアナルセックスはしていません」

・いや、むしろ儀式とか契約ならば、一線を越えるためにするだろう。

「そんなファンタジー漫画じゃないから、なんかしとけばよかっただけです。一線を越えるのが重要なのはむしろ普通に結婚する異性愛者か普通に内縁関係を結ぶ同性愛者です」

・そんなにタイトな関係だったか?

「だって、二人とも実はそんなことやりたくないんですよ、これは世界を壊すことも、ペッティングもです。でも、酉野さんはさすがでした。挿入されていないように撮影していたので、判っているんだなと理解しました」

・エッ!?じゃあ、リュウエイとハッコウはなんのために?エッ!?

「決まっているじゃないですか。そういう役を振られたからです」

・そりゃ、相川はそうだろうけどさ。

「いえ、ニンゲンは生きている限り、何かの役目を振られるんです。だからこの映画を観て、どんなふうに観てもいいんですよ。儀式だろうが、世間への抵抗だろうが。役を降りても・役を続けても大して変わらない、だからこういうふうに演じました」

・そうか・・・、じゃあ、あまり楽しくなかったか?

「いえ、みんなと一緒にいれて楽しかったです」

・なんか楽しかった思い出とかあるか?

「思い出ですか。みんなでラーメン二郎食べたことです」


〇スタッフ鼎談 酉野菜乃・安芽里亜・河都野笛「次はもっと映画の記憶を埋め込むように」

河都「最後のナレーションって、なんで私になったの?」

安「単純にああいう内容の文言だから、少しでも大人の声の方がいいと菜乃と相談しました」

酉野「あれも全てのネットワークが機能云々も最後まで悩みましたけどね。そういう解釈もできる!のいっぱいのうちの一つにしようかと思っていたんです」

河都「単純にフロッピーディスク一枚で世界全部のアレは壊れないだろうと」

酉野「それは理屈あるんですよ。コガと同調者は最初からああいうトロイの木馬を仕掛けておいたってことなんです。ただやる覚悟が誰にもなかったからという話なんです」

安「最初の脚本だとコガ博士一党がゴーストバンク集合体に対立していて、そこに第三勢力として、リュウセイ・ハッコウが絡むという感じで。でも1時間超えそうなんで絞ったんです」

河都「なんかあったような。画コンテにしてみて時間が流れた、と」

安「そうですね。小説に近いジャンルである脚本単体だと素人だし時間が図り辛い、でも画コンテだとムダがよく判った」

酉野「芽里亜が八回は脚本直して、私は三回は画コンテ直しましたよ」

河都「で、撮影ということになり、冒頭のシーンを追加するじゃない。私はハブられた(笑)」

安「ノブ先輩には申し訳ないとは思いますが、あの時の速度は私も熱に浮かされたようで、あのスピードを維持しないと私も菜乃もできなかったんですよ」

河都「それは正解かも。私、ちゃんと話し合うけど、多分反対はしたわ」

酉野「これは言い訳ではないですが、ちょっと浮世離れしたアレゴリーから、ノブさんによるCG制作で空一面のドローン出したり、バルスキーとかのスレイブはどうする?着ぐるみにする?って話して、それをやっすい古着のツーピース上下を三着買って、演者にはアルミホイルを顔・頭に巻いてもらって、そこに水性ペンキで黄色・銀色・緑色に塗るって処理した時に、こんどはちょっと学生映画にあるパロディ特撮にベクトルが向いたと気づいたんです。そこで難解アレゴリー、パロディ特撮、そして男性同士の濡れ場とくれば、芽里亜と私の世界になるなと思いました。この三つどれが欠けてもああいうふうにはならなかった」

河都「なるほど、ミステリと違ってSFはどうも性愛と食い合わせが悪い。SF世界の中に性愛を出すとディストピアの飾りにしかならないが、冒頭に持ってきて、SF的世界観と仕掛けに拮抗させたってことか」

安「性愛の使い方はよしながふみさんの『大奥』に近いかな」

河都「まとめでひと言づつお願いします」

酉野「彩さんたちと話したりするとホント、私は映画観てないなと思います。特に邦画の古いやつ。だから次はもっと映画の記憶を埋め込むようにします」

安「私はトリオ・ザ・トリノの皆さまに感謝しております。映画は総合芸術であること、特に音楽の付き方は学ばせてもらいました」

河都「うん、あの兄弟は音もいいし、顔も性格もいい(笑)」

酉野「気のせいじゃないですか(笑)」


〇彩翔「どんな川も海に続いている」

よく知るひとを評する、いや、それどころか、自分の出ている映画の短評なんて、断ればよかった!

あのコガ博士というのがそれで実は60代とか説明は聞いていましたよ。

その撮影以前にも内容や衣装で相談受けたり、ガヤとして出演したり、出演と云えば、60代はまだ先とは云え、この映像研で何度も出演してきたんで、まぁ、新入部員に塩で送るかという気分で参加したら、まぁ、タイヘン。

まず酉野監督自ら動かすカメラが素人にありがちなしょっちゅう移動もさせないし、もう撮る画を最初から見据えた気迫があった。

そして主演の相川あきら。

私はこれでも台詞のある役をサブスク映画でやったことあるが、プロの俳優でもそんなに出せないオーラーを感じた、しかもカメラが回った瞬間に醸し出したのだ!

そんな内部の話を書き綴るのは、その気迫とオーラー、今観ていただいたあなたには判るでしょう?

物語も設定も実に素晴らしいが、このカメラワークと編集の妙、相川あきらの演技がスゲェんだ。

(室井くん、ゴメン、きみとは絡みなかったから!)

世界を壊すといいながら、未だ人類の大半は生きているのである。

2人は川に出たのである。

川とは大海原に繋がるのだ、一つ残らず。

それはこのナノメリア諸氏の今後も暗示しているようではないか!

団地で吊られたバルスキーの中のひとは実は私なんですが、これはなんの暗示かよ!

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