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start  作者: 遠藤 敦子
3/5

3

 映画を見終わった後、私と林くんはカフェに移動して感想を語り合う。俳優の坂口将暉(さかぐちまさき)が主人公役にピッタリだったとか、ヒロイン役の有村結衣(ありむらゆい)ちゃんの演技が上手だったとか、オチが感動的だったとか、そんな話ばかりしていた。林くんはアイスコーヒー、私はアイスミルクティーを飲んでいたけれど、林くんに

「塩川さんの飲み物、氷溶けてない?」

 と言われてしまうほど私がメインで話していたかと思う。好きなことの話になるとつい熱く語ってしまうのが私の悪い癖だ。林くんといると女友達といる時と同じくらい気を遣わなくて良いので楽だった。林くんが私の彼氏だったら毎日楽しいだろうな、なんて考えてしまうくらいに。


 カフェでお会計を済ませ、私たちは外に出る。私は自分の分は自分で払うと申し出たけれど、林くんは

「俺が誘ったし、ここは俺に奢らせて」

 とのことだった。それなら次カフェに行った時は私が奢るね、と返す。

 それから川沿いを2人で歩いた。人が少ないけれど景色が綺麗な場所が見つかり、ここで休憩しようと林くんに提案される。最初は雑談していたけれど、林くんの表情が真剣な様子に変わった。

「初めて会った時から塩川さんが好きでした。俺の彼女になってください」

 林くんから告白を受ける。林くんが私の彼氏だったらと考えることが多かったので、私は素直に嬉しかった。

「私で良ければ、よろしくお願いします」

 と返事をし、林くんは私の彼氏となる。呼び方も林くんから伶介に変えた。伶介も私を塩川さんという呼び方から紗英という呼び方に変えてくれる。


 付き合い始めてから、私と伶介はたくさんの思い出を作った。大学生でお金もなくアルバイトをしていたので、お高いレストランやテーマパークに頻繁に行くことは難しかった。しかし会う時間はたくさんあったので、時間を作ってたくさん会うように努めている。もちろんお互いの授業やアルバイトに支障が出てはいけないので、授業やアルバイトの時はそちらを優先させていた。

 付き合い始めてから半年が経ち、伶介から私の地元である姫路に行ってみたいと言われる。家族に伶介の話をしたらぜひ連れてきてほしいとのことだったので、帰省がてら私たちは姫路に来ていた。伶介を実家に連れて行くと、両親も妹も伶介のことを気に入っている様子だ。母が

「伶介くん、紗英のことよろしくね」

 と言っており、父は

「20歳になったら紗英も一緒に飲みに行こうな」

 なんて言っていた。

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