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クローゼットに閉じ込められたら異世界に転移してました  作者: まはろ
【第一章】クライヴとの出会い
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市場への道中

ザシュッ


ドンッ


クライヴが剣を振るうと同時に、魔物が倒れる音が鳴り響く。

家を出てから、もう何体目だろうか。

クライヴがいなければ、とっくにやられていただろう。


「それにしても、本当に強いですね」


そう。

クライヴはめちゃくちゃ強いのだ。


出会った魔物がどの程度強いのかは知らないが、どんな魔物と遭遇しても数秒で倒す姿は圧巻だった。


倒した魔物によってはその場で皮を剥ぎ、血抜きをし、解体する。

おそらく食料にするのだろうが、その手捌きも鮮やかだ。


「魔物のおかげで、この森には人が滅多に来ない。住みやすくて助かっている」

「ははは……」


もはや、言っている意味がわからない。


「今日はここに泊まることにしよう」

「え?まだ明るいですよ?」


時計がないので分からないが、太陽の位置的に3、4時くらいだろうか。

泊まる場所を決めるには早すぎるように思えた。


「私の体力を気遣う必要はないですよ。意外と疲れてません!」


本当は少し疲れていたが、足手まといになりたくなくて虚勢を張ってしまった。


「こういう場所で嘘をつくと命取りになるぞ」

「すみません。。」

「暗くなってから泊まる場所を決めるのは危険なんだ。1人で行動する時も、このくらいの時間には野宿の準備をする」


お前のせいではない、とフォローを入れつつ、クライヴは荷物を下ろし、木の枝を集めだした。

私も手伝おうと立ち上がろうとした瞬間、ガサッという音が聞こえた気がして振り返る。


しかし、何もない。

気のせいだろうか?


念の為、ここを離れてクライヴの方へ向かおうとした時だった。


グガァアァァ!


「逃げろ!」


魔物の咆哮が聞こえると同時に、クライヴがこちらへ走ってくるのが見えた。

振り返る暇は無い。とにかくクライヴの方へ向かって走ろうとするが、恐怖から上手く足が動かなかった。


おそらくこのまま走っても追いつかれるだろう。

少しよろけながら周りを見ると、何かがキラッと光った気がした。


光った方向を見ると、前方右側すぐ近くに、根元の方から二股に別れた大木があるのが見えた。


“こっちだよ”


声が聞こえた気がした。

咄嗟に、その木の方へと向かい、二つに別れた幹の間をくぐった……と思ったら、景色が変わった。

目の前に、後ろ向きのクライヴとそれに対峙する魔物が見える。


ザシュッ


数秒後に魔物はクライヴによって真っ二つにされた。

あのままだったら、二つになっていたのは私だっただろう。


クライヴが振り返り、私を凝視する。


「ははっ……妖精のイタズラ、か」


“クローゼットや鏡、森の木々の間などは別の世界と繋がっていて、ふとした瞬間に吸い込まれてしまうことがある”


ーー私は、以前クライヴから受けた説明を思い出していた……

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