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密会

私以外の人達は皆、協力をお願いしてみるくらい良いじゃないか、という目で私を見ている。


まるで、嫌がっている私が人でなしみたいだ。

実際、話を聞いても協力したいという気持ちにならなかった私は薄情者なのかもしれない。


「気持ちはわかります。でも、私にどうにかできる問題では無いですし......」

「そうだよね。難しいよね。お姉さんを困らせたいわけじゃないんだけど、大切な人が危険な状態だから焦っちゃった。ごめんね。とりあえず、今日はこれでお開きにしよう。もし良かったら、今日の話しを妖精さん達に伝えてもらえると嬉しいな!」


無理に話しを引き伸ばさず、伝えたいことだけ伝えて終わりにする所もうまい。

今日はそのまま解散となった。


もう時間も遅かったので夕飯を食べて、寝る準備をする。

今日一日で色々なことがありすぎて、夜に食べたご飯の味はよくわからなかった。


今日の話はモイラもアンジュも聞いていたはず。

何かあれば向こうから声をかけてくるだろうと、私からは何も言わないことにした。

まぁ、疲れていて、私から声をかける気持ちにならなかったという方が正しいかもしれないが。


「お姉さん、今、少しいいかな?」


寝ようとした時に、扉の外から声が聞こえた。

ブレンの声だ。

正直、無視をして寝てしまいたいという気持ちが強かったが、我慢をして扉を開ける。


「こんな時間にどうしたの?」

「妖精について、もうちょっとだけ話せないかなと思って」


ブレンは私の部屋の中に入り、ソファに腰掛けた。

有無を言わさぬ雰囲気を感じる。


「明日でもいいかな?今日は疲れちゃったから寝たくて」

「アルとクライヴがいたら、話しにくいこともあるかと思って来たんだけどな。何で僕が妖精の魔法について知っているか、知りたいんじゃない?教えてあげるよ?」


突然の申し出に眠気が吹っ飛んだ。

ブレンが妖精の魔法について知っている理由は、ミラベルに調べて欲しいとお願いされたことの1つだ。


「教えたら協力して、なんて無茶は言わないから安心して。迷惑かけちゃっているお礼として、教えてあげようと思って来たんだ。これは国家機密だから、アルとクライヴには秘密にするって約束してもらう必要があるけど、どうかな?」


なんのリスクもなく教えてもらえるなら、ぜひ教えてもらいたい。

でも、何も無いわけが無いのだ。

この話に乗るのは危険だ、と本能が告げている。


「このまま、こちらを見ずに聞いてください。今、マナさんにだけ聞こえるように話しています」


モイラの声がした。

ブレンが声に気がついている様子は無い。

このまま、どうするか悩んでいる風を装って、モイラの声を聞くことにする。


「とりあえず、この男の話に乗ってもらってもいいでしょうか?マナさんに危険が及ぶようでしたら、魔法を使ってでもお助けします」


モイラは話に乗ってほしいようだ。

だが、それで本当に大丈夫だろうか?

これまで、ブレンを出し抜けたことは1度もない。

なんなら、ずっと手のひらの上で転がされている。


「ブレン、本当にタダで教えてくれるの?教える代わりに何かを要求してきたりしない?」

「僕、そんなに信用ないかなぁ。大丈夫。嘘はつかない。秘密を教えて、僕から何かを要求することは絶対にしないよ」


危ないことはわかっている。

でも、虎穴にはいらずんば虎児を得ず、だ。

私はブレンの申し出を受けることにした。

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