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会食

「私、凄い緊張しています」

「俺もだ」


会食の会場へ向かう途中、私とクライヴは緊張で固くなっていた。


「なんでそんなに緊張するんだ?たかが会食だろ?」


一方、アラステア皇太子は平然としている。

こうみえても一国の王子だ。

会食なんて慣れているのだろう。


アラステア皇太子の胸にはブレンとお揃いのブローチが付けてあった。

ブレンのブローチも持ってきているらしい。

アラステア皇太子は「一種の願掛けだ」と笑いながら言っていた。


会場に着くと、長いテーブルに豪華な食事が並んでいた。

既にエリノア王国の人々が待っており、挨拶のためにこちらへ近づいてくる。


「はじめまして!お会いできて光栄です。私は手紙でやり取りさせていただいておりました、アラステアと申します。こちらはクライヴとマナです」

「はじめまして、クライヴです。お会いできて光栄です」

「マナです。よろしくお願いいたします」


いつもとは全く違う、外交用の笑顔を振りまいているアラステア皇太子を見て、流石だと思った。

我々の挨拶に握手で応じながら、エリノア王国の人々も挨拶をしてくれる。

今いるのはエドワード皇太子、エマ皇女、魔法協会の副会長のエドガーさんらしい。

魔法協会の会長は仕事が長引いているらしく、後から合流する。


「さぁ、料理が冷めてしまう前に食べ始めましょう!皆様のお口に合うといいのですが」


エマ皇女が微笑みながら、全員をテーブルへと誘導する。

金髪に青い瞳が美しい、可愛らしい人だ。


席に着き、簡単に乾杯をしてから食べ始める。

どの料理もとても美味しかった。


「魔法に興味がおありなんですよね?手紙を貰った時、今どき珍しいなと驚きました」

「確かに近年、魔法が使われることはほとんどありません。でも、学べば学ぶほど奥深く、寿命の問題さえ解決すれば、これほど便利なものはないと感じています」


早速、クライヴが本領発揮している。

目を輝かせて話すクライヴに、エドガーさんが嬉しそうに返答している。

すでに二人だけの世界が出来上がっているようだった。


「いやー!魔法の素晴らしさを分かってもらえて嬉しいです。明日、ぜひ我々の研究所に見学に来てください。色々お見せしましょう!」


二人が盛り上がってくれて大助かりだ。

私とアラステア皇太子は適度に相槌を打ちながら食事を楽しんだ。


食事が終わり、デザートを待っている時に、慌ただしい足音が聞こえてきた。

魔法協会の会長が来たのだろうか?

全員の意識が扉の方へと向く。


「遅れてすみません。仕事が長引いてしまいまして。あぁ!会えるのを楽しみにしていたよ、アル!お姉さんまで来てくれたんだ。嬉しいなぁ!」


そこに居たのは、ブレンだったーー

エリノア王国の人は名前がエから始まります(覚えやすいように)

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