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ーイントロダクション(前編)ー

新作です。

特撮色全開、趣味全開の内容になっています。

イントロダクションって事で、まずは雰囲気を楽しんで頂ければと思っています。

詳細は本編で徐々に、って事で。

よろしくお願い致します。

○●○●○


 とある高校の午後、5時限目の授業が始まって20分ほど過ぎた頃、


 ブブブ、ブブブ、ブブブ


 腕時計が振動を始めた。

 モニターになっている文字盤には一文字”現”と表示されている。

 その文字を目にした(みやび)なごみ は、


「はうぅぅぅ、ですの。」


 大きなため息を漏らしながら、時計の振動を止めると、


「ほらほら、お仕事だぜ。」


 隣の席の華莉(はなり)ゆとり が声を掛けてきた。

 名前とは真逆のボーイッシュな少女に、


「ぶうぅ、いやですのぉ。

 午後のまどろみを楽しむんですのぉ。」


 なごみ が不満度マックスの声で返す。


「がんばった()には、ご褒美に”大好物(アレ)”の大袋を進呈しようじゃないか。」


 ゆとり がニヤリと悪い笑顔で提案した。


 ぴくっ


 その言葉に なごみ の耳が反応した。


「ぬふぅ、そ、それなら、しょうがないですの。」


 にやける顔を隠すようにポケットから出したハンカチにブルーライトを忍ばせ、口に当てた。

 ブルーライトの光で なごみ の顔が青ざめて見える。

 準備が出来たのを確認し、


「せんせー!」


 ゆとり が手を上げ、教師に声を掛けた。


「ゆとり君、どうしました?」


 教師の問い掛けに、


「なごみさんが体調不良なので、保健室に行きたいのですが。」


 ゆとり が返すと、教師が なごみ に目を向け、様子を確認し、


「顔色が悪いですね、行って下さい。」


 了承の返事を返してきた。


「なごみさん、行きましょう。」


 ゆとり が(うなが)して なごみ を立たせ、教室から出ていった。

 ゆとり が なごみ を支えるように寄り添い、ゆっくり廊下を進んでいき、角を曲がる。


「ふぅ、いつもながら大変だな。」

「むぬぅ、だいたい、いっつも授業中なのはなぜですの?

 せめて放課後にしてほしいですの。」


 不満たらたらな表情でボヤく なごみ に、


「ほら、急ぐで。」


 声を掛け、ゆとり が階段を駆け下りる。

 のを、


「はうぅ、しょうがないですの。

 好物(あれ)のために頑張るですの。」


 ぐっ、と小さくガッツポーズをし、ゆとり を追って階段を駆け下りていった。


○●○●○


 ガラガラ


 保健室のドアを開け、


「来たぜー!」


 ゆとり が声を掛けると、


「2人とも、ご苦労さまね。」


 部屋の中に居た保健医の灯流音(ひるね)シエスタの声が聞こえた。

 保健室に入った なごみ と ゆとり に、


「今回の妖怪獣は”べろりんちょ”と名乗っているわ、ベースは”あかなめ”のようね。」


 シエスタが説明した。


「えとぉ、あかなめ、ですの?」

「たしか、風呂とかの(あか)()め取る妖怪、やっけ?」

「ええ、そうね。

 でも、今暴れてるのは”()める”が特化してますね。」


 そんな2人の話を聞いていた なごみ が、


「うえぇ、舐めてくるんですの!?」


 ものすごく嫌そうな声を漏らした。


「はいはい、嫌な顔しないで出動してね。」


 シエスタに(うなが)され、


「うりゅ、はい、ですの。。」


 なごみ が渋々返事し、


「ほら、行くで。」


 ゆとり と一緒に部屋の奥の薬品棚の前に移動した。

 タイミングを合わせて、シエスタが机の引き出しを開き、中にあるボタンを押した。


 スーッ


 右側の薬品棚が横に動き、棚の間に1人が通れるくらいの隙間が現れた。

 そこから奥へ、なごみ、ゆとり の順で入って行くと、隙間が閉じた。


 2人を見送ったシエスタは机の上のタブレットの画面を切り替えた。

 そこには妖怪獣べろりんちょが暴れている街の様子が映っていた。


○●○●○


 なごみ と ゆとり が部屋に入ると入口が閉じ、電気が点灯した。

 部屋には机とイスが1セット、机の上にはパソコンと2つのモニターが置かれている。

 パソコンの電源を入れ、イスに座った ゆとり が、


「ケガせんようにな。」


 なごみ に声を掛けた。


「はうぅ、いってくるですの。」


 いまだ嫌そうな表情をしている なごみ に、


「しゃーないな、ソフトも付けたるからやる気だし。」


 ゆとり が声を掛けた。


 きらん


 なごみ の目が輝いた。


「ひあぁ、ほんと、ですの?」

本当(まじ)。」

「うはぁ、やる気爆上がりですの。

 いってくるですの。」


 やる気オーラを(みなぎ)らせた なごみ が壁に近付いていった。

 壁に()え付けられた手すりを(つか)むと、


 とん


 床を蹴って軽く跳ね上がり、手すり下の壁を蹴った。

 その部分が四角く開き、なごみ が足から滑り込んでいった。

 筒型すべり台(シューター)を、


 シュルルルルル


 と滑って地下へ。


 ぼふん


 出口のところに設置されていたクッションにお尻で着地。

 して、横に駐車されている一人乗りバギーのシートに座り、バイクのような形のハンドルを握り、


「起きるですの。」


 声を掛けた。


「休眠状態、解除しました。」


 バギーからの返事に、


「現場、分かっているですの?」


 なごみ が問い掛けた。


「情報、把握しています。

 出動、可能です。」


 答えたバギーがヘッドライトを点けた。

 その光が灯す先に青い矢印が見える。


「では、出動ですの!」


 そう言って、バギーのスロットルを回してエンジンの出力を上げ、矢印が示す方に進んで行った。


○●○●○


「べ〜ろりんちょ〜。」


 とか言いながら、妖怪獣べろりんちょ が逃げ惑う人たちから、


 べろ〜ん


 (あか)()め取っていく。

 垢を舐め取られた人は体がスッキリつるつるになって、摩擦がなくなっている。

 衣服が滑り落ち、立っている事も出来ず、全裸で滑り、(まわ)っている。


 舐め取られた垢は、べろりんちょの能力で人っぽい形になって、垢が取られてない人々を襲っている。

 その時、どこからともなく調子外れの笛の()が聞こえてきた。

 音が気になり、出どころを探す べろりんちょ と垢人形たち。


「そこだべろ〜!」


 音の出どころに気付いた べろりんちょ の舌が、空にむかって伸びていった。

長くなったので、3部に分割しました。

前編はここまでです。

中、後編も公開したいます。

是非、続けて読んで下さい。

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