2 異世界生活
光が収まるとそこは森の中にあるちょっとした道のようだった。
「ここは…」
今度はしっかり声を発せられた。
手を見るが、ぼやけていることもなければ白く光っていることもなかった。
(なるほど、前世の姿のままなのか?)
気にはなったが鏡などがあるとは思えないため確認のしようもなかった。
ここにずっといても何もないだろうなと考え、とりあえずこの道に沿って進んでみるかと思い歩き始めた。
それからおそらく二時間ぐらいは歩いただろうというとき遠くに城壁らしきものが見え始めてきた。
(あそこは…多分情報を集めるにはちょうどよさそうだな)
城壁まで近づき甲冑を着た門番らしき人がいたのでこの城壁の中に入りたいので話をしに行った。
「この中に入りたいから入れてくれないか?」
「あんた珍しい格好してるな。ここら辺出身じゃなさそうだな。ここに何をしに来たんだ?」
(確かに異世界ならこの服装は浮くのかもな)
「俺はクレノアっていう神にこの世界に連れてこられたんだ。だからこの世界について知りたいんだ。」
「お前、頭おかしいんじゃないか?クレノア様って言ったらこの世界を作ったエルワール五神のうちの一柱じゃねえか。」
「あぁ、たしかにそんなこと言ってたな」
「そんなこと言ってたじゃねえよ。それ下手な人に言ったらそのまま処罰の対象になるぐれぇのことだぞ。まぁ俺だからいいけどよぉ。とにかくここに入りたいんだってな。待っとけ」
(なるほどな、この世界にも神への信仰を大切にしてる人たちがいるんだな。気を付けないとな。)
前の世界にも神への信仰を大切にしている人たちは一定数いたしこの世界でも似たような感じなのか?
それから十分ほど待っていると、さっきの男のほかに金色に輝く長く美しい髪をなびかせながら歩いてくる美しい女性とその後ろに真面目そうな男二人を連れてやってきた。
(見た感じさっきの門番の上司みたいな風格だけど)
すると先頭に立っていた女性が口を開いた。
「お待たせしてもうしわけない。私はこの国、アルキス王国、騎士団団長クレア・ノア・リスタール。門番から異国の貴族らしいものが来たと聞きこちらに赴いたのですが…確かに服装から見て高貴なものとお見受けいたします。それと先ほど門番に対してクレノア様によりこちらの世界に連れてこられたとおっしゃられたようですけれどそれはほんとうでしょうか?」
(あの門番…自分で警告してたのにほかのやつにいうのかよ…)
「あぁ、言ったよ」
「なるほど。とりあえずあなたを連れていきたいところがありますので、まずこちらに手を添えてください。」
「これは?」
白い水晶を目の前に出された俺は何だろうと思い訪ねた。
「こちらは以前強盗や盗賊などの犯罪歴がないか確認するものになります。こちらは、中に入るもの全員に行っておりますのでよろしくお願いいたします。」
そういうことならと水晶に手をかざす。
そうすると水晶は青く光りだした。
「犯罪歴はないようですね。ではご案内いたします。」
そうしてクレアさんたちに連れられ歩くこと十分。ついた先は見るからに教会だった、それも俺が見た中でも一番大きな。
「ここはこの国で一番大きな協会になります。あなたが先ほどおっしゃられたことがもし本当ならここならもしかしたら力のなれるならと思いこちらにお連れいたしました。」
「確かに神関係であれば教会ならなんいかわかるかもしれないな。それでここでどうしたらいいんだ」
「私はここの教会の聖女様とつながりがあるので一度お話してみてはいかがでしょうか?」
「どうしてそこまでしてくれるんだ」
「私にはどうしてもあなたが嘘ついてるとは思えないんです。」
(いい人だな。この人は)
「わざわざありがとな」
「いえ、私も気になりますので、お気になさらないでください。では行きましょう」
(なんかそっちが本音な気がするぞ。まあいいか)
そうして俺たちは教会に足を踏み入れた。