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そして様々な思惑が渦巻くなかで、いよいよシャニスの誕生会が始まった。
メロディア達はヤタムと共に玄関に立って五人の子供たちを出迎えた。子息たちは離れにくるなり、建前上は今回のシェフであるレイディアントに激励や奨励の言葉を掛けた。
「アナタが今日のシェフさんね?」
「レイディアントでございます」
「昨日のジェラードは大変おいしく頂戴しました。今日の料理も楽しみにしていますよ」
「しかもあの『八英女』の一人と同じお名前だそうで。縁起がいいことこの上ない」
本人だけどね、と三人の胸中は図らずもハモっていた。
やがて五人の子供たちを会食用の部屋に案内させると、ヤタムが懇ろに一礼をした。
「本日はようこそお出でくださいました。これよりシャニス様をお呼びいたしますので、しばらくお待ちください」
「うむ。今日は離れの中に入れたから文句はいいませんよ」
次兄の皮肉めいたジョークに子供たちは笑った。
それを背中に受けつつ、ヤタムは部屋を後にする。それに従ってメロディア達も配膳の支度と称して部屋を出た。去り際にドロマーはヒカサイマに向かってウインクを飛ばすのが見えた。きっと朝の段階で指示通りにヒカサイマにだけはシャニスの状態を教えてくれたのだろうとメロディアは思った。
廊下に出たメロディアはシャニスの待つ部屋へと向かうヤタムの背中を見た。
きびきびと毅然とした態度で歩く彼女からは戦う前の戦士が放つ闘志に似たオーラが発せられている気がした。
だからメロディアも覚悟のレベルを一段階上げて事に臨むことにしたのだった。
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