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メロディアが言い返すとレイディアントは怪訝そうな表情を浮かべる。
「そんな事までできるのか?」
「忘れていませんか? 僕は魔王にしてサキュバスでもあるトーノの子供ですよ。サキュバスの能力を持っていたとして不思議はないでしょう」
「あ。そう言えばスコアの息子って事しか意識してませんでしたね…」
「ちょっと待て。サキュバスというのは女しかいないのではないのか?」
「いえいえ、男のサキュバスもいますよ。その場合インキュバスと呼ばれます。けど確かにレイディアントが知らなくても無理はない程、希少な存在ですけど。珍しすぎて一説によるとインキュバスを抱えることのできた者は魔王になれるという噂が魔界では実しやかに囁かれていましたし」
「オスの三毛猫のようなものか」
「オス…ネコ…タチ? うふふ」
などと下らない事を言っている二人を無視してメロディアは行動を開始する。時間が惜しいのだ。
「レイディアントさんはここで待機を。僕とドロマーさんとで探りを入れてきます」
「わかった」
そうしてメロディアとドロマーはこっそりと屋敷の中を移動した。蝋燭などは持たなかったが、本来夜に本領を発揮する夢魔である二人は灯りがなくとも夜の闇に惑わされたりはしない。
二人が気配消しながら二階に上がる。するとドロマーが妙な事に気が付いた。
「なんだか本邸とはだいぶ雰囲気が違いますね」
「え? どういう事です?」
「こっちの離れはかなり豪華な造りになっています。飾ってある調度品も高価な品ですし」
「…言われてみれば一階とは随分変わっていますね」
注意して見てみると、二階に上がった途端に装飾の意向が変わっっている。財力を誇示するかのように凝った様相となり、点々と置かれている美術品も見ただけ高級品だと分かる。嫌な貴族の家をそのまま表したかのようだった。
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