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「ええ。何となくギクシャクしているというか、必死に何かを隠そうとしているといいますか」
「これだけ大きい貴族なんですか秘事の一つや二つはあるのでは?」
「仰る通りだとは思います。けれどうっすらと……悪意がある」
メロディアが冷たく呟くと、ドロマーとレイディアントは思わず身震いした。彼が調べたいというのであれば、自分たちはそれに従った方が身のためだと思わせるには十分だった。
「なのでドロマーさんに協力してもらいたいんです」
「ぐ、具体的に何をすれば?」
「まもなく寝静まる頃でしょうから、ここの主であるシャニスさんの夢の中に入ってうっすらと探ってもらいたいんです」
「ははあ。なるほど」
サキュバスには他人の夢の中に入りこめる特性がある。本来はそれで淫靡な欲求を探ったり、満たしたりという風にして性的に使用するが、使い方を変えれば無防備な状態で感情や記憶や思考を読み取ることも可能だ。
それで何が起こっているのか、探りを入れようと言うのがメロディアの案だった。しかしレイディアントが一つ疑問を入れる。
「しかし我の感覚では企てを持っているのは、あの執事と侍女の方と見たが…主人を探ってどれだけの事が分かる?」
「ええ、それも考えてます。なのでメイドのヤタムさんの中には僕が入ります」
「「え?」」
と、メロディアのまさかの提案に二人は驚きを隠せなかった。そしてドロマーは諭すような声音で言う。
「メロディア君。言葉は正しく使わないと」
「どういうことです?」
「正しくはヤタムさんの中に入れる、ですよ」
「や、やはり手籠めにするつもりか!?」
「夢の中に入るって言ってんだよ! 話の流れで分かるだろ!」
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