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王室の装飾を思わせるような銀色に輝く髪とあるサファイアを思わせるかのような青い瞳。
そしてその二つの織りなす面持ちは皇女皇族を通り越し、女神と言われても納得してしまうほどの美貌だった。メロディアはこれほどまでの美人の知り合いのいる父を少し見直した。
思わず固まってしまったメロディアに向かって旅人は少しだけ口角を上げて尋ねた。
「どうかしましたか?」
「いえ、その…お綺麗だったので、つい」
「ふふ。ありがとうございます。でもメロディア君も可愛らしいお顔ですよ」
旅人は褒めたつもりだったかもしれないが、メロディアはムッとした。
同世代に比べれば低い身長、赤と言うよりも桃色に近い髪の毛、メロディアと言う男らしくない名前、そして女の子と言っても通用しそうな可愛らしい顔はどれもが彼のコンプレックスだったからだ。
そんな思いが態度に出ていたのか、旅人は慌てて訂正をした。
「あら、怒らせてしまったかしら。ごめんなさい」
「…いえ。慣れっこですから」
「よかった。あなたと仲良くなりたいのに嫌われては元も子もないもの」
笑う旅人の顔は美しくも、可愛らしくもありメロディアはつい照れてしまった。そして紛らわせるために無理に話題を変えた。
「父のお知り合いなんですよね」
「ええ。とてもお世話になりましたし、私も大分お世話をしましたよ。ふふふ」
「どこかの街で逗留した時のお話ですか?」
旅人は首を横に振った。
「一緒に旅をしていました」
そう言った彼女の言葉にメロディアは大きな疑問をもった。父が共に旅をしたのは後にも先にも魔王討伐のために集った八人だけのはず。それ以外では従者の一人も連れた事がないと他でもない父が断言していた。
見も知らぬ旅人と父の言葉では、流石に父親の事を信じてしまう。きっと何か勘違いをしているか、もしくは誇張して言っているのだろうとメロディアは彼女に確かめた。
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