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「美味しいですか?」
「うん。美味しいよ、ダディ」
「え?」
「あ」
レイディアントは顔を強張らせると赤面しながらプルプルと震え出した。誰がどう見ても恥ずかしがっている。メロディアは無視が最大の優しさだと思い、咳ばらいを一つしただけで全部をなかったことにした。しばらくはスプーンが皿に当たるカチャカチャという音だけが会議室に響いていた。冷めきった家庭かな?
しばらく沈黙が続いたが、それを破ったのもレイディアントだった。
「昔から…」
「はい?」
「孤児だった我は幼少の頃より修道女として生活してきた。セラ先生を除いて男に会う機会はほとんどなく…昔から両親という存在に強い憧れがあったのだ」
「…」
「そのせいか時たま幼子のようになってしまう悪癖がある」
「え? ちょっと待ってください。幼児退行ってギタ村で襲われたのが原因じゃないんですか?」
「…ああ。貴様の父やドロマー達と旅をしていた頃からある癖だ。あ奴らに何度醜態を晒したかは知れぬ」
「Oh…」
存外、メロディアにとってはダメージの多い告白だった。しかし堰を切ったレイディアントは恥をさらす前に全てをさらけ出す覚悟で言葉を続ける。
「特にスコアは凄かった。我をあやす為に自らも赤ん坊の格好をしたりして研鑽を積むことに余念がなかった」
「おい止めろ。父親が赤ちゃんプレイの研究をしていた過去を聞くとかトラウマもんの情報だ」
というか、自分が赤ちゃんの格好になる意味がないだろうとメロディアは遥か遠い地にいる父親向かってツッコミを入れた。
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