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話が決まるが早いかドロマーは気絶しているヒカサイマ達が起きる前に例のラブホテルに戻っていった。
計画の成否に関わらず一度このアガタフホテルに報告に訪れるそうなので、メロディアは気絶しているレイディアントの様子を見つつ、部屋がボロボロになった事をできるだけホテルに悟られないようにうまく振る舞うつもりだった。
ひとまずはレイディアントが起きるまでの間、残骸だけでも片付けていようかと思った矢先、メロディアは彼女の服装が気になった。
いくらなんでも返り血を浴びた服をいつまでも着せているのは忍びないと思ってしまい、ドロマーに使ったのと同じ魔法で服を変えた。またしても絵画や伝え聞いたイメージが先行した修道服に成り代わった。
ところが純白の修道服は胸の辺りから徐々に墨のような黒いシミが広がり、瞬く間に生地が真っ黒になってしまった。
「…」
メロディアは言葉を失いつつ、それについて考察する。すると昔にどこかで聞きかじった知識を思い出した。
キャント国の僧兵が扱う聖化は信仰心が高まるほどに白く輝きを増す、と。つまりは扱う者の心情を色合いとして具現化しているのだ。理屈こそ分からないが信仰の向きを見誤った今のレイディアントにとって黒こそが自らを象徴する信仰の色になってしまっているのではないだろうか。
彼女は今、闇を見ているのだ。
「この分だと起きてもまた暴れそうだなぁ…結界を強くしとこ」
そうして術を掛けたのも束の間、ベットに横になっていたレイディアントが突如としてか細い声を出しながらうなされ始めた。
尋常ではない苦しみ方にメロディアは心配そうに声を掛けた。
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