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「捕まった仲間たちを助け出そうと奮闘している最中、我は突然現れた石柱に吸い込まれた…以来およそ二十年の間、身動きを封じられていた」
「石柱?」
何のことかメロディアにはさっぱり分からなかった。しかし隣のドロマーはすぐに察しが付いたようだった。
「それは多分スコアの封印術です。私達七人も同じく石の柱に取り込まれていましたから」
「ふ…ふふふ」
それを聞いたレイディアントは更に陰湿で、それでいて自暴自棄になった様なそんな声で笑い始めた。
「ではやはりスコアは魔王に組していたという事ではないか」
「それは本当に違います。何か事情があっただけで、父が裏切った訳でもあなたを見捨てた訳ではないんです」
「同じことだぁっ!」
ズンっという圧力と共にレイディアントの槍を持つ手の力が増した。ミシミシと壁からそんな音が聞こえる。結界で補強していなかったなら、すでにこのフロアごと消し飛んでいたかもしれない。
「スコアが何を考えていたかなど、今となってはもうどうでもいい。いや、むしろ感謝しているさ、我がこの世界で何を為すべきかを気付かせてくれたのだからな」
「為すべきこと?」
「ああ。封印は年を追う毎に弱くなっていった。そしてつい先日にそれが解かれたのだ」
それはドロマーから聞かされていた事だ。その封印が解かれたことで幸か不幸か伝説の【八英女】が復活し、この世界に舞い戻ってきた。
「我はともかく形勢の不利を覆す妙手を思いつくことができず、一旦魔界から撤退することを決めた。力を振り絞り、魔界に張られていた結界を破ってな」
「レイディアント、あなた…あの結界をたった一人破ったのですか?」
「…母さんの封印術のことですね」
「ええ。私達も七人がかりでようやく人一人が通れる道を作れたんです。それを単独で」
「破ったというよりも無理やり潜り抜けただけだ。通り抜けることには満身創痍という言葉が可愛く思えるほどの状態だった」
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