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すると部屋に入ってきた分身を見てドロマーとレイディアントの二人は素直に驚きを顔で表現した。
「ど、どういうことですか?」
「ただの魔法です。ちょっと複雑な術ですが」
そういうと魔法が解けてマントとパンの入った紙袋だけが残された。メロディアはそれを拾い上げると良いアイデアを思いついたので二人に言った。
「ちょうどよかった。軽く食べてお話しま―――」
だがそれを言い切ることはできなかった。
レイディアントがあろうことか部屋の中で聖化を行い、片翼を思い切り広げたのだ。闇に飲まれたような白い翼は文字通りに禍々しいオーラを纏った羽をマシンガンの弾のように射出してきたのだ。
メロディアは神懸った速さでドロマーを抱きかかえるとマントを拾い上げて咄嗟に防御に集中した。その甲斐あって羽によるダメージは全くなかったが、代わりにパンを失いレイディアントが次なる攻撃に転換する隙を与えてしまった。
「来たれ」
レイディアントがそう叫ぶと部屋の隅に立てかけていた槍が彼女の手に意思を持っているかのように飛んできた。その槍で素早くマントをはじき返すと、器用にメロディアとドロマーの首に柄を当てて壁に押し当て身動きを封じた。両翼を開いたのは、二人が妙な動きをしたなら即座に射殺するという警告の表れだった。
壁や窓にはメロディアが結界を施していたので傷ができることはなかったが、内装は戦争でも起きたのかと言わんばかりの惨状だ。
しかしそんな事など気にする余裕もないほどの迫力でレイディアントの詰問が始まったのである。
「我が問いに答えろ。妙な真似をすれば命はない」
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