2-22
「うう…」
血塗れの女は腹部にダメージが残っているのか、腹を抑えながら起き上がった。そして見知らぬ天井を見て、混乱しているように言う。
「ここは…」
「お早うございます。お加減は?」
「! 貴様は…うぐゥ」
「大丈夫ですか?」
「触るな!」
血塗れ女は駆け寄ってきたドロマーの手を乱暴に振り払った。メロディアは一気に緊張した。武器は取りげているものの何をしでかすか分からない怖さがあるからだ。まあそれでもドロマーであれば無用の心配かも知れないが。
すると次の瞬間、この場の誰しもが予想していなかったことが起こった。血塗れの女がドロマーの名を呼んだのだ。
「…貴様、ドロマーか?」
「え?」
そう尋ねられたドロマー以上にメロディアが驚いた。世間一般では死亡したと認知されているドロマーの正体を一目見ただけで言い当てたという事は、並々ならぬ関係を持っていたことは安易に予想ができる。
ドロマーも同じような事を考えていたようだった。しかし彼女の場合、血塗れの女の前髪が邪魔をしていまひとつ記憶と照合できていない様子だ。
けれども服装や体格、声、仕草などからある程度の予想はつけられた。あくまでも予想だったのでドロマーももしかして、という前置きを置いた。
「もしかしてアナタ…レイディアントですか?」
「え?」
「ああ、そうだ」
レイディアントは乱れ髪を掻き上げるとふんだんに殺気を乗せた眼差しを向けた。服は血に染まり、髪や顔は泥で汚れている。それでもメロディアは不謹慎にも初めて見たレイディアントの絵画のような美貌に魅了されていた。
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