2‐21
部屋に入るなりメロディアは血塗れの女をベットに乗せ、部屋に結界を張った。万が一暴れ出したとしても被害を最小限に抑えられる。
防御を盤石にしたところで、メロディアは部屋にある椅子に腰かけて何故血塗れ女を兵士たちに引き渡さなかったのかを自問した。
するとその時の事。唐突に部屋の戸がノックされた。
「どちら様ですか?」
「メロディア君ですか? 私です、ドロマーです」
「ド、ドロマーさん!?」
メロディアは慌ててドアを開けてドロマーを部屋に招き入れた。心なしか彼女は上機嫌で肌艶がいい気がした。
「流石ですね。ちゃんとアガタフホテルをお取りになって。あ、ひょっとしてペイチャンネルをお楽しみ中でしたか?」
「お楽しんでねーよ。あなたこそ…さっきの奴らは?」
「その、お屋敷が遠くてですね…ちょうど例のラブホの前を通ったのでつまみ食いを」
「甘酸っぱい思い出は!?」
「苦い白濁に変わりましたとさ。お後よろしいようで」
「よろしくねえ」
ドロマーはぬるりと扉をすり抜けて部屋に入ってきた。キョロキョロと部屋の内装を確認するように見回す。
するとベットに血塗れの女を寝かしている事を唐突に思い出した。緊急とは言え女を連れ込んでいると知られたら絶対に面倒くさいことになる。しかしテンパってしまってしどろもどろになるだけだった…何で浮気がばれそうな彼氏みたいになってんだよ。
「懐かしい。綺麗になってますけど、ところどころに昔の面影が…あれ?」
そしてメロディアの懸念通り血塗れの女に気が付いたドロマーは、これでもかと言わんばかりに目を見開く。機械仕掛けの人形のようにパクパクと口を動かし、カクカクと首だけをメロディアに向ける。
「…まぜて」
「何もしてねーよ」
「これから!? 寝込みを!?」
「そうじゃねえ!」
などと二人が騒がしくしていたの原因か、気絶させていた血塗れの女が呻き声を漏らして目を覚ました。
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