2‐17
メロディアは気を取り直して、ひとまずアガタフホテルで部屋を二つ取った。そしてその後に情報収集のため、ギタ村にあるクラッシコ王国の兵がいる駐屯所に立ち寄った。
クエストを受けるメロディアはやはりここでも顔パス状態で中に迎え入れられる。兵士たちは慣れたもので、すぐに赤い服の魔物の件で派遣されてきたのだろうと察していた。
早速目撃情報の集中している辺りを地図で示してもらうと、メロディアは誘われた少しは止めの昼食を断ってすぐに現場に向かう事にした。
「昼食は少し待っててください。すぐに戻ってきますから、何か作りますよ」
メロディアがそう言うと期待に胸膨らませた声が返ってきた。
件の場所はギタ村の目と鼻の先にある北側の山の麓であった。この山から流れる川がギタ村の主な水源だ。麓と言えど決してなだらかではなく、森に入るや否やという距離から急に壁のように山道となる。それが山賊や盗賊団のアジトが多くなる要因の一つだった。
メロディアは警戒を解かぬままに山道を進んでいく。兵士団から聞いた話によるとこの辺りで賊の刺殺体が頻繁に発見されるようになったのだという。
「刺殺体ってのが気になるな」
そんな独り言が風に乗って山林の中に消えて行く。すると代わりにどこからかうめき声が聞こえてきた。
「うぅ」
耳敏くその声のする方へ近づいていく。すると岩陰に腕から血を流してへたり込んでいる一人の老人がいた。老人は上質な衣を纏っており、一目で身分の高い人間だと言うことが伺いしれた。
しかし老人の素性どうこうよりも血を流すほどの大怪我を負っておることの方が問題だ。メロディアは警戒や魔物の事など忘れ、慌てて駆け寄った。
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