2‐15
メロディア達が振り向くと巨漢がにやけた顔をさらけ出しながら歩み寄ってくる。そうすると後ろにもう一人が立っていたことに気が付いた。
そこにはこれまた辞典に載っているような、如何にも性格のねじ曲がっているような太った貴族のような男がいた。年齢の頃はメロディアより若干上位だが、不摂生が顔面からにじみ出ていて余程不健康に見える。
「ウチの坊ちゃんが来いと言っている。ついて来てもらおうか」
「…急いでるんですが」
「そりゃ好都合だ。そっちの姉ちゃんを置いて急いでどっかに消えな。ローナ家の三男、ヒカサイマ様が少しお話したいと仰ってる」
「…」
案の定か、とメロディアは自分の浅はかさを呪った。ギタ村の治安が悪い事は事前に知っていたし、中身はともかくドロマーはかなりの美人。いらぬトラブルを招く可能性は高かったのに対策を怠ってしまった。中身はともかく。
当然、少しその気になればこの場を脱することは造作もないが、トラブルを起こしたくないという思いの方が強い。
メロディアはちらりと横に目を向けた。
「メロディア君、どうしましょう。連れていかれていやらしい事をされる流れです♡」
「語尾にハート付けんな」
ドロマーはひそひそメロディアに耳打ちしだす。
「ここは大人しく私を引き渡しましょう」
「そんな訳にいかないですよ。ドロマーさんを一人にできないし、あの人たちに危害を加えさせられない」
「そうはいってもああいう輩にはお灸を据えたいとも思うでしょう?」
「そりゃそうだけど」
「命までは取りはしません。こういう女を物としか見ていない男を懲らしめる必要があります」
「あなたが僕から逃げられても困るんですよ」
「安心してください。あんなに凄い○○を体の中に入れられたら、もう他の男じゃ満足できません。必ずメロディア君の元に戻ってくるとお約束します」
「主語を敢えて伏せるな。魔力と言え」
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