2‐10
「初めまして、クラッシコ王国の兵士様。私はドロマーと言う一介の剣士でございます。故会ってメロディア君の仕事の手伝いをしております。お見知りおきを」
「は?」
メロディアは至って普通の…いや自分が思い描いていた竜騎士ドロマーのような立ち振る舞いをする彼女の様子に驚いてしまった。
タナカもタナカで気高さに気圧されてしまい、しどろもどろになっている。
「あ、どうも。タナカです。よろしくお願いします……ん? ドロマーってまさか」
「ふふ。ご想像にお任せいたします、タナカ様」
そう言ってドロマーは朗らかに笑った。タナカは恋に落ちたような顔になった。
◆
タナカからクエストを聞いたメロディア達は来た道を引き返した。瓦礫をどければ数日間の旅支度は整えられる。ドロマーの用意は現地で調達すればいいと考えていた。
それよりもメロディアは彼女に聞きたくてしかない事があった。
「ドロマーさん。さっきのあの態度はどういう心変わりですか?」
「どうもこうも、人と会う時は真面目にしろって命令があったじゃないですか。その後のご褒美目当てです」
やっぱりそういう事か。まあ、しかし人と会う時だけでも猫を被ってくれるというのなら良しとすべきかとメロディアはよく分からない妥協をした。
「これからどうします?」
「うーん。ギタ村に向かいつつ行商人でも通りかかるのを祈りますか。歩きでも二日あれば着けますし。電車はバスは金銭的に無理ですし」
メロディアがそう言うとドロマーが意味深に笑った。
読んで頂きありがとうございます。
感想、レビュー、評価、ブックマークなどしてもらえると嬉しいです!




