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魔王を倒した勇者の息子に復讐をする悪堕ちヒロイン達  作者: 音喜多子平
堕ちた守護天使
30/163

2‐9


「最近になってギタ村周辺で妙な事件が起こっていてな。調査をお願いしたいんだ」

「妙な事件とは?」

「あの辺りには山賊や盗賊団のアジトが多いだろ? そういう輩が次々と襲われて負傷しているんだ。死人もいるらしい」

「…仲間割れとか縄張り争いとかではないんですか?」

「いや、どうも違うみたいだ。赤い服を着た魔物が出るって目撃情報がいくつも寄せられている」

「赤い服…」

「それでも犯罪者が減る分にはありがたい話だったんだが、ギタ村や他の町村に住人にも被害が出てきてな…先発調査を行うに当たってお前さんの名前が出たんだよ」


 メロディアの実力や経歴はクラッシコ王国では周知の事実だ。彼は様々な特権を得る代わりに兵士団や騎士団、国の公的な仕事に人手が足りなくなるとこうして助力を依頼されるのだ。


 今はこちらとしても緊急事態だったのだが、こうなってしまっては仕方がないとメロディアはその依頼を受諾することにした。むしろ遠征なら公費で宿泊代が出るので丁度いいかも知れない。


「わかりました。早速調査に行ってみます」

「え、すぐに? いいのか?」

「ええ。どのみち店は開けられないんです。報告ついでに伝言をお願いできますか?」


 メロディアはドロマーの事を伏せつつ、家と屋台が半壊してしまったことを伝えた。するとタナカは呆れたように笑った。


「なんだ? また魔物かバカな冒険者の腕試しにでも巻き込まれたか?」

「ま、そんなところです」

「わかった。修理業者は手配しておくよ。クエストの件よろしくな」


 そう言い終わったタナカは我慢をこらえきれなったのか、じりじりとメロディアの横にいる絶世の美女に視線を移す。


「ところで…そのどえらい美人はどちら様?」

「あ…えっと」


 メロディアは何と説明するべきか迷ったが、そうしている内にドロマーが自分で自分の素性を明かした。


読んで頂きありがとうございます。


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