表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王を倒した勇者の息子に復讐をする悪堕ちヒロイン達  作者: 音喜多子平
堕ちた竜騎士
3/163

1‐3

 だが夢を覚ますのはいつだって現実だ。


 金銭的な事は採算がとれる計画が立てられているからどうにかなるが、それはあくまでメロディア一人で営業する場合のこと。旅先での仕入れや食材の購入、経理等々の仕事を考えると何人かの手助けは必要不可欠だ。


しかし一人でも雇えば途端に人件費で立ち行かなくなる。かと言ってまさか賄いが出るくらいの報酬でついてきてくれる人などいる訳もない。


 正しくあちらが立てればこちらが立たぬという状況のお手本のような事態だった。


「魔王討伐みたいに目的が一緒の仲間がいればなぁ」


 かつて父である勇者スコアの魔王討伐の旅に同行していたというパーティの事を思う。そのパーティのメンバーだって伝説級の英雄だ…会ったことはないが。


 勇者の血縁であるメロディアが勇者のパーティに会えない理由。それは単純に全員が既に鬼籍に入っているからに他ならない。勇者スコアに同行していた八人の英雄たちは魔王との戦いの最中に命を落としたという。


 その事についてだけは、勇者スコアは頑なに口を噤んでいた。


 意味深な表情を浮かべる父の面影を思い出している内にようやく自宅まで辿り着く。すると月と星の明かりに照らされるばかりの我が家の前に誰かがいる事に気が付いた。


 全身をボロボロのローブで覆っている客人は、玄関の前に座り込んでピクリとも動かない。深くかぶったフードのせいで性別はおろか、人かどうかすら判断が難しい。不審な点しか見つからない状況。だが自宅という事を除いても世界を救った勇者の息子であるメロディアがそれを無視することはない。ひょっとしたら道に迷った旅人が一縷の望みをかけてこの家に辿り着いたとも考えられるからだ。


 そして、もし予想通りだとしたらきっとお腹を空かしているに違いない。メロディアは使命感を帯びてうずくまる客人に声を掛けたのだった。

読んで頂きありがとうございます。


感想、レビュー、評価、ブックマークなどしてもらえると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ