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ドロマーの軽口はともかく確かにサキュバスの性質として精から魔力を摂取するのは本当だ。食物で栄養補給ができても魔力の供給ができないと一時しのぎにしかならない。かと言ってドロマーの望むような形での魔力提供はメロディアにとっても不本意だ。
「仕方ない。ドロマーさんの淫紋を見せてください」
「はい。どうぞ。何をするんですか?」
そう言ってドロマーは躊躇なくスカート型の鎧をたくし上げた。草原のど真ん中だと黒く際どいランジェリーがアンバランスな印象を与えてくる。
「もっとマシな見せ方あるだろ」
「だって上はレザーアーマーですし、メロディア君が言霊で脱ぐのを禁止してるじゃないですか」
「ぐっ」
そうだった。確かに自分がそう命じたのだと、メロディアは歯噛みした。もうこうなってはさっさと済ましてしまうのが一番の得策だ。
するとメロディアは高さを合わせるために屈みこんだ。そしてスカートの裾をくぐると淫紋に口づけをした。
「はえっ!?」
メロディアのまさかの行動にドロマーは混乱する。しかしすぐに彼が一体何をしているのかを理解した。淫紋を通しメロディアが魔力を送り込んできているのが分かる。その魔力の質はやはり魔王に似通っていて、ドロマーは恍惚感に満たされていった。
「ふう」
メロディアは一仕事終えたように息を吐いた。そしてスカートの中から出るとふらついているドロマーを支える。すると彼女はふにゃふにゃとその場にへたり込んでしまった。
「ドロマーさん? 大丈夫ですか?」
「ひゃい」
「とりあえず僕の魔力を渡しましたからしばらくは大丈夫でしょう。母さんのソレとは似通っているのでドロマーさんにも適合するはずです。足りなくなったら夜にでもまた魔力を注いであげますよ……僕の機嫌が良かったらですが」
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